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業績不振で給料減額? 給料減額になったときに気をつけるべきこと

Tobayashi

2015/11/06(最終更新日:2015/11/06)


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出典:www.thetiquetteschool.com
 業績不振から減給といわれると、「そういうこともあるのかな」などと簡単に考えがちだが、実際にはこの減給は合法なのだろうか。今回はあまり知られていない給料減額のルールと気をつけるべき点について見ていこう。

業績不振で給料減額ってあり?

 めまぐるしく経済の動く今のご時世、会社の業績が悪化することはどの企業にも起こりうることだろう。こんな場合には、経営者の立場から言えば、やむを得ず給料の減額を考えるのは仕方ないことかもしれない。しかし、会社と労働者の雇用関係は基本的に労働契約によって結ばれているため、給料などの様々な労働条件はこの労働契約の上に成り立っている。そのため会社の都合で給料を減額したりするなどの、労働者に不利益となる労働条件の変更、不利益変更は原則として法律で認められていない。会社が一方的に減額したり手当を引き下げたりは法律上できないのだ。

  しかし、給料支払いのために会社が倒産したのでは元も子もなく、労使双方に不利益となってしまう。そのため一定の条件の下であれば給料の減額などを行うことが許されている。客観的に判断して必要性が認められ、正当な手続きが踏まれていれば給料の減額などの不利益変更を行っても違法とならない。一方的な減給は認められないが、労働者との合意の上での労働契約の変更による給料の減額などは可能ということだ。では労働者が実際に減給されてしまった場合はどのようなことに注意すべきなのだろうか。

黙示の承諾に気をつけよう

  実際に給料が減額される際には、会社からその旨の通告が届く。上に述べたように会社からの一方的な給料の減額などの不利益変更は基本的に禁止されているので、裁判所も賃金引き下げには比較的高いハードルを設定する傾向がある。しかし、だからといって安心していると思わぬおとし穴にはまりかねないので注意が必要だ。

 会社から一方的に減額の通告が来た場合、基本的にはそれを拒否して訴訟を起こせばある程度勝訴の見込みがある。しかし、労働者が通告を受けてからも文句を言わずに減給された給料で長期間働いて賃金を受けてっていた場合には、後になって裁判を起こしたとしても裁判所は労働者が減給に対して「黙示の承諾」をしたとして勝訴できない場合がある。労働者はその立場から意見を言いにくいことが多く、このような「黙示の承諾」が発生してしまいかねないので注意が必要だ。

給料の減額事例

  以上のように原則会社の一方的な不利益変更は禁止されているが、労働者の同意があれば減給することも可能だ。ここではこの「同意」について考えていく。まずは給料を一方的に減額された例を見ていく。

  まずは、飲食店で働き始めたKさんが減額された賃金の支払いを求めて提訴した事例だ。会社側は減給に同意があったとしており、Kさんが給料の減額に同意したのかどうかが裁判の争点となった。会社側の主張は、給与にばらつきがあり不公平な状況となっていたために、合理的な給与体系とするためにKさんに年額80万円の減給を求めたところ同意を得たので減額した、というものだった。これに対してKさんは、減給については納得していなかったものの、働き始めたばかりで今後のことも考え明確に拒否の態度は示さずに「ああ、はい」などと曖昧な返事をしてその場を終えたという。

 問題は、このやり取りが給料の減額に同意したと言えるかどうかということだ。実際の裁判所の判決としてはKさんの入社から間もなかったこと、今後のことを考えて明確な拒否ができなかった点、Kさんの抽象的な言い方を鑑みて、Kさんは減給に同意したと認めるには不十分だとした。


  今回のケースでは給料の減額は不当と認められたが、このような簡単なやり取りでもトラブルになり得ることは気にして生活していった方がいいだろう。

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