1. 服を買う時代から、レンタルする時代に。大手アパレル企業を脅かす刺客「レンタル服サービス」とは?

服を買う時代から、レンタルする時代に。大手アパレル企業を脅かす刺客「レンタル服サービス」とは?

出典:www.river-gate.jp
 最近、よく耳にするようになった「レンタル服サービス」。すでにレンタル服サービスの愛用者という方もいるだろう。

 実はレンタル服サービスは、ここ1、2年で人気を集めるようになった市場で、その人気に伴い市場も激化してきている。ついには今年の9月に、大手アパレルメーカ・クロスカンパニーまでもが、「メチャカリ」という名のレンタル服サービスをリリースし、本格的に事業に参入した。

 もはや自分の足でショップに足を運び、服の品定めをする必要性は必ずしもなく、自宅で自分の好きな服を選び、購入するという時代が幕開けしたように感じる。

 今回は今人気を博しているレンタル服サービスについて説明をした後に、レンタル服サービス市場の現状分析、さらには大手クロスカンパニーが始動したレンタル服サービスの戦略を見ていきたい。

激化するレンタル服サービス市場。

 今巷でブームを起こしている「レンタル服サービス」とは何だろうか。

 簡単に言えば、洋服やアクセサリー靴などのファッションアイテムをレンタルしてくれるサービスだ。レンタル服サービスは多くの場合、ネット上で閲覧・購入の一連作業が行える上にクリーニング代もかからない。レンタルという点から実物を購入するよりも費用を抑えられるので、レンタル服サービスは非常に便利でリーズナブルなサービスなのだ。

 ではここで、今世間を賑わせている「レンタル服サービス」をいくつかご紹介しよう。

レンタル服サービスの火付け役「airCloset」

出典:www.air-closet.com
  レンタル服ブームの火付け役となったのは、まさしく「airCloset」の存在。2014年10月から事前登録ユーザーを募集し、レンタル服サービス開始前に約2万5000人の会員(無料会員含む)を獲得し、利用までになんと数ヶ月待ちになる事態まで発生している。

 「airCloset」のシステムは、月額6,800円(税抜)の定額制レンタル。事前に登録した利用者の好みに合わせ、専属のスタイリストがトップス・スカート・パンツ・ワンピースの中から利用者に合う3アイテムを送る。レンンタルした服を返却すると、次の服が届くシステムで、返却料無料・交換回数に制限がなしが特徴。お気に入りの服を買い取ることも可能である。

 プロのスタイリストが自分に合いそうな服を選んでくれるので、届いた服を見るまでのわくわく感が楽しいに違いない。また「これって私に合うんだ!」という新しい発見に繋がるかもしれない。

レンタル服サービスの開拓者「FreshNeck」

出典:www.freshneck.jp
 「FreshNeck」は、男性を対象にしたネクタイレンタルサービス。2014年10月にニューヨークが発祥となったこのサービスを日本に導入した。レンタル服サービスの先駆け的存在だったので、特にビジネスマンの間で大きな話題を呼んだ。

 「FreshNeck」のシステムは、月額3,800円(税込)のスタンダードコースと月額5,900円(税込)のプレミアムコースの2つの会員コースの中から、ネクタイと関連商品をレンタルできるサービスである。コースによって種類は異なるが、「テッドベーカー」、「ブリューワー」、「アルマーニ」や「ゼニア」などの幅広いブランドアイテムを揃えており、3点同時にレンタルが可能。オプションをつければ、それ以上レンタルすることもできる。またお気に入りのネクタイに関しては、小売価格より安価な値段で購入することもできる。

 ビジネスマンにとってネクタイも大事なファッションの1つ。値段のはるブランドや変わったデザインに挑戦したい人にとって、レンタルはうってつけのサービスに違いない。

レンタルサービスの期待の超新星「Licie」

出典:licie.jp
 レンタル服サービスの超新星として注目されているのが「Licie」である。レンタル服サービスの多くはネットが多い中、あえてレンタルショップに訪れて服を選び、レンタルという形式をとっている。

 「Licie」のシステムは、ベーシックプラン(月額5,500円)とトライアルプラン(月額500円)の2つのコースの中から選択し、好きな服やバッグ、帽子、アクセサリーが最大2点まで同時にレンタルできる。先述したように、表参道にあるお店に実際に出向き、借りたい服を選ぶのが最大的な特徴であり、返却時はレンタルした服を直に持って行かなければならない。

 直にお店で選べるという点は、自分が本当に着たい服を選択できるメリットを有しているが、一方で返却するにも店に足を運ぶので面倒というデメリットもある。

アパレル業界の変容:ファッションの激安化

 レンタル服がどういった形態のサービスで、現在どのような種類があるのかは理解できたかと思うが、なぜこのレンタル服サービスが勃興しているのだろうか

服にお金をかけない若者が急増中

 その理由の1つとして、20代から30代前半の世代が服にお金をかけなくなったということが挙げられる。

「独身男女が1ヶ月間で衣服にかける金額」総務省統計局データ参照)
平成26年 男性8,350円  女性10,718円
平成21年 男性10,777円  女性15,279円

 このデータを見て分かるように、この5年間で男性は約2,000円、女性は約4,000円も服へのコスト削減するようになった。「若者のファッション離れ」という短絡的な要因とは思えないが、「forever21」や「H&M」といった若者に人気のある単価の低いお店の乱立などが1つの原因として考えられるかもしれない。

 若者がお金をかけなくなった分、今後安価で場所をとらない服レンタルサービスがますます発展していくことに期待ができる。

 それにしても、レンタル服サービスの多くが女性を対象にしている。その理由と、男性を対象にした市場に見込みがあるのかについて考えたい。

男性と女性のニーズの違い

 さらに先ほどのデータを見ても分かるように、女性の方が男性と比較すると圧倒的に服にお金をかけている。そのことからも、女性を対象とした服レンタルサービスを提供する方が市場の見込みが大きいと明確であり、現在リリースされているサービスのほとんどが女性向けとなっている。実は男性を対象にした場合も過去にあったのだが、それはレンタルが売りではなく、選んでもらうことが売りだった。

 もしかしたら女性は安い値段でより多くの服を手に入れたいという願望があり、男性は似合う服を選んで欲しいという願望があるのかもしれない。そういったニーズに合わせたサービス内容であれば、両市場の拡大も見込めるように思える。

クロスカンパニーも服レンタル事業に参入!

 クロスカンパニーという大手アパレル企業をご存知だろうか。「earth music&ecology」や「イーハイフン」など若い女性を中心に人気を集めているアパレル事業に加え、ナチュラルアイスクリームやコスメといった新規事業も展開している会社である。2013年に売り上げ高は1,100億円を突破し、最近では「第2のユニクロ」とも称され、期待が高まっている。

 そんな今一番注目されている「クロスカンパニー」が、2015年9月、「メチャカリ」という服レンタルサービスをリリースし、レンタル服サービスの市場に参入した。クロスカンパニーウェブマーケティング部 澤田昌紀課長は「他の業界に奪われたシェアをアパレル業界に取り戻すための手段の1つ」だと話している。

クロスカンパニーのリリースした「メチャカリ」

出典:mechakari.com
 「メチャカリ」は、「earth music&ecology」などのクロスカンパニーブランドの商品を月額5,800円(税別)でレンタルできる仕組みである。商品は最大3点までで、月に何度レンタルしても◎。60日間借り続けた場合は、その商品をもらえるそうだ。服は必ず新品が届くが、返却する際は手数料として500円(税別)かかってしまう。

「メチャカリ」の強みと課題

 メチャカリの強みは、自社ブランドという点である。他のレンタル服サービスと比較しても、服の質が高く、常に新品が送られてくるのは嬉しい。特に「earth music&ecology」のブランドの愛用者であれば、使い方によってお店で購入するよりお得。また「メチャカリ」は、商品を使ったコーディネートを特集しているので、顧客が着たときのイメージが想像しやすく、またコーディネートを真似できるのも嬉しいと思う。

 しかしながら、気に入った商品を購入したい場合、60日間借り続けなければならないので、その間に新しい服を2着しか借りられなくなるという制限が加わる。さらに、実際に購入したときよりお得になるには、高いアウターをレンタルするのに限る。また返却料がかかるというのも、色々な服を楽しみたい人にとっては、欠点に映るだろう。

 クロスカンパニーががレンタル服事業を拡大する上での鍵は、既存のメチャカリの方針をどうしていくのか(店で購入するよりもメリットがあるようにさせる)、そして、より多くのユーザーに利用してもらうための参入ブランド拡大になるのではないだろうか。
 

 今後ネットを利用した、レンタル服サービス市場はより激化すると共に、アパレル業界の在り方もより大きく変容するに違いない。ユニクロといった他アパレル企業は、この新興市場をどう見つめているのだろうか。

 今回は「レンタル服サービス」を中心に、アパレル業界の変容について指摘をしてきたが、同様のことが他業界でもいえる。例えば、映像業界に関しては、「Hulu」や「Netflix」といったネット上でコンテンツ見放題になるサービスが勃興しているだろうし、出版業界においてはネット上で読書ができる電子書籍が流通している。このようなことからも、近年は物を所有するところではなく、場所を取らずにコンテンツだけを消費するところにビジネスの可能性が萌芽しているのかもしれない。

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