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ただ従うだけの日々に終止符を! リーダーを動かす賢い部下になる秘訣とは:『ザ・フォロワーシップ』

Mikako Sekine

2016/01/03(最終更新日:2016/01/03)


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ただ従うだけの日々に終止符を! リーダーを動かす賢い部下になる秘訣とは:『ザ・フォロワーシップ』 1番目の画像
by Cydcor
 あなたは、言いたい放題である上司の言い分全てに耳を傾け、ただ従うだけの淡々とした日々を送っていないだろうか? 上司が権力を振りかざしているのを、黙って見過ごしていないだろうか?

 本書『ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書』の著者曰く、権力の濫用を阻止するには、距離の近さと勇気が必要。組織の規模や種類に関係なく、普段からリーダーの近くにいて、勇気をもって関われば、リーダーを正しい方向に導くことができるという。

 リーダーシップに関する本が溢れる中、フォロワーシップに関する本は圧倒的に少ない。リーダーよりもフォロワーの方が多いはずであるのに、おかしな事態である。フォロワーシップについて取り扱った本書では、7章に渡ってリーダーの近くにいる“フォロワー”のあるべき姿やリーダーとの関係、フォロワーの責任についてを説いている。

 今回は、「フォロワーのあるべき姿」についてお話ししたい。

フォロワーは誰のために働く?

 フォロワーと部下は似て非なるものであると著者は主張する。同義だと思われがちであるが、実は違うのだ。

 部下は上司の指示に従って動くものの、実際は上司の敵という可能性もある。

 一方、フォロワーは、リーダーと目的を同じくし、組織が成し遂げようとしている目的の正当性を信じ、リーダーと組織の成功を願って精力的に働く。リーダーがフォロワーの世話をするのと同じくらい、フォロワーもリーダーの世話をするのだ。

 もし、リーダーのためではなく、自分のためだけに働くとしたら、それはフォロワーではなく利己主義者なのだ。フォロワーというからには、組織メンバー、取引先、債権者、顧客、地域社会など、利害関係者のために働くのだ。

フォロワーは弱者ではない!

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出典:pixabay.com
 「フォロワー」というと、リーダーに付き従う人というイメージがある。付き従う人というと、弱い立場に置かれていると思われがちだ。しかし、フォロワーがいて初めてリーダーは存在する。リーダーという存在は、フォロワーの存在が前提で成り立っている。だからフォロワーは、決して無価値ではない

 精力的なフォロワーは、リーダーのビジョンのなかに自らの目標を見出し、リーダーの励ましを得て、その目標に向かっていく。彼らは100%以上の結果を出すが、それはリーダーに「命じられたから」ではなく、自らの発奮によるものであると著者は主張している。

 だからこそ、フォロワーシップがある人物の価値は、リーダーをいかに完璧に手助けするかによって決まる。以下が、優秀なフォロワーの特色である。ぜひ参考にしてほしい。

・能力のあるフォロワーは穏やかに協力することができる。この資質は人間の進歩にとって必須のものである。

・信頼されるフォロワーは、自分の個人的な要求を共同の責任にうまく組み入れ、リーダーと張り合うことなく、リーダーのために働く。

・バランスのとれたフォロワーは、うぬぼれの強いリーダーを助長せず、リーダーシップの危険な落とし穴を事前に警告する。

・気配りができるフォロワーは、リーダーとグループのメンバーのニーズをともに見抜き、その橋渡しをしようとする。

出典:ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書

フォロワーはリーダーと対等な存在

 リーダーに警告をしたり、言いにくい意見を伝えるのは気がひけるものだ。それは、無意識に自分がリーダーより格下なランクにいると感じているからである。自分がリーダーと対等だという意識を持つことができれば、引け目は感じなくて済む。

 確かにフォロワーは、外から見える評価(肩書き)において、リーダーと対等ではない。もちろん、フォロワーも人間であるから、往々にして表面的なものに魅せられたり、目がくらんだり、怖気づいたりすることがある。しかし、知性やモラル、精神面では対等であるはずなのである。大事なことは、「人間性の本質はみな同じだ」ということを忘れないことだ。

 人間の本質を見ようとすること、内側にある人物そのものを見ようとすることで、相手を軽蔑したり恐れたりしなくて済む。まずは、自分自身がリーダーという地位に媚びへつらうことをやめることだ。

 そこでフォロワーは、リーダーに出身地、大切にしているもの、冗談は通じるかどうか、どんな失敗や経験をしたか、恐れているものは何か、目標は何かなどを聞いてみると良い。ここで警告しておくが、大切なのは答えの中身ではない。ここでは、あなた自身がリーダーの人間性に触れられるか否かが重要なのだ。

 リーダーの人間性を踏まえて、「リーダーに何をしてあげられるだろう?」と考えることができるようなフォロワーになろう。自分がリーダーに利益をもたらす力がある「フォロワー」だと認識することで、立場が対等であることに気づけるのだ。


 フォロワーシップを発揮する人物は、ときにリーダーよりも高い評価を得る。リーダーの近くにいて、勇気を出して助言する人物は、貴重な存在だからだ。フォロワーシップを発揮する人間には、リーダーも頭が上がらないはずである。最高のフォロワーシップは、最高のチームを作る。ぜひあなたも本書を手にとって、最高のフォロワーシップを発揮してほしい。

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