1. かつてのAppleを救った「イノベーション事例」:『How to Kill a unicorn』

かつてのAppleを救った「イノベーション事例」:『How to Kill a unicorn』

by EmreAyar
 現代のビジネスでは、「イノベーション」の必要性が声高に叫ばれている。ムーアの法則でも指摘されているように、テクノロジーは指数関数的に成長し、競争の激しい市場においては、イノベーションが必須とされてくる。

 そもそもイノベーションとは、端的に言えば新しい価値を創造するということである。イノベーションを求めて、多くのイノベーション・アイデアが生まれるが、収益に結びつくイノベーションとならないまま、消え去るものも多い。

 本書『How to Kill a Unicor』の著者は、結果的にイノベーションとならなかったイノベーション・アイデアを幻の動物である「ユニコーン」と名付けた。素晴らしいアイデアでも、市場に通用せず、収益とならないなら、それはユニコーンなのである。『How to Kill a Unicorn』は、そんなユニコーンをどうすればなくしていくことができるのか、つまり、イノベーション・アイデアをどうすれば成功させることができるのかについて述べた本だ。

 イノベーションが声高に求められる、現代のビジネスシーンで働くビジネスパーソンに、イノベーション・アイデアを本当のイノベーションへと昇華させた事例をいくつか紹介しよう。

 イノベーション・アイデアをどのように進化させていけば、イノベーションとして成功させることができるのか、それぞれの事例を分析することで見えてくるだろう。これからあなたがイノベーション・アイデアをイノベーションとして実現化するときの参考になればと思う。

成功したイノベーション事例:仁川空港

by m01229

Win-Winが作るイノベーション事例

 成功したイノベーションの事例として、韓国の仁川(インチョン)空港の事例を紹介しよう。仁川空港では、冬になると誰もが厚いコートを着ている。これから南の島に向かう場合でも、かさばるコートをもって飛行機に乗り、島に着いてからホテルにコートをおいて行動しなければならない。

 コートの存在は、乗客にとっての不便だけでなく、航空会社側にも不都合をもたらしていた。搭乗の際にコートの収納に時間をとられ、時間通りに飛行機が出発できないことが多発していたのだ。そこでイノベーションとして、空港内でのコート預かりサービスを始めたのである。

 このサービスは、乗客の不便を解消するだけでなく、航空会社側にも大きな利益をもたらした。このイノベーション事例により、搭乗時の混乱による乗客離れや燃料の無駄がなくなり、従業員も効率的に働けるようになった。

仁川空港のイノベーションの成功事例を分析

 仁川空港の始めたコート預かりサービスは、イノベーション事例として成功を収めた。イノベーションの成功事例として分析するなら、このイノベーションのポイントは、サービスが事業者側と消費者側、両者の課題を解決するものであったことにある。

 イノベーション・アイデアを成功事例にするには、消費者の心をときめかせるのと同時に、企業が収益を得られる状態をつくらなければならないのである。

成功したイノベーション事例:ロイヤリティー・プログラム

by williamcho

新たな角度からの疑問によるイノベーション事例

 世界的に有名なホテル・チェーンを運営するある大企業が、ロイヤリティ・プログラム(一定期間忠実に利用した会員(優良顧客)に対して、インセンティブ(特典)を提供する施策)を提供し、多くの顧客を抱えていた。しかし、ホテル業界は類似プログラムによる顧客獲得競争が熾烈になり、この企業は新たな手を模索していた。

 そしてイノベーションとして成功事例を作ったのが、業界初の顧客生涯価値(ライフ・タイム・バリュー)に着目したロイヤリティ・プログラムの開発である。

ロイヤリティ・プログラムのイノベーション成功事例を分析

 このイノベーション成功事例のポイントは、発想の転換を促すための疑問を見つけ出すことであった。ロイヤリティに注目し、一時的、一方的なロイヤリティと人間関係の中で培われるロイヤリティーの違いが浮かびあがってきたところで、「どうすればロイヤリティ・プログラムは、もっと人間同士のロイヤリティのように感じられるだろう」という疑問をきっかけに、新たなプログラムが誕生したのである。

 この事例においては、現状をよく見つめ、新しい角度から考え、変革をもたらす疑問を見つけ出すことがイノベーションの成功につながったのだ。

成功したイノベーション事例:Apple社

by atmtx

Apple社の事例:どのようなイノベーションだったか

 長年Apple社は、ハードウェアとソフトウェアを100%自社で管理することにこだわっていた。そしてそれは、Apple社の決定的な弱みでもあった。しかし、デジタルハブ戦略というイノベーションによって、その弱みは強みへと変わった。

Apple社のイノベーション成功事例を分析

 PCを中心に、音楽プレイヤーやスマートフォンをスムーズに連携させるという戦略は、元々の弱みをフライ返しでひっくり返すような発想の疑問を見つけ出すことで生まれた。

 ロイヤリティ・プログラムの事例と同じように、発想の転換を生むような疑問を見つけ出すことさえできれば、変革を生む答えは、自然に導きだされることがこの事例から分かる。

 ただ、その疑問は簡単に見つかるものではない。困難な問題や、最も機能していない部分を積極的に探し求め、それらを新鮮な目で見つめ続けることで隠れたチャンスを見つけられるのである。
 

 イノベーション・アイデアがイノベーションの成功事例となったものを分析することで、あなたもどうすればイノベーションを成功事例にすることができるか考えられる。
 
 イノベーションとして成功した事例には、そのイノベーション・アイデアが素晴らしいだけでなく、成功させるためのセオリーがあったのだ。他イノベーションの成功事例を収集し、それらの事例をこうした視点から分析すれば、よりそのセオリーが明確になっていくだろう。

 『How to kill a Unicorn』には、他にも多くのイノベーションの事例が取り上げられている。イノベーションを新しい価値の創造とするなら、ビジネスにおいて大きな規模のイノベーションに関わることがなくても、日々イノベーション・アイデアをもってイノベーションにつなげていくような仕事がしたい。イノベーションについてもっと知りたい人は本書を一度手に取ってみよう。

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