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人の本心を聞き出すコミュニケーション術『モデレーター 聞き出す技術』とは?

Erika Muranaka

2016/01/24(最終更新日:2020/08/28)


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コミュニケーション能力はビジネスパーソンにとって大切な能力です。

相手に気持ちよく話してもらい、聞きたいことを聞くためにはいくつかのポイントがあります。

本記事では、『モデレーター 聞き出す技術』書籍から、本心を聞き出す方法やワンランク上の聞き出し方をご紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • そもそもコミュニケーション能力とはなにか
  • コミュニケーション能力を向上させる、人の本心を聞き出すコツ
  • 本心を聞き出すための5つのポイント

そもそもコミュニケーション能力とは?

「コミュニケーション能力が重要」とはいうものの、そもそもそもそもコミュニケーション能力とはどのようなものを指すのでしょうか。

コミュニケーション能力とは言葉の意味だけで考えるなら、意思疎通の力です。自分の意思を正確に伝え、相手の意思をくむ力がコミュニケーション能力です。

相手の意思をくむ部分が弱くてコミュニケーション能力が足りない人は、人の本心を聞き出すコツを学ぶことでコミュニケーション能力は向上するでしょう。

一方、自分の意思を伝えるのが苦手な人の中には、「聞き出すコツを学んでも自分はコミュニケーション能力を向上させることに繋がらない」と思った人もいるのではないでしょうか。

相手の意思をくむことが苦手な人はもちろん、自分の意志を伝えるのが苦手な人も、コミュニケーション能力を向上させるためには人の本心を聞き出すコツを身につけることをおすすめします。

自分の意思を伝えるのが苦手な人が、コミュニケーションが上手にできないのは、伝え方の問題だけではありません。

相手のことを理解し、相手に心を開いてもらえれば、少しくらい伝え方に拙い部分があっても自分の意思を相手は理解してくれます。

人の本心を聞き出すコツには、問い方だけでなく、コミュニケーションにおける相手との関係づくりのコツが含まれています。

コミュニケーション能力を向上させる、人の本心を聞き出すコツ

人の本心を聞き出すコツが分かる。コミュニケーション力を向上させる『モデレーター 聞き出す技術』 2番目の画像

出典:www.flickr.com

コミュニケーション能力は、言葉のやり取りだけではありません。

心理学者のメラビアンは、「話し手が聞き手に与える情報は、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%」であると提唱しました。

言葉による情報よりも、言葉を使わない非言語の情報で話し手の印象が決められます。

コミュニケーション能力の高い人は、出会った瞬間から相手に配慮しています。挨拶をするときは必ず目を合わせ、打ち解けた雰囲気をつくるウォームアップの時間を大切にしましょう。

やり取りがはじまったら、言葉だけでなく、身振り手振り、視線、表情、体の向きなど全身を使って相手の話を聞いていることを表現するのがコツです。

自分のスタンスは消して相手に同化し、相手の発言に対して大きなリアクションをとると、本心を引き出しやすくなります。

コミュニケーション能力の基礎、本心を聞き出すための5つのポイント

コミュニケーションは、言語だけではなく非言語の行動が大きく影響することをご紹介しました。

具体的にどのように振る舞うと、本心を聞き出せれるようになるのでしょうか。

以下では、人の本心を聞き出すための5つのポイントをご紹介します。

ポイント1:話し始めは話題を限定しない

本心を聞き出すための1つ目のポイントは、話し始めは話題を限定しないことです。

やり取りの始めは、どんなことを話しても大丈夫だという空気をつくるために、話題を限定せずに、漠然と「最近どうですか?」といった聞き出し方をするのがコツです。

聞きたいことを一番初めに聞くのではなく、簡単な会話を振り自分との会話に慣れてもらいましょう。

ポイント2:相手が話し出したらまずは黙って聞く

本心を聞き出すための2つ目のポイントは、相手が話し出したら、黙って聞くことです。

口を挟みたくなっても、相手の話が一区切りつくまで黙って待ちましょう。

相手が的確なアドバイスをもらいたいから話しているのか、ただ聞いてもらいたいから話しているのかを見分けるようにしてください。

アドバイスを言うのは、アドバイスを求められてからで遅くはありません。

まずは最後まで聞くことを意識しましょう。

ポイント3:キーワードが出たらオウム返しをする

本心を聞き出すための3つ目のポイントは、キーワードが出たらオウム返しをすることです。

相手のこだわりが感じられるキーワードが出てきたら、単純にキーワードを抜き出して繰り返しましょう。

相手は自分の言ったことが受け入れられたと感じ、嬉しくなってさらに話をすすめるでしょう。

「昨日の会議はいつもより長かったんだよね」のように話を振られると、「長かったんですか」というふうに返すと相手は勝手に話を進めてくれます。

ポイント4:話しが飛んでも聞き続ける

本心を聞き出すための4つ目のポイントは、話しが飛んでも聞き続けることです。

相手の話しがあちこちにとんだとしても、自分の知りたいことの材料探しの時間だと考えましょう。

聞き出したいことからズレていても、思う存分話してもらおうという気持ちでいるのがコツです。

相手は、関連する話だと思って話しているので、自分が聞きたいテーマに結びつくヒントが表れることも多々あります。

ヒントを見落とさないように、相手の言うことを真剣に聞きましょう。

ポイント5:相手がノってきたらリアクションを大きくする

本心を聞き出すための5つ目のポイントは、相手がノってきたらリアクションを大きくすることです。

例えば、相手が、好きなことを話すとき、少しだけ話すスピードが上がっているのを聞いたことはないでしょうか。

相手の話すスピードに合わせて、相槌を打つことも大切です。

うなずく際も、悲しい話ならゆっくりと、楽しい話なら少し早めにすると、相手は自分の話を聞いてくれていると思ってどんどん話してくれるでしょう。

楽しい話の際は、まるで初めて聞いたかのように大きなリアクションをとると相手は気分よく話し続けられます。

コミュニケーション能力をさらに向上させる、ワンランク上の聞き出すコツ

コミュニケーション能力の基礎となる、相手の本心を聞き出すための5つのコツを紹介しました。

くだらない話だと思っても、相手の話に対しては、真剣に向き合うことが大切です。

次は、コミュニケーションをさらに向上させるために、ワンランク上のコツを5つ紹介します。

聞き出すコツ1:先入観を捨てる

ワンランク上の聞き出すコツの1つ目は、先入観を捨てることです。

人の発言をそのまま受け取ってわかった気になっていると、間違うことがあります。「ガムを噛んで集中したい」という発言の「集中」はどのような集中か考えてみましょう。

「集中」は、リフレッシュ的なものなのか、リラックス的なものなのか、同じ言葉でも人によってその嗜好や意味が違うことがあります。

1つの言葉に対し、連想するワードを限界まで考え抜き、マインドマップを作れるくらいになれば、多様な視点を持てるようになります。自分の先入観だけで、言葉の意味を受け取らず、相手の視点になってみることがコツです。

先入観を捨てて相手の言いたいことが何かを考えると、コミュニケーション能力も格段に向上します。

しかし、先入観を捨てることは簡単なことではありません。相手の言いたいことが本当にくみ取れているのかを知りたいのなら相手に聞いてみましょう

「◯◯とおっしゃっていましたが、〇〇ということですか?」のように、大事なことは遠慮なく確かめてみてください。

何度も同じことを聞くと、しつこい人だと思われるので、話の要点だけにしましょう。

聞き出すコツ2:精神的価値を引き出す

ワンランク上の聞き出すコツの2つ目は、相手の気持ちを引き出すことです。

深い話を聞き出すためには、相手の話す内容が、ただ事実を述べているのか、気持ちを述べているのかを見極めてください。

相手が「嬉しい」「悲しい」などの気持ちを話し始めたら、気持ちの上位概念となる「安心」や「幸せ」の気持ちをさらに引き出すことがコミュニケーションのコツです。

嬉しいことがあったことを告げられると、「自分も同じような体験をしました」というのではなく、「それは楽しそうですね」のように、相手の話を掘り下げてみてください。

相手の感情に寄り添った返事をすることが大切です。

聞き出すコツ3:深く聞き出したいときは広がる質問をする

ワンランク上の聞き出すコツの3つ目は、深く聞き出したいときは広がる質問をすることです。

コミュニケーションは、相手の話を聞き、情報を分析し、さらに質問をするという3つのプロセスを繰り返します。

話し上手な人は、的を射た質問をします。

自分が聞きたいことを質問するのではなく相手が言いたいであろうことを質問するといいでしょう。

「昨日家族とすごく美味しい焼肉屋さんに行ったんだよね」という話を振られたとき、どこを質問しますか。

家族好きで知られる上司だと「家族」というキーワードで、美食家で知られる上司だと「焼き肉」というキーワードで聞き出しましょう。

相手の趣味や思考に沿って上手に質問をすつのが聞き出すコツです。

5W1Hだけでなく、「どんな気持ちになれるか」「どんないいことがあるか」のような質問をして深く聞き出してください。

聞き出すコツ4:相手の意図を確認する

ワンランク上の聞き出すコツの4つ目は、相手の意図を確認することです。

相手の言葉の定義が曖昧なとき、コミュニケーション能力の高い人は「それは、いい意味?悪い意味?」といったように相手の意図をきちんと確認します。

例えば、「もうすぐ着く」の「もうすぐ」の定義は人により様々です。具体的な数字やわかりやすい言葉に変えることを促す質問をしましょう。

率直な感想が聞きたいときは「ワクワクとかドキドキみたいな言葉で表現すると?」のように擬音語、擬態語で表現してもらうのもコツです。

相手の意図をもう一握り理解したいときに、具体的な表現をしてもらえるような質問ができるようになれば、コミュニケーション能力は格段に向上します。

聞き出すコツ5:リアルな発言を求める

ワンランク上の聞き出すコツの5つ目は、リアルな発言を求めることです。

ワンランク上のコミュニケーション能力を目指すなら、相手がキレイな表現ばかりをしているときには注意しましょう。

「自分としてはどう?」「それは実現できると思う?」と相手を現実に引き戻す質問をして、相手のリアルな発言を求めるようにするのがコツです。

上手に質問をすることで、相手の考えを深めさせられます。

例えば部下が夢物語のような計画を話してきた際、部下の話を真っ向から否定してはいけません。

「それはいつまでに終わるの?」「この次はどうするつもり?」「費用面は考えているの?」のように、相手の考えを深めさせ、さらに成長するような質問を投げかけましょう。

インタビューのプロから聞き出す力を学ぼう

本記事のまとめ
  • 話し始めは話題を限定せず、曖昧に話を振る
  • 相手の話に口を挟まずに黙って聞く
  • 先入観を捨てて、相手が本当に言いたいことを聞き出す

『モデレーター 聞き出す技術』からコミュニケーション能力を向上させるのに役立つ、相手の本心を聞き出すコツをいくつか紹介しました。

本書はマーケティング調査専門のインタビュアー=モデレーターである著者がプロとしての聞き出すコツをまとめた一冊です。

コミュニケーション能力に自信がない人はもちろん、そうでない人にとってもさらなるコミュニーション力を養うために十分に役立つ一冊だといえるでしょう。

ビジネスシーンではコミュニケーション能力がものいう場面が多くあります。仕事における専門的スキルや知識が足りない場面でも、コミュニケーション能力さえあれば乗り切れることも少なくないはずです。

本書を読めば、本心を聞き出すという具体的なコツを習得でき、コミュニケーション能力の向上のコツもわかります。

本記事を読んだ上で、さらにコミュニケーション能力を向上させたい人は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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