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電通の戦略プランナー直伝! 企画を実現させるプレゼン方法論『「プレゼンテーション」基礎講座』

樋口純平

2016/02/01(最終更新日:2016/02/01)


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by acaben
 長い時間かけて準備してきた企画を実現させるためには、会社の重役達の前でプレゼンを行わなければならない。そんな時、緊張で固まってしまい、上手くプレゼン内容を相手に伝えることができないと悩む人は少なくない。また、プレゼンが上手い人は、「仕事ができる」という好印象までも勝ち取っているいうように思える。

 アップル社のスティーブ・ジョブスのプレゼンはシンプルだが、印象的で世界的にも有名だ。では、ジョブスのプレゼンを見て、真似ればいいのではないかと口で言うのは簡単だが、すぐに身につくような方法でもない。何より仕事が忙しく、プレゼンの練習にあまり時間をとられたくないと考え、一度の手間で体系的に、プレゼンの知識を蓄えたいものだ。

 そこで今回は、長沢 朋哉氏の『新人広告プランナーが入社時に叩き込まれる 「プレゼンテーション」基礎講座』から、電通の戦略プランナーである著者が、電通で培ってきた体系的なプレゼン方法を学んでいくとしよう。

盲点になりがちなプレゼンの本質とは

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出典:kettnercreative.com
 まずプレゼンの聞き手は、目と耳でプレゼンターの主張を理解しようとしていることを認識しよう。目で理解させる方法は、プレゼンターの表情や仕草、そしてプレゼン資料である。耳で理解させる方法は、プレゼンターの話である。聞き手の目と耳に、効果的にバランス良くインパクトを与える方法を考えなければならない。他にも、そのプレゼンの目的が提案であるのか、報告であるのか、認識しなければならない。その目的によって、プレゼンの方法が変わってくるからである。

 プレゼンは、プレゼンターの主張を相手に伝えることが最優先事項である。主張を明確に効果的に伝える方法は、最も効果的な方法はストーリー形式にすることである。つまり、主張を支える根拠となるものを、相手が分かりやすいと感じる順番に並び替え、相手が主張にスムーズに共感することができるようにするのだ。また、この方法は、論理を理解されるだけでなく、相手の感情を動かす力も持っている。つまり、エンターテインメント性の強いプレゼン方法なのだ。

 どんなプレゼンにするか考え、それに合った資料を作れたら、あとは本番である。この本番では、自信を持つことが重要である。この自信とは、その企画を成功させるために、持つべき態度である。また、相手の記憶の中に最も大きな印象を与えたいことを決めておくべきだ。決めた内容を3枚程度のスライドで繋げて、説得力のあるストーリーとして成立させる方法が最も有効的だ。

優れたプレゼン資料作成術 “ストーリー型”

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出典:www.capital-solutions.co.uk
 プレゼン資料とは、頭の中にある考えを具現化・可視化したものである。本来、プレゼン資料は文字数が少ない方が、見やすくて良いとされているが、それはプレゼンの場においてのみ有効的な方法である。実際、その企画の意志決定はプレゼンの場ではなく、会議の場で行われる。そうした状況を考えると、意思決定に必要だと思われる最低限の内容は、スライドに記載する方法を選ぶ方が、効果的である。

 資料はストーリーを用いる方法が有効だと前述したが、どうストーリーを組み立てていけばいいのだろうか。調査・分析をした結果から、思い浮かんだ初期仮説を組み立てるという流れを、頭の中で作るのである。この流れを思い浮かべることができたら、各スライドの作成に移る。また、初期仮説は聞き手が驚いたりしそうな内容を選ぶことも重要である。

 スライドの作成方法についてだが、聞き手に最も聞いてほしいポイントを大きく強調することは基本である。見やすいスライドにするために、1行を15文字以内に抑える方法は有効だ。さらに、他の方法では、論理の中で列挙や因果関係を可視化するために、ボックスや矢印を上手く活用する方法もある。プレゼンの印象を大きく左右するようなキーワードは、多くても3つまでにする。そうすることで、論理展開に支障なく、見た目もスマートになるのだ。

“主導権を手放さない” プレゼン戦術とは

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出典:mashable.com
 プレゼンを上手く行うのに、「自分が司会進行役である」というイメージを持つ方法が有効である。要点を確認しながら話すようになるので、聞き手が内容を理解しやすくなる。効果的な話す方法は、自信を持って、メリハリをつけることである。自信を持つには、プレゼンの内容を頭に叩き込むことである。次に、メリハリを持たせる方法は、声の強弱を上手く利用することだ。声の強弱は、強調したい部分になったら、強調する話し方を意識する程度で良い。あまり、声を大きく出そうとすると、無駄な力が入ってしまうからである。

 また、話す方法というより「話す戦術」となるが、プレゼン前にそのプレゼンでの意志決定をする重要なキーパーソンを知っておくことが重要だ。キーパーソンが理解しやすい内容を話すことで、プレゼンに対する評価は大きく変化するのだ。また最もボロが出やすい場面は、質疑応答だ。その場で答えられないような質問の処理方法は、正直に「戻ってお調べして回答します」と、答える方が適切だ。

 またプレゼンで重要なのは、話す方法だけではない。見せる方法も重要なのだ。見せるのは、資料とプレゼンターであるが、それぞれで見せる方法は異なる。資料を見せるには、ジェスチャーなど、相手の視線を誘導させる方法を意識させることだ。プレゼンターを見せる方法で重要なのは、情熱と人間性である。そんな情熱や人間性を伝える方法は、相手の目を見ることである。プレゼンを見てもらいたいという気持ちを、アイコンタクトで伝えるのだ。この方法はすぐ実践できるだろう。


 プレゼンは、自分の考えていることを相手に理解してもらうのに、最も有効な方法であろう。つまり、このプレゼン方法は、普段のコミュニケーションの中でも、人間関係を築くのにも、仕事を上手くいかせるのにも有効な方法であると言えるだろう。プレゼンだけでなく、様々な場でプレゼンの技術を活かしてみてはいかがだろうか。


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