1. 中毒必至! 読み始めたら止まらない、伊坂幸太郎オススメ文庫小説ランキング

中毒必至! 読み始めたら止まらない、伊坂幸太郎オススメ文庫小説ランキング

出典:sakebara.blog.so-net.ne.jp
 その独特な作風と世界観に、多くのリピーターと熱烈な支持者を今も増やし続けるベストセラー作家の伊坂幸太郎。伊坂幸太郎の小説の魅力は、至るところに散りばめられた大小の伏線を、作品の終盤で一気に回収し大オチに繋げる、ハンパのない爽快感と納得感。さらに、同一人物が他の小説にも登場し、その人物の行動がまた別の小説にも影響を与えてしまう、スターシステムと呼ばれる手法。そして、そんな登場人物たちが繰り出す、セリフの独特の言い回し。明日、しれっと受け売りしたくなるようなセリフが、山のように出てくるのだ。

人間は後悔をする動物だが、改心はしない。繰り返すんだよ、馬鹿なことを。『歴史は繰り返す』というのは、それの言いわけだ。

出典:『陽気なギャングが地球を回す』より
 伊坂幸太郎の小説を一度でも読んだら、まず間違いなく誰もがハマる。これは断言してもいい。筆者もそのうちの一人だからだ。それでは、伊坂幸太郎ワールドを思う存分に堪能できる“おすすめの小説ランキング”と、そのおすすめ小説に出てくる受け売り必至な、明日使いたくなる“名言”も紹介しておこう。

短編集だから読みやすい! 伊坂幸太郎ワールドの入り口はココから!

伊坂幸太郎のおすすめ小説 : 第10位『チルドレン』

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 まず、伊坂幸太郎の小説でおすすめしたいのが、この『チルドレン』だ。短編集というだけあって、おすすめポイントはその読みやすさ。活字離れしている方でも、ちょっとした時間の合間に気軽に読める。もちろん、伊坂幸太郎の真骨頂とも言うべき、序盤で散りばめられた伏線を作品後半で回収していくシーンもあるので、短編集といえども最後の最後まで楽しめる小説だ。

内容紹介

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。何気ない日常に起こった5つの物語が、1つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

出典:チルドレン (講談社文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon.co.jp
 短編集の『チルドレン』は五つのストリーで構成されている。内訳は、「バンク」、「チルドレン」、「レトリーバー」、「チルドレンⅡ」、「イン」。この5つのストーリーに、“独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、どこか憎めない男、陣内”(上記より引用)がいる。伊坂幸太郎曰く、「短編集のふりをした長編小説」。こういった、ちょっとヒネくれたところも、伊坂幸太郎の小説の魅力だったりする。

明日使いたくなる『チルドレン』のおすすめ名言

そもそも、大人が格好良ければ、子供はぐれねえんだよ。

出典:『チルドレン』(講談社文庫)より

ミステリー小説の概念をぶっ壊す、伊坂幸太郎の原点!  

伊坂幸太郎のおすすめ小説 : 第9位『オーデュボンの祈り』

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 伊坂幸太郎のおすすめ小説・第9位は、伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』だ。2000年に出版され、同年の【第5回新潮ミステリー倶楽部賞】を受賞した。同書は“ミステリー”にカテゴライズされてはいるが、どちらかと言うと“ファンタジー”に近いかもしれない。

 その理由は、なんと案山子(かかし)が喋るのだ。そう、あの田んぼの中に立つ案山子だ。しかも、その案山子は未来を予知できる。「未来を予知できるのにミステリー?」と疑問に思うかもしれないが、その答えはおすすめ小説『オーデュボンの祈り』を読んでのお楽しみ、ということにしておこう。

内容紹介

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?

出典:オーデュボンの祈り (新潮文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon.co.jp
 前記した通り、案山子が喋る小説なわけだが、伊坂幸太郎のデビュー作にして【第5回新潮ミステリー倶楽部賞】を受賞したということでも、“ミステリー好き”にも申し分ない内容の小説といえる。上記の内容説明でもある通り、この小説のはキモは「なぜ未来がわかる案山子が自分の殺されたのか?」というところだろう。

明日使いたくなる『オーデュボンの祈り』のおすすめ名言

人生ってのはエスカレーターでさ。自分はとまっていても、いつのまにか進んでるんだ。乗った時から進んでいる。到着するところは決まっていてさ、勝手にそいつに向かっているんだ。だけど、みんな気がつかねえんだ。自分のいる場所だけはエスカレーターじゃないって思ってんだよ。

出典:『オーデュボンの祈り』(新潮文庫)より

似ている小説が見当たらない! まさにオンリーワン小説!

伊坂幸太郎のおすすめ小説 : 第8位『魔王』

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 伊坂幸太郎のおすすめ小説・第8位に選ばせて頂いたのは『魔王』。『魔王』と『呼吸』の二つのエピソードからなる同書。タイトルからはちょっとおぞましく感じられるが、実際は、ある兄弟の人生模様を描いた小説だ。大衆を扇動するカリスマ政治家と対決する様を描いた波乱の『魔王』編と、それとは対照的に穏やかな生活を描いた、感動の『呼吸』編の構図になっている。

 月並みな表現になってしまうが、おすすめポイントをひと言で表すならば“普遍の兄弟愛”と言うべきか。しかし、「月並み」以外の表現を探すより、この作品に似た小説を探す方がはるかに難しい。こんなストーリーの小説は今までに読んだことがない、伊坂幸太郎にしか書けない小説だ。ちなみに本書の“スターシステム”的続編として、『モダンタイムス(上・下)』がある。

内容紹介

会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。5年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

出典:Amazon.co.jp: 魔王 (講談社文庫) 電子書籍: 伊坂幸太郎: Kindleストア
 この小説は、主人公の兄弟のキャラクターもさることながら、『魔王』編に出てくる“大衆を先導するカリスマ政治家”の犬養のキャラクターが、妙にリアリティーがあるのだ。語弊があるかもしれないが、あの“ヒットラー”を連想させるのは、筆者だけでないはずだ。

明日使いたくなる『魔王』のおすすめ名言

『急いで結婚し、ゆっくり後悔しろ』って外国の諺だ。俺はそれから逆に学んで、結婚に焦っていないわけだ

出典:『魔王』(講談社文庫)より


群像劇好きにはたまらない! 10人以上の人生がスクランブルに交差する寓話的一冊!

伊坂幸太郎のおすすめ小説 : 第7位『ラッシュライフ』

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 まず、“伊坂幸太郎のおすすめ小説”というカテゴリーを抜きにしても、群像劇が好きな方は絶対におすすめしたい小説だ。並走する四つの物語に出てくる10人以上の人生模様がスクランブルに交差。それら群像劇を、ミステリーと寓話で味付けしているのだ。面白くないわけがない一冊と、自身を持って言える。

 この『ラッシュライフ』の“ある”登場人物は、伊坂幸太郎の後の作品となる『重力ピエロ』、『フィッシュストーリー』にも同一人物として登場してくる、“スターシステム”を取り入れた作品。ランキングとは関係ないがスターシステムを楽しみたいのなら、『ラッシュライフ』→『重力ピエロ』→『フィッシュストーリー』の順番で読むことをおすすめする。

内容紹介

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

出典:ラッシュライフ (新潮文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon.co.jp
 短編集ではないが、五つの話しが同時進行で進められていくこの『ラッシュライフ』。途中は五つの話しについて行けないかもしれないが、それが徐々に交わり最後に繋がった瞬間には感動すら覚えるはずだ。例えるなら、ウリッツ・エッシャーの騙し絵『階段』を連想させる、「幾何学模様」のような群像劇と言えるだろう

明日使いたくなる『ラッシュライフ』のおすすめ名言

人生については誰もがアマチュアなんだよ。誰だって初参加なんだ。はじめて試合に出た新人が、失敗して落ち込むなよ。

出典:『ラッシュライフ』 (新潮文庫)より

ファンタジーとユーモアが織り交ざる伊坂幸太郎的ノアール小説!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第7位『モダンタイムス(上・下)』

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 伊坂幸太郎のおすすめ小説・第7位は、『魔王』の続編として50年後の世界を描いた『モダンタイムス』だ。50年後とはいえ、関連性は薄く、独立した物語としても読むことができる。伊坂幸太郎の小説は、すべてにおいてパラレルワールド的要素が強いのだが、本書も、時空を超えた分かりやすい未来感ある描写はほとんど出てこない。

 本書のおすすめポイントは、インターネットでキーワードを入力する“検索”という行為は、逆に、“検索した人間の情報を吸い上げることも可能”、という視点に伊坂幸太郎が切り込んだところだろう。本書では、“政府が危険分子を見つける手段”というエンターテイメント性を持たせてはいるが、事実としてこのシステムはすでに、某検索サイトなどでは公然の事実として運用されているのだ。

内容紹介


 主人公・渡辺の妻は、夫の浮気を疑って拷問者を雇ってしまうほどの恐妻家なのだが、実はそこらへんのバカバカしい設定のやり取りがペースメーカーとして小説をリズミカルに運ばせ、政府の陰謀と対峙するような重厚な場面がより際立つのだ。

明日使いたくなる『モダンタイムス(上・下)』のおすすめ名言

既婚者の男がね、まずいな、って顔をしている時の大半は奥さんが関係してるんだって

出典:『モダンタイムス (下)』(講談社文庫)より

読みだしたら止まらない! 疾走感がハンパないノンストップエンターテイメント!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第6位『マリアビートル』

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 まず、伊坂幸太郎このおすすめ小説『マリアビートル』を読む前に注意をして頂きたいことが一つある。それは、読みだしたら止まらないということだ。夜、寝る前に読み始めたら、気づいたら朝なんてこともあるかもしれない。

 ストーリーは、伊坂幸太郎のオハコともいうべき群像劇が軸だ。疾走する新幹線車内の舞台とリンクするように、内容自体もスピーディー。先の読めない、そして読み止められない展開は嬉しい悲鳴だろう。ちなみに本書も、後に紹介する『グラスホッパー』の続編という設定になっているが、主となる登場人物は違うので、本書だけでも完結して楽しむことができる、おすすめの一冊だ。

内容紹介

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。

出典:マリアビートル (角川文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon.co.jp
 伊坂幸太郎は「“殺し屋”が好きなのかな?」と思わせるぐらい魅力的な殺し屋が登場している。そこに、狡猾だけれどとことんついていない中学生・七尾が絡むところが魅力だ。筆者の私見として言わせてもらうと、わかる人にはわかると思うが、同書のキーパーソンである七尾を例えるなら、漫画『カメレオン』の“矢沢栄作”といったところか。同書の中でもあの“矢沢的”な七尾が物語を引っ張っていくのだ。

明日使いたくなる『マリアビートル』のおすすめ名言

幼稚園児が知っていても、大人が知らないことはあるんだよ。

出典:『マリアビートル』(角川文庫)より


セリフ回しの妙が冴えわたる! 明日使いたくなる名言の宝庫!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第5位『グラスホッパー』

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 伊坂幸太郎のおすすめ小説・第5位は『グラスホッパー』。本書は、二人の殺し屋と、妻を殺した殺し屋を追う男の物語。ノアールな世界を描いているにも関わらず、作風はカラッとした陰気にならないところが伊坂幸太郎マジックなのだろう。その理由として本書は、“明日使いたくなるセリフの言い回し”のオンパレードなのだ。読み終わると、本書の中から、最低でも10言は気に入ったセリフが見つかるはずだ。

 ちなみに本書は2015年11月映画化。生田斗真・浅野忠信・麻生久美子ら、豪華俳優陣が出演したことでも話題を呼んだ。本書ならずとも、映画版もおすすめできる作品だ。

内容紹介

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。

出典:グラスホッパー (角川文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon.co.jp
 実は『グラスホッパー』は、読後の感想が、一度目に読んだ後と二度目に読んだ後では違うという方が多いのだ。多くを語るとネタバレになってしまうのだが、一度目は完全にハードボイルドでノアールな世界。普段の伊坂幸太郎の作品とちょっと違う印象を受けるかもしれない。そして二度目は・・・。是非、二度以上読んで頂きたい小説だ。

明日使いたくなる『グラスホッパー』のおすすめ名言

本当に大事なことは、小声でも届くものだ。

出典:『グラスホッパー』(角川文庫)より

こんなに陽気な強盗団がいていいのか? 痛快エンターテイメント!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第4位『陽気なギャングが地球を回す』

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 とことん陽気な強盗団が主人公の、伊坂幸太郎のおすすめ小説『陽気なギャングが地球を回す』。おそらく、伊坂幸太郎の小説の中でも“痛快さはNo.1”と言えるのではないだろうか。完全に筆者の私見だが、例えるなら、伊坂幸太郎流・アニメ『ルパン三世』と言えば分かりやすいかもしれない。もちろんパクりとか、オマージュとかそういうことではなく、“世界観”という意味でだ。それぐらいユーモラスでエンターテイメントに徹している痛快小説なのだ。

 また、続編の『陽気なギャングの日常と襲撃』、新作の『陽気なギャングは三つ数えろ(ノン・ノベル)』も、本書を読んでいれば思わずニヤリとするシーンが満載なので、是非、順番に読むことをおすすめしたい。

内容紹介

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。

出典:陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon ...
 おそらく読後は貴方もこの強盗団一味に入りたくなるはずだ。とにかく四人の強盗団の会話のテンポと、そこで繰り出すブラックジョークが逸脱なのだ。序盤はゆっくりとした描写ではじまり、終盤で伏線の回収に入るとスピードアップ。CDの“ジャケ買い”的にタイトルと表紙で買ってしまいそうな小説だが、それがまったく外れではない小説なのだ。

明日使いたくなる『陽気なギャングが地球を回す』のおすすめ名言

木は森に隠せ、って言うだろ。失敗は大失敗に隠すんだ。

出典:『陽気なギャングが地球を回す』(祥伝社文庫)より

伏線回収率100%! なのに読後に心地よい不思議な余韻を残す一冊!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第3位『重力ピエロ』

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 伊坂幸太郎と言えば、至るところに散りばめられた大小の伏線を、作品の終盤で一気に回収し大オチに繋げるという手法だろう。伊坂幸太郎のおすすめ小説・第3位は伏線回収率が100%と言っても過言ではない『重力ピエロ』だ。伊坂幸太郎流『罪と罰』的な重いテーマでありながら、伊坂幸太郎作品に共通する主人公たちの明るさと、型破りなキャラクターが際立つ。最後も、伏線の回収で爽快感と納得感を出しつつ、どこか不思議な余韻を残す名作中の名作だ。

内容紹介

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。

出典:Amazon.co.jp: 重力ピエロ (新潮文庫): 伊坂 幸太郎: 本
 「春が2階から落ちてきた」というセリフから始まる『重力ピエロ』。その“2階から落ちてくる”、弟の春や兄の和泉の心境や苦悩が物語のキモだ。それにプラスして、謎解きの要素もあるので、ミステリーとしても楽しめる。最初はけっこうヘビーなテーマとしの印象を受けがちだが、そこは伊坂幸太郎ワールドのポップな描写で進められていくので、必要以上に重さが感じられない、『重力ピエロ』ならぬ、“無重力”な小説と言えるだろう。

明日使いたくなる『重力ピエロ』のおすすめ名言

本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ 。

出典:『重力ピエロ』(新潮文庫)より


伏線回収率120%!  そして最後にまさか過ぎる大どんでん返し!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第2位『アヒルと鴨のコインロッカー』

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 【第25回吉川英治文学新人賞】を受賞した、『アヒルと鴨のコインロッカー』。これまで何度も書いてきたが、伊坂幸太郎の作品の特徴は、伏線の量と、後半にやってくる怒涛の伏線回収だ。伊坂幸太郎のおすすめ小説・第2位の同書は、その最たる小説といっていい。ネタバレをしてしまう恐れがあるので多くは説明できないが、何しろ小説のタイトルすら伏線になっているのだ。そして同書は、もう一つ、最後の最後に驚天動地級の大どんでん返しがある。その結果に間違いなく声を出して驚くはずだ。

 同書は、その内容から映画化は絶対に不可能と言われていたのだが、2007年に大方の予想に反して濱田岳・瑛太のダブル主演で映画化。同書と遜色ない最高の出来栄えとなって伊坂幸太郎ファンを驚かせた。順番としては、同書を読んでから映画を観ることをおすすめする。それの方が色々な楽しみ方ができるからだ。

内容紹介

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!

出典:アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) | 伊坂 幸太郎 | 本 | Amazon ...
 この『アヒルと鴨のコインロッカー』は、一つの内容の具体例を説明するたびに、面白さを半減させるかもしれないネタバレの地雷を踏んでしまいそうで、非常に内容を説明しずらい小説と言える。映画化はされたが、あえて言うなら、“小説”という“イマジネーションの世界”をトリックに使っているのだ。これ以上、説明するとネタバレの地雷を踏んでしまいそうなので、勘弁していただきたい。

内容紹介明日使いたくなる『アヒルと鴨のコインロッカー』のおすすめ名言

裏口から悲劇は起こるんだ。

出典:『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)より

超弩級のエンターテインメント巨編! 伊坂幸太郎の神髄がココにあり!

伊坂幸太郎のおすすめ小説・第1位『ゴールデンスランバー』

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 お待たせいたしました。伊坂幸太郎のおすすめ小説・第1位は『ゴールデンスランバー』だ。同書は、その完成度の高さから、2008年に【山本周五郎賞】、【本屋大賞】をダブル受賞。翌2009年には【このミステリーがすごい!】1位を獲得。伊坂幸太郎の小説の中でも、全てにおいて完璧な、超弩級のエンターテインメント巨編と言えるだろう。

 ストーリーは、序盤から多くの伏線がはられ、伊坂幸太郎ワールドを表すような破天荒で魅力的な人物が数多く登場。同書では、“巨大な陰謀に立ち向かう主人公”というハリウッド映画さながらのエンターテイメント性が入り口としてありつつ、中に入ると“主人公とその仲間の絆”がメインテーマになっている。

 ちなみにタイトルは、ビートルズの同名楽曲から引用されており、作中にも他のビートルズナンバーのタイトルがしばしば見られる。映画版では主題歌を、斉藤和義が同ナンバーをカバーして話題になった。

内容紹介

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。

出典:『ゴールデンスランバー』(新潮文庫)より
 前項でも書いたが、『ゴールデンスランバー』は、“巨大な陰謀に立ち向かう主人公”というハリウッド映画さながらのエンターテイメントを、伊坂幸太郎風に味付けされている。ハリウッド映画ならその見せ場は、陰謀に立ち向う主人公の大立ち回りということになるのだろうが、同書は、全体のトーンとしては穏やかな物語そのものなのだ。ハラハラドキドキ感もあるが、むしろ哀愁さえも感じる。

 ちなみに同書は、「ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を下敷きにしている」と言われている。そのため、要所要所にケネディ暗殺事件に絡む、一文が出てくるのだ。例えば、「教科書ビル」や、「逃げろ!オズワルドにされるぞ」など。同書の主人公、青柳はオズワルドさながらに、首暗殺の嫌疑をかけられ、自らの知らぬところで巨大な陰謀に巻き込まれていくのだ。ケネディー暗殺事件を、少し調べてから同書を読むのも、またアリだろう。

明日使いたくなる『ゴールデンスランバー』のおすすめ名言

彼女とかって、付き合ってる時はあんなに一緒で、何でも知ってたのに、別れると、本当に何も分かんなくなりますよねえ。

出典:『ゴールデンスランバー』(新潮文庫)より




 以上が、伊坂幸太郎のおすすめ小説トップ10だ。共通することはどの小説においても、読者を飽きさせない工夫やテクニック、ユーモアがたっぷりと詰まっている。もちろん、今回紹介した小説以外にも、伊坂幸太郎の小説は読みだしたら止まらないものばかりだ。是非、貴方も伊坂幸太郎中毒になってほしい。

 では最後に、作中人物の名言ではなく、伊坂幸太郎自身の発した“明日使いたくなる名言(迷言?)”を紹介して終わりたい。はっきり言って、「なんのこっちゃ」である。

“不倫は道徳的に良くないよね”と言われるよりは、“ティッシュはお一人様一つでしょ”って言われるほうが、理屈じゃないけど笑えていいじゃないですか

出典:伊坂幸太郎 名言

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