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幸せはお金で買えるのか? 世界の幸福な国ランキングで知る「幸せとお金」の関係

大倉怜士

2016/08/01(最終更新日:2016/08/01)


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by Jaro Larnos
 「自分自身を幸福だと思わない人は、決して幸福になれない」。幸福や幸せといった言葉は非常に曖昧なものであるにも関わらず、私たち人間はそれらを希求せずにいられない。幸福とはそもそもどの分野で研究対象となるのか。脳科学か心理学か、はたまた生理学か、それすら判然としない幸福というものを、数値化したランキングがここにある。
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 それが、2015年4月に国連から発表された「The happiest countries(世界一幸福な国ランキング)」である。世界158各国で下記のポイントをチェックし、数値化し、ランキング形式にしたものである。

① 国民1人当りの実質GDP(国民総生産)
② 社会保障
③ 健康寿命
④ 人生選択の自由度
⑤ 寛容度  
⑥ 汚職度
⑦ 政治的自由度

 つまるところ、このランキングは「世界で最も幸福な国」を明かすランキングなのだ。幸福・幸せを数字にできるのか?という問題はさておき、まずは当ランキングの10位から1位まで順にご紹介していくとしよう。

世界の幸福な国ランキング TOP10

世界の幸福な国ランキング 第10位:オーストラリア(オセアニア)

 1人当たりのGDP:6万7000ドル、平均寿命:82歳

 まず、幸福な国ランキングの第10位として挙がっているオーストラリアは、自由民主主義国家で総面積は世界第6位。地域区分としてはオセアニアに属するオーストラリアは、温暖な気候や自然豊かな風土で国民の幸福度を底上げしているのだろう。社会保障制度も比較的充実していて、平均寿命も82歳と高くなっている。

世界の幸福な国ランキング 第9位:ニュージーランド(オセアニア)

 1人当たりのGDP:4万1500ドル 平均寿命:81歳

 世界一幸福な国ランキング第9位にランクインしたのは、またしてもオセアニアの国・ニュージーランドとなっている。日本と同じ島国であり、オーストラリアと同じく、英連邦王国の加盟国である。豊かな国土と地形から農業が盛んで、家畜に関しては人口の10倍を超えているという。

世界の幸福な国ランキング 第8位:スウェーデン(北欧)

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by Swedish National Heritage Board
 1人当たりのGDP:6万ドル、平均寿命:81歳

 当ランキングにランクインした北欧の国は、全部で4カ国にのぼるわけだが、そんな中でも幸福度ランキング第8位となったのがスウェーデンである。ノーベル賞授与式が催されるストックホルムを首都に持つなど、世界的に誇れる有名物も多い。

 スウェーデンの経済の中で、最も特徴的なのは公務員の数である。公的部門の人数は実に33%を超え、全体の3分の1にも達している(日本は9.5%)。透明性の高い政治体制なども、国民の幸福度を上げる要因となっているのかもしれない。

世界の幸福な国ランキング 第7位:オランダ(西欧)

 1人当たりのGDP:5万1000ドル、平均寿命:81歳

 続いて、世界一幸福な国ランキング第7位となったのは、西欧きっての「幸せな国」オランダである。

 申し訳ないが、同国に関してはどうして幸福度が高いのか、いまいち判然としないのが正直なところで、国民が幸せを感じるような素晴らしい要素は(数字上は)あまり見つけられなかった。こればかりは、実際に暮らしてみないと、わからないのかもしれない。

世界の幸福な国ランキング 第6位:フィンランド(北欧)

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by archer10 (Dennis) (61M Views)
 1人当たりのGDP:4万9000ドル、平均寿命:80歳

 またしても北欧からランクインし、世界一幸福な国ランキングとなったのがフィンランドである。想像しただけで、目の前が自然でいっぱいになりそうな夢の国だが、GDPはそこまで高くなく、5万ドルにも届かない程度。

 フィンランドの人口とGDPの規模は日本の北海道とほぼ同じらしく、1980年代以降、農業と林業中心の経済体制から、携帯電話の生産量が世界1位になるなど(ノキアやLinux)のハイテク産業を基幹とする工業先進国へと著しい変化を遂げることに成功している。

世界の幸福な国ランキング 第5位:カナダ(北米)

 1人当たりのGDP:5万2000ドル、平均寿命:81歳

 続いて、世界一幸福な国ランキング第5位となったのは、北米の国・カナダである。オーストラリアやニュージーランドと同じくイギリス連邦加盟国であり、英連邦王国のひとつ。首都はオタワ。実は英語の他にも、フランス語が公用語として認められている。2006年の国勢調査によると、国民の約58%が英語、約22%がフランス語を第一言語としているそうだ。

世界の幸福な国ランキング 第4位:ノルウェー(北欧)

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by Swedish National Heritage Board
 1人当たりのGDP:10万ドル、平均寿命:81歳

 1人当たりのGDPが10万ドルとなっている北欧の国、ノルウェー。首都のオスロは北欧屈指の世界都市と呼ばれている。世界第6位の原油輸出国であり、原油はノルウェーの輸出の35%(1999年)を占めているほど。

 福祉国家の異名を取るほどに社会保障がしっかりとしていて、平均寿命は80歳を超えている。フィヨルド群に代表される自然遺産やウルネスの木造教会、ブリッゲンといった歴史的遺産も豊富な国。

世界の幸福な国ランキング 第3位:デンマーク(北欧)

 1人当たりのGDP:6万ドル、平均寿命:80歳

 北欧屈指の経済都市・コペンハーゲンを首都に持つ国、デンマーク。2015年の世界一幸福な国ランキングでは第3位だったが、2013年、2014年のランキングでは第1位となっており、様々な点から見ても、世界で一番幸福な国だと言われている。

 首都のコペンハーゲンは、「世界住みたい都市ランキング」でも第1位を獲得しており、労働時間の少なさも世界第4位1人当たりのGDPランキング2014でも、世界第6位となっている。

世界の幸福な国ランキング 第2位:アイスランド(西欧)

 1人当たりのGDP:4万7000ドル、平均寿命:83歳

 世界最高峰の平均寿命を誇る国・アイスランドが、今回の世界一幸福な国ランキングの第2位となった。国土は日本の北海道と四国を合わせた程度で、人口は約32万人。北海道の札幌が人口190万人であることを考えると、この人口の少なさに気づいてもらえるだろう。

 意外や意外、アイスランドは金融立国であり、国家経済のほとんどが金融業に依存している国で、2008年の世界金融危機の影響をモロに受けたという。2013年以降は着実に経済が立て直りつつあり、失業率も8%台から4%台まで下がってきている。

世界の幸福な国ランキング 第1位:スイス(西欧)

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by Transformer18
 1人当たりのGDP:8万5000ドル、平均寿命:82歳

 そして、栄えある世界一幸福な国ランキングの第1位に輝いたのは、「アルプスの少女ハイジ」でおなじみのスイスである。1人当たりのGDP、平均寿命ともに世界最高峰の数字となっている。また、北欧諸国に負けず劣らない社会保障制度の充実度で、国民の幸福度を底上げしている国だ。

 ハイジの世界からは想像もつかないが、このスイス、実は世界でも国際競争力の高い国のひとつであり、2011年の世界経済フォーラムの研究報告書においては、世界第1位の国と評価されたほどの経済大国なのだ。

世界の幸福な国ランキング 10位以降のランキングはこちら。

世界の幸福な国ランキング 11位 イスラエル
世界の幸福な国ランキング 12位 コスタリカ
世界の幸福な国ランキング 13位 オーストリア
世界の幸福な国ランキング 14位 メキシコ
世界の幸福な国ランキング 15位 アメリカ
世界の幸福な国ランキング 16位 ブラジル
世界の幸福な国ランキング 17位 ルクセンブルク
世界の幸福な国ランキング 18位 アイルランド
世界の幸福な国ランキング 19位 ベルギー
世界の幸福な国ランキング 20位 アラブ首長国連邦
世界の幸福な国ランキング 21位 イギリス
世界の幸福な国ランキング 22位 オーマン
世界の幸福な国ランキング 23位 ベネズエラ
世界の幸福な国ランキング 24位 シンガポール
世界の幸福な国ランキング 25位 パナマ
世界の幸福な国ランキング 26位 ドイツ
世界の幸福な国ランキング 27位 チリ
世界の幸福な国ランキング 28位 カタール
世界の幸福な国ランキング 29位 フランス
世界の幸福な国ランキング 30位 アルゼンチン

北欧諸国が世界の幸福な国ランキング で上位な理由

 世界一幸福な国ランキング上位10カ国中4カ国にランクインした北欧諸国。では、一体なぜ、北欧の国はここまで高い幸福度を得ているのだろうか。これに対する答えはおそらく、以下の7点に集約されるだろう。

北欧諸国の幸福度が高い理由

  • 医療費がかからない
  • 学費がかからない
  • 自国愛
  • 隣人愛の精神
  • 労働時間の短さ
  • 物質的価値と幸福度がイコールじゃない
 とはいえ、やはり最も大きいのは徹底した「社会保障」という制度だろう。無論、納めている税金の額は日本の比ではないのだが、すべての国民が平等な教育を、平等な医療を受けられる社会制度というのが、国民の幸福度を底上げしているのは言うまでもないだろう。


 今回の幸福な国ランキングでは、北欧諸国をはじめヨーロッパの国が大半を占める結果となった。気になる日本の順位は、46位と決して高いとは言えないものになってしまった。国の豊かさと国民の幸福度はイコールではないということが証明されたのではないだろうか。

 今の日本が、スイスや北欧諸国と同じだけの社会保障制度を整えることは現実問題として難しい。しかし今後、社会保障制度を整え、誰もが日本で暮らしたいと思えるような幸福度が高い国になっていくことを期待する。

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