1. 資本主義の父・渋沢栄一が語るビジネスの核心を突く名言6選:「我が人生は、実業に在り。」

資本主義の父・渋沢栄一が語るビジネスの核心を突く名言6選:「我が人生は、実業に在り。」

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 渋沢栄一という男の名前を聞いたことがあるだろうか。現代経営学の発明の父と呼ばれるピーター・ドラッカーに「いち早く経営の本質を見抜いていた」と言わしめ、500社以上の事業立ち上げに携わり、希代の天才実業家、日本資本主義の父と呼ばれた男だ。

 今、そんな渋沢栄一の思考や彼の著書『論語と算盤』の考え方が、多くの経営者やビジネスパーソンに求められているという。

経営の神様を超えた人物

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「率直にいって私は、経営の『社会的責任』について論じた歴史的人物の中で、かの偉大な明治を築いた偉大な人物の一人である渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は『責任』にほかならないということを見抜いていた」

出典:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則 | ピーター・F・ドラッカー, 上田 ...
 これは、「経営の神様」ピーター・ドラッカーが、名著『マネジメント』の序文で渋沢について述べたものだ。経営の神様より先んじて経営の本質に到達していた人物、渋沢栄一。そんな彼の創り上げた資本主義の仕組みに生きる我々が避けては通れない人物の生涯に迫る。

希代の天才実業家への歩み

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 経営の本質を見抜き、500社以上の事業立ち上げに携わり、希代の天才実業家、日本資本主義の父と呼ばれた男。そんな渋沢栄一の名言を紹介する前に、まずは渋沢栄一がどんな男で、どんな人生を歩んできたのか簡単だが、ご紹介するとしよう。

 渋沢栄一の生まれは埼玉県の深谷市。1840年に藍玉の製造販売と養蚕を兼営し米、麦、野菜の生産も手がける豪農の家に生まれた。幼少期から、一般的な農家とは違い、常に算盤をはじく商業的な才覚が求められる環境で渋沢栄一は育つ。14歳の時から、単身で藍葉の仕入れに出かけ、この経験がヨーロッパの近代的な経済システムを受け入れる土壌を築き上げ、後の合理主義思想につながる。

 28歳の時に15代将軍・徳川慶喜の弟、昭武に随行してヨーロッパに渡る。そこで見聞した西欧文明社会でのカルチャーショックが彼の人生に大きな衝撃を与えることになる。

日本最初の株式会社を設立

 帰国後の1869年、29歳の時に日本最初の株式会社である商法会所を設立。その後、第一国立銀行(現在の株式会社みずほフィナンシャルグループ)、東京海上火災保険(現在の東京海上日動火災保険株式会社)、東京証券取引所、キリンビール、サッポロビール、東洋紡績株式会社など、500社以上の事業立ち上げに関わり、その多くが日本を支える大企業へと成長。

 また、「私利を追わず公益を図る」という渋沢栄一が生涯貫き通した信念の下、社会活動に対しても熱心に関わった。養育院の院長を務めたほか、東京慈恵会、日本赤十字社などの設立にも携わり、商業教育にも力を入れ、一橋大学、東京経済大学の設立に協力したほか、女子の教育の必要性を考え、伊藤博文、勝海舟らと女子教育奨励会を設立。日本女子大学、東京女学館の設立にも関わる。

 渋沢栄一は、成功は己の力ではなく、社会の支えによるものと考え、成功者は必ず社会に還元すべきという信念を持っていた。私利私欲を越え、社会に還元するという志を持ち、多くの事業を立ち上げた希代の天才実業家、渋沢栄一。

 そんな彼のビジネスの本質を突く6つの名言をご紹介しよう。

渋沢栄一が語るビジネスの核心を突く6つの名言

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渋沢栄一の名言#1「理想の希求」

目的には、理想が伴わねばならない。その理想を実現するのが、人の務めである。

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 目の前の仕事に追われ、ただ仕事をこなすだけになりがちな現代のビジネスパーソン。今の仕事にただ取り組むだけでなく、理想を持ち、未来に目を向ける思考が必要だと渋沢栄一が語る。

渋沢栄一の名言#2「心の喜び」

たとえその事業が微々たるものであろうと、自分の利益は少額であろうと、国家必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで仕事にあたることができる。

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 たとえ、利益の少ない事業だとしても、それが社会に求められている事業で、その経営が合理的であれば、やりがいを感じ、心が生きた状態で働けることこそが大事だと語る渋沢栄一。物に溢れ、記号的な消費を続ける現代において、本当に大事なものが心の喜びだと教えてくれている名言ではないだろうか。

渋沢栄一の名言#3「仁義道徳」

富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。

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 ビジネスの世界においては、社会の汚さを経験することも多い。しかし、その世界の基礎である資本主義を築いた渋沢栄一は、仁義道徳が富をなす源泉でなければならないという。ビジネスの根源は仁義道徳であるという言葉は、すべてのビジネスパーソンが忘れてはならない本質を伝える名言である。

渋沢栄一の名言#4「株式会社の根源」

事柄に対し如何にせば道理にかなうかをまず考え、しかしてその道理にかなったやり方をすれば国家社会の利益となるかを考え、さらにかくすれば自己のためにもなるかと考える。そう考えてみたとき、もしそれが自己のためにはならぬが、道理にもかない、国家社会をも利益するということなら、余は断然自己を捨てて、道理のあるところに従うつもりである。

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 今や当たり前となった株式会社という概念。その根源には、渋沢栄一の自己の利益より国家社会の利益という思想が存在する。株式会社の基礎をなす思想であり、企業に携わる全ての人間が知っておくべき名言である。

渋沢栄一の名言#5「社会の恩恵」

自分が手にする富が増えれば増えるほど、社会の助力を受けているのだから、その恩恵に報いるため、できるかぎり社会のために助力しなければならない。

出典:渋沢栄一 名言
 ともすれば、人は所有する富が増えることで、己の欲望のために消費をしがちだ。しかし、己の欲望のみに帰結した消費は本当の心の豊かさに繋がるのか、欲しいものを多く所有することが幸せなのか。そんな過剰消費に陥る現代へのアンチテーゼとも言える名言。「私利を追わず公益を図る」という信念を生涯貫き通した渋沢栄一らしい言葉だ。

渋沢栄一の名言#6「実業」

我が人生は、実業に在り。

出典:渋沢栄一 名言
 既存の産業、仕組み、製品を守り、間違いを減らすという過程の革新、プロセスイノベーションより、既存の常識を破り、仕組みを超えた新たな仕組み、製品を考える商品の革新、プロダクトイノベーションを達成する実業こそが人生と語る、渋沢栄一。組織の大小に関わらず、全てのビジネスパーソンが社会の発展に寄与する起業家精神を持つべきということを伝える名言ではないだろうか。


  渋沢栄一の掲げた信念「私利を追わず公益を図る」により築き上げられた資本主義。この世紀の発明品によって現代の人類の成長が存在すると言える。しかし、現代の資本主義は「私利を追い、公益を無下にする」そんなイメージを帯び、原点とは違う方向へと突き進み続けた。

 自国の成長のために負の副産物とも言える、多くの社会課題が山積し、リーマンショック、サブプライムローンなど資本主義の限界を語る多くの事象も少なくない。我々は資本主義の原点に返り、新たな資本主義に移行する歴史的転換点に直面しているのかもしれない。

 そんな今こそ、この資本主義の原点にある思想に触れることは資本主義の仕組みの中に生きる現代のビジネスパーソンにとって有意義なことではないだろうか。

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