1. 機械化で“ロボットに仕事を奪われる日”はすぐそこに:『テクノロジーが雇用の75%を奪う』

機械化で“ロボットに仕事を奪われる日”はすぐそこに:『テクノロジーが雇用の75%を奪う』

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 現代ではあらゆるものが機械化されていっている。将来、全ての仕事は機械化され、人間の仕事はロボットに奪われるという話を君も耳にしたことがあるかもしれない。

 経済学の主流派は、仕事が機械化することで一時的に失業者が生まれることになっても、新たな雇用が生まれ、機械化が進むことで誰もが豊かになれると考えているようだ。しかし『テクノロジーが雇用の75%を奪う』の著者はその考えに異論を唱える。

 近い将来、人間が従事する仕事のほとんどが機械化され、失業した人たちは新たな仕事を見つけられなくなってしまうと考えているのだ。

 君は全てが機械化されていく未来をどのように描いているだろうか。機械化の進んだ先で私たちのビジネスはどんな形を描くことになるのか。こうしている間にも世の中はどんどん機械化していっている。機械化していく世界でビジネスの形はどう変わりうるのか。『テクノロジーが雇用の75%を奪う』を紐解きながら想像してみよう。

機械化によって脅かされる自由市場経済の基盤

 機械化が進んで市場に浸透すると、大量消費市場を基盤として発展してきた経済は衰退をせざるを得ない状況がくる。機械化が進んでロボットが仕事を行うようになれば、消費が落ち込むことになる。ロボットは仕事ができても消費は行わないからだ。

 機械化が続くと潜在顧客の数が減り、その数字は機械化によって得られる利益を上回る。結果企業は雇用調整を行うことになり、消費者はますます市場からいなくなり、需要が減少するという無限の下方スパイラルに突入することになるのだ。

 機械化によってロボットたちに雇用が奪われることで、労働市場が活発に機能して始めて成り立つ自由市場経済は基盤そのものが脅かされることになる。

ロボットの発展のスピード

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 ムーアの法則という経験則によると、ロボットの計算処理能力は2年ごとにほぼ倍増していく。劇的に能力をのばしていくロボットに対して、平均的な人間がこれから先、自分の能力をどれだけ伸ばせるかについては、事実上頭打ちの状態だ。機械化が進む中で、労働者としての人間の能力がいずれ機械に追い越されていくことは容易に想像できる。

機械化によって生まれる仕事があるという反論に対して

 機械化によって生まれる仕事は確かにある。例えば、通信情報技術の進歩によって多数の業務が低賃金国に移転可能になり、実際アメリカ合衆国の企業がインドやフィリピンに仕事を委託し、そこで雇用が生まれた。しかし10年前には最先端の仕事といわれた情報技術の仕事が急速に機械化し、短期のうちに雇用がなくなりつつある現状なのである。
 
 機械化によって新たに仕事が生まれることがある。それは正しいが、同時に機械化によって新たな仕事は瞬く間に消え去ってもしまうのだ。機械化がもたらす仕事は短命なのである。

機械化によって誰が仕事を奪われるのか

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 機械化によって仕事を奪われるのは、スキルに乏しく、職業訓練も必要としない低賃金の仕事に従事する人々だと多くの人が考えている。しかし機械化が進むことで、ロボットに真っ先に仕事を奪われるのは知識労働者にほかならないのだ。

 例えば、放射線科医とハウスキーパーの例で考えてみよう。前者は高度に定義化されたCTスキャンなどの画像評価と分析を専門とするため、実は機械化になじみやすい。一方で後者の家事労働を担うロボットとなれば、様々な世帯にある数千の対象物とそれぞれにふさわしい置き場を認識可能な機能をもたせなければならない。完全な機械化を考えると後者のほうがはるかに難しいのだ。

 多くの場合、知識労働者仕事のほうが機械化するにあたって、設備投資が少なくてすむ。さらに高い報酬を得ているため、人件費抑制を図るインセンティブもはたらきやすいのである。

 AIロボットが仕事を自律的に実行できるようになれば、AIロボットは労働者の道具ではなく、経営者のツールへと変わるだろう。そしてその結果として、知識労働者の大量雇用喪失が待っているだろう。

 筆者は機械化によって大学教育への意欲までもがそがれ、子どもたちの希望や未来の夢までが損なわれることまで危惧している。
 

 以上『テクノロジーが雇用の75%を奪う』から、機械化が進むことで私たちがどのように仕事を奪われていくかが想像できただろうか。全てが機械化しロボットたちが跋扈する世界が現実に来るかもしれないのである。

 『テクノロジーが雇用の75%を奪う』では、機械化にともなって起きてしまう問題をどう解決していくか、経済システムや政策に対しての提言もなされている。機械化の流れにあるビジネスシーンで働くビジネスパーソンの一人として、読んでおいて損のない本である。


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