1. 多彩で、深く、独創的。あの歴史上の偉人や天才の「考え方」をワザ化する。:『頭がよくなる思考法』

多彩で、深く、独創的。あの歴史上の偉人や天才の「考え方」をワザ化する。:『頭がよくなる思考法』

by wadem
 フッサールやヘーゲルといった哲学者をご存知だろうか。「哲学」というと、堅いイメージや専門用語がたくさん出てくるといったイメージがあり、堅苦しい印象を受けてしまいがちだ。ましてや、天才と呼ばれる哲学者たちの考え方を真似るなど、到底無理なことのように思える。

 しかし、実は私たちが哲学者の考え方を真似ることは日常生活でもできることなのだ。本書の著者・齋藤孝氏曰く、歴史上の偉人や天才の考え方を真似することで、自分の思考のワザを鍛えることができるようになるそうだ。本書『頭がよくなる思考法 天才の「考え方」をワザ化する』では、先ほど挙げた哲学者・フッサールとヘーゲルを題材にして7つの思考法を紹介している。

 今回は、本書に紹介されている「フッサールの現象学」の一部分についてお話ししたい。

「何かに驚く」思考法

 そもそも、前述した「フッサール」とは、オーストリアの哲学者であり数学者で、19〜20世紀に活躍した人である。フッサールは、諸学問に根拠を与える「基礎づけ」の学として現象学を構想した。彼の現象学が提案した重要な概念に、「世界に対して驚くこと」がある。

 子供は見るもの、触れるものすべてが新しく感じるので、様々なものに感動を覚えやすいが、大人はそうはいかない。感動しやすい性質だと言っても、子供の頃のように素直には驚くことができないだろう。見るもの、触れるものすべてが「当たり前」に感じてしまうに違いない。

 しかし、「世界を再発見する」上で、感動することは非常に大切である。驚くことで、人生に飽きたり、退屈したりすることが減るのだ。

 また、驚きや気づきは自分の中にある「思い込み」を排除してくれる役割も持つ。自分の視野を広げるためにも、様々なことを観察し、ささいなことで感動するクセをつけるべきであると本書では主張されている。

底の浅い「わかった」を防ぐ思考法

 理解したわけでもないのに、「わかったわかった」と連発する人がいる。その会話や行動、手間が面倒くさいから、多くの人は「わかった」という言葉で問題を断ち切ってしまいがちなのだ。

 それは本当の意味で「わかって」いない。細かく丁寧に物事へ反応することで、やっと私たちは「わかった」と言えるのである。そして先ほどの現象学における「驚き」と同じく、細かく物事を見つめると、新しい発見が尽きない。「わかった」までのプロセスはとても長いものであり、断ち切っていいものではないのである。

 このように、「わかった」つもりでいることが多いなと感じた方は、「わかった」という前に、再度物事を見つめ直して欲しい。そこで新たな疑問がわいて、「わかった」つもりのものへの理解が深まるに違いない。

「どうせ」→「でも、なぜ?」に変える思考法

 私たちは、自分と違う感覚に出会うと、「わからない」といって理解を拒む傾向があると斎藤氏は述べる。しかし、「わからない」と理解を拒んでしまっては、自分の世界は広がらない。むしろ、狭めるばかりである。

 そこで、意識して他者の感覚を取り込むことを、本書ではお勧めしている。他者の感覚にも関心を示し、良いものは自分に吸収していく姿勢を忘れてはならない。

 新しいもの(漫画、アニメ、お笑い……などなんでも良い)を「どうせつまらないもの」と決め付けるのではなく、「でも、なぜ評価されるのだろう?」と一歩踏みとどまって考えることは、無意識のうちにできることではない。しかし、意識して一つ一つ丁寧に「でも、なぜ?」と問うことで、新しい気づきが生まれるはずである。


 今回は、フッサールの現象学の一部分しか紹介することができなかったが、本書の第6章では、ヘーゲルの弁証法についても触れられている。

 頭のよさとは、思考のワザが多彩で、深く、独創的だということである、と斎藤氏は主張している。思考法を、過去の偉人や天才から直接学ぶことは不可能であるが、考え方の要素を部分的に取り入れることで、自分の生きて行く上での思考の一助になる。本書を読んだことを機に、他の哲学者の本も読み進めてみてはどうだろう。
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