1. 君の思考力を鍛える問い。「空気はなぜ透明か?」に答えを出してから読んでほしい『観想力』

君の思考力を鍛える問い。「空気はなぜ透明か?」に答えを出してから読んでほしい『観想力』

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 君の思考力を鍛えるために問いを出そう。空気はなぜ透明か? この問いに答えを出してから続きをよんでほしい。

 ずるい書き方をした。これは全く『観想力』をまねたものだ。『観想力』の副題は「空気はなぜ透明か」である。しかしこんな書き方をしたのには理由がある。

 『観想力』を読めば思考力が鍛えることができる。様々な問題にぶち当たるビジネスシーンで活躍していくためには、思考力を鍛える必要がある。思考力を鍛えるために『観想力』をぜひ読んでほしいし、おすすめもするのだが、1つ付け加えておきたいのだ。

 『観想力』はなんとなく読むだけでも十分に思考力を鍛えることのできる素晴らしい本である。しかし、思考力を鍛えることを意識しながら読むことで、その効果は数倍上がるだろう。『観想力』ではところどころ私たちに問いを投げかけてくれる。それにきちんと自分の思考力を働かせ、答えを出しながら読み進めていくことで、いっそう君の思考力を鍛えることができるだろう。

君の思考力を鍛える問い

 君の思考力を鍛える問いとして『観想力』からまず3つの問いを紹介したい。冒頭でも述べたように、まずは問いに対して自分の思考力を最大限に働かせて答えを出してから続きを読んでもらえればと思う。

空気はなぜ透明か?

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 空気はなぜ透明かという問いに対して、君の思考力はどんな答えを出しただろう。多いのが「空気の分子は小さくて光がぶつからないから」「光の性質として空気には吸収されないから」という答えである。しかし、これは透明性というものの物理学定義にしか過ぎず、なぜ透明か、という問いの答えにはならないのである。

 君の思考力はついてきているだろうか? 考えてみてほしい。空気が不透明だとどうなるか。君の思考力も答えを出してくれただろう。実はヒトや地球上の生物のほとんどが「空気が透明になるように」進化したのである。

 実際空気はある波長のものは通すが、その他のものはほとんど通さずに吸収してしまう。そういう光にとって空気は不透明である。こういった知識をもっていた人は思考力が働き、空気はなぜ透明か聞かれたときに答えられたのではないか。

 知識ベースの拡大は視点や発想を豊かにし、思考力を鍛えることにもつながる。たくさん学び知識を豊かにすることも思考力を鍛えることになるのである。

クラスに同じ誕生日の人はいるか?

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 クラスの40人の中で同じ誕生日の人が1組いる確率はどのくらいか? これもよくある数学なぞなぞだ。君の思考力はどのような直観をもつだろう? 普通の思考力であれば、自分と誕生日が同じ人に出会うのには365人が必要→クラスに40人しかいない→すると確率は約10%となるのではないだろうか。

 しかし統計的事実は約89%である。理論上の詳しい計算方法は本書に任すが、現代の人類の思考力にはまだ統計的直観は備わっていないのである。

 思考力を鍛えるためには、まず自分の思考力には統計的直観がないことを明確に自覚するところから始めなければならない。

働きアリとサボりアリの法則

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 アリの巣を観察していると、働きアリが8割、サボりアリが2割いた。ここで働きアリを除いたらどうなるか? 君の思考力はこの問いにどんな答えを出しただろう。世の中では誤った答えが流布している。「働きアリを除いたら、サボりアリが働くようになった」という答えだ。しかし、実験によって出た答えは「サボりアリはサボり続けた」のである。

 私たちの思考力はときとして事実を誤認したまま、それを常識としてしまうことがある。思考力を鍛えることで誤った常識を打破していく必要があるだろう。

思考力を鍛えて常識を打破するために

 人は経験則や習慣に基づいて、状況判断と情報分析を単純化して行う傾向がある。この単純化のことをヒューリスティックという。一般的には有用なものだが、見つけたいものを見つけてしまうという方法論であるために、バイアスをもたらすことも多い。

 幸運な偶然を必然と感じ、好ましい一事例を典型例と思い込み、見やすい情報と第一印象のみで意思決定をしてしまうのはこのヒューリスティックバイアスのせいなのである。

 思考力を鍛えることで常識を打破していくのであれば、常識的な答えや常識的な考え方といったものがいかに自分を冒しているかを知る必要があるのだ。

鍛えられた思考力が常識を破壊した成功例

 ここで思考力を鍛えることで常識を破壊し、ものごとを成功させた事例を紹介しよう。

鍛えられた思考力の勝利:天才・羽生善治棋士

by jasewong
 将棋は通常、戦法の中に戦型をもって戦うことが有利だとされていた。戦法、戦型の知識差で勝負が決まることも多い。そういった将棋の情報戦争のなかで羽生棋士は鍛えられた思考力によってその常識を破壊する。

 羽生棋士はオールラウンドプレイヤーという在り方を選択したのだ。羽生棋士は多彩な戦法で相手が対処しづらい状況をつくり、相手が得意な戦法の中で「受け」ながら相手を学び、良い勝負にもっていく方法で総合的な勝率を高めたのである。

 さらに鍛えられた思考力によって羽生棋士はもう一つの戦い方を生んだ。形成不利なときは相手を混沌に引きずり込むというやり方だ。定石から遠く離れた場所で暗闇の中のどつき合いにもっていくのである。自分の思考力を鍛え続けていればこその戦い方である。

鍛えられた思考力の勝利:少年ジャンプの戦略

 また君に問いを出してみよう。君もここまで読むことで思考力を鍛えることができているかもしれない。少年向け週刊マンガ誌の歴史を少し説明すると、『週刊少年マガジン』『週刊少年サンデー』はともに1959年に創刊された。『週刊少年ジャンプ』は1968年創刊である。問題は、なぜ70年代に後発のジャンプが先発のマガジンなどを抜くことができたかである。

 君の思考力は答えを出せただろうか? ヒントは当時の状況を示す記述だ。「週刊少年マガジンは70年前後には大学生の愛読誌と呼ばれ、黄金時代を築いた」一方で、少年ジャンプのテーマは一貫して友情・努力・勝利とし、ダーゲットはあくまで小学生であった。

 君の鍛えられてきた思考力は答えを見つけたかもしれない。前者が顧客に合わせてともに老いていくことを選択したのに対し、少年ジャンプは不老の薬を飲み続けたのである。鍛えられた思考力で練った戦略の勝利といえるだろう。
 

 ここで紹介した問いに対して、君の思考力はどこまでついてこれただろうか。今自分の思考力がまだ磨かれていないからといって嘆くことはない。むしろそんな君こそ『観想力』を読んで思考力を鍛えてほしい。 

 『観想力』の観想とは、ものごとの真の姿をとらえるため、集中して思いめぐらすことだ。思考力を鍛えることで、常識にとらわれずにものごとの真の姿をとらえることができるようになるだろう。

 『観想力』の問いに対して思考力を鍛えることを意識しながら、自分の中でも答えを探しながら読むことで、君の思考力をいっそう鍛えることができるに違いない。鍛えられた思考力で自分のおかれたビジネスシーンの常識を打破し、新機軸を打ち出していってほしい。


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