1. “20世紀を代表する”おもちゃブランドの経営哲学に迫る:『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』

“20世紀を代表する”おもちゃブランドの経営哲学に迫る:『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』

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 レゴというおもちゃをご存知だろうか? 子供から大人まで、圧倒的な人気を誇るおもちゃのひとつである。

レゴ・グループは、デンマークのビルンに本拠地を置く株式非公開の企業です。米国のエンフィールド、英国のロンドン、中国の上海、シンガポールに、主要オフィスを構えています。 1932年、Ole Kirk Kristiansenによって設立され、代表製品であるレゴ®ブロックをベースにした、世界有数の子ども向け玩具メーカーです。

出典:レゴグループ - About Us LEGO.com
 本書『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理』は、レゴの経営哲学に焦点を当てて、レゴのが成功し続ける秘密を紹介している。

 今回は、進化し続ける巨大イノベーション工房「レゴ」の経営哲学についてお話ししたい。

レゴの経営哲学その1:イノベーションは常に数が“もの”をいう

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 レゴはもともと、木製のおもちゃやその他にもハシゴ、アイロン台、クリスマスツリーのスタンドなど日用品を扱う会社だった。しかし、1932年の創業直後から、新しいことに挑戦し続ける企業として存在感を放っていた。

 レゴは、1946年にデンマークの玩具メーカーで初めて、プラスチック射出成形機を導入した。この機械は、1台でレゴの前年利益の2倍以上もする高価な機械で、木材しか扱ったことのない田舎の大工にとって危険な賭けであった。

 しかし最初に作ったブロックは失敗に終わった。最初のブロックは強度が弱く、子供がちょっと突いただけで、すぐに崩れてしまったのだ。さらに、デンマークの玩具業界誌には「プラスチックの玩具は、美しくて丈夫な木の玩具の代わりには到底なりえないだろう」という悪評される始末だった。
 その後、レゴは何年も失敗を重ねた。特に問題として挙がったのが、「ブロック同士の連結」だ。一見単純な連結に見えるが、はめ合わせたブロック同士が、どうもうまくくっつかない。子供たちが自由自在に思いついたものを形にできるおもちゃにまで進化したのは、今から約50年前のことだった。レゴブロックは、約20年間の試行錯誤の上にできあがったものなのだ。

 以後、レゴでは粘り強く試行錯誤を続けることこそ、イノベーションの要であるとされてきた。期待の持てるアイデアがあれば、レゴは徹底的に試してみるのだ。徹底的に試すことこそ、レゴの経営哲学であるといえる。最近のビジネスで軽視されがちな「粘り強さ」が功を奏したのだ。数え切れないほどの失敗が、玩具市場最高のイノベーションに繋がったのだ。

レゴの経営哲学その2:システム>製品

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 レゴはおもちゃの将来を見通し、いち早く対応することで、業界で抜きんでた地位を獲得してきた。そんなレゴの経営哲学のひとつに、「製品ではなく、システムを作る」といったものがある。

 玩具市場は、単発の商品があふれている。つまり、商品どうしに繋がりがあるものが少ないのだ。「もっと商品どうしにつながりを持たせるようなシステムがあれば、ブランド価値も高まるのではないか」という発想から、最終的に行き着いた原則は以下の通りである。

①想像力を制限せずに、サイズを制限する
②手頃な価格
③シンプルで、丈夫で、多様性がある
④女の子も、男の子も、どの年齢の子も、楽しめる
⑤いつまでも飽きがこず、刷新の必要がない
⑥販売しやすい

出典:レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理

 この原則にのっとって開発を続け、様々な種類(最初は家、街路、消防署など)のテーマでレゴのセットが売られるようになった。様々なテーマのレゴのセットが発売されればされるほど(そして子供たちがレゴを買えば買うほど)、新しいものが作ることができ、レゴの可能性は無限大になったのである。このシステムが、レゴの“一人勝ち”を可能にした。

レゴの経営哲学その3:破壊と創造でイノベーションを生み出す

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 前述した通り、レゴは創業当初「木製玩具」を生産していた。もちろん、製品ラインアップの9割は木製玩具だった。しかし、「プラスチック製のブロックに賭けて経営していく」と決めた際に、木製玩具の製品は切り捨ててプラスチック製一筋でレゴを続けていく姿勢を示した。明確に定義された中核事業に、自社の資源(レゴのデザイナー)と才能の全てを注ぎ込んだのだ。社運を託すとは、まさにこのことである。

 この経営哲学は、スティーブ・ジョブズの考え方に似ている。スティーブ・ジョブズも「イノベーションとは、1000の提案を却下する」と述べている。たとえそれがきわめて優れたものであっても、切り捨てるべきものを見極めることで、それを切り捨てなかった場合よりもはるかに良い結果を得られることがあるのだ。


 世界でもっともポピュラーなおもちゃブランド「レゴ」。最近は、レゴランドというエンターテイメント施設や、アニメーションまで手がけている。このレゴの経営哲学は、最近の経営術では見られない粘り強さがある。レゴのイノベーションは、まだまだ続くだろう。もっとレゴの秘密を知りたい方は、ぜひこの一冊を手にとってみてほしい。

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