1. 8年越しの悲願・米国初の女性大統領なるか。ヒラリー・クリントンは語る「チャンピオンになりたい」

8年越しの悲願・米国初の女性大統領なるか。ヒラリー・クリントンは語る「チャンピオンになりたい」

by RogerGoun
 2008年のアメリカ合州国大統領選挙から、はやくも7年の歳月が流れた。随分と懐かしく感じられるこの選挙は、ある意味で歴史に残る選挙だったのではないだろうか。というのも、当選挙における二大巨頭。そのどちらが大統領になろうとも、彼らは「米国初」という冠をその身に背負うことになっていたからだ。

 結果的に大統領となったのはBarack Obama(バラク・オバマ)という「米国初の黒人大統領」だったわけだが、そのオバマの対抗馬として出馬していたHillary Clinton(ヒラリー・クリントン)の存在も忘れてはならない。彼女が大統領になっていれば、未だに性差別が激しいとされるアメリカ合衆国で初となる女性大統領が誕生していたのだ。

 そんな歴史的な大統領選挙からはや7年、いや、8年となる来年・2016年は、オバマ大統領の任期が終わる時期、すなわち、新しい大統領が決まる年だ。合衆国憲法22条により、二度を超えて大統領に選出されることは認められていない(三選禁止)。よって、オバマ大統領は退任を余儀なくされ、そして、必ず新たな大統領が生まれることになるのだ。

 そんな2016年(厳密に大統領が就任するのは2017年だが)の合衆国大統領選挙におけるキーマンのひとりとなっているのが、何を隠そうヒラリー・クリントン氏(以下、敬称略)なのだ。今回はそんなヒラリー・クリントンという人物にスポットを当てて、2016年の合衆国選挙を詳しく理解していこう。

米国初の女性大統領に最も近い女性「ヒラリー・クリントン」

私は家でクッキーを焼いて、満足しているような女性ではないです。

出典:ヒラリー・クリントン - 名言

 このような言葉を真面目な顔して言える女性。それがヒラリー・クリントンだ。「米国初の女性大統領」との呼び声も高いヒラリー・クリントンは、まさに女性の中の女性、女性の権化とも言えるだろう。日本の女性の中に、このようにきっぱりとモノを言える女性がどれほどいるだろうか。

 日本では近年、「草食系男子」や「肉食系女子」といった言葉が蔓延し、さまざまなシーンで女性の社会的地位の向上も叫ばれてきた。その影響もあってか、女性の社会進出も目立ってきた。とはいえ、国際的な目で見ると、やはり女性に対するある種の差別は依然として世に蔓延っている。「女性は家庭にいるもの」「妻は旦那の3歩後ろを歩くべき」といった一種の潜在認識といったものは、そう簡単に取り払えるものではない。

 だが、ヒラリー・クリントンは違う。自分の居場所を家庭ではなく、政治に置いた。無論、彼女もひとりの家庭人だ。言わずもがな、ヒラリー・クリントンの夫は第42代アメリカ合衆国大統領のビル・クリントン。ビル大統領の在任時(1993〜2001年)には、「世界最強のファーストレディ」とも呼ばれていた。

「ヒラリー・クリントン」という生き方

by Nrbelex
 時に2016年の大統領選挙に出馬した候補者の中に、ジェブ・ブッシュという人物がいる。ブッシュと聞けば、思い当たる人物はひとりだろう。日本でも有名な第42代大統領であるジョージ・H・W・ブッシュ氏だ。彼はジェブ・ブッシュの父である。おまけに兄はオバマ大統領の前任者・ジョージ・W・ブッシュ氏。
  
 そう、政治家の世界というものは、こういった親族の支持も自らの力としてのし上がっていく世界、というのが実情になっている(いや、この人物が大統領になる可能性は別に高くはないだろうが)。だが、ヒラリー・クリントンという政治家は違う。生まれは中産階級。親族に政治家はひとりもいない。まさに、自らの手でその人生を切り開いてきたキャリア・ウーマンだということを、まずは知っていてもらいたい。

 1947年、戦後間もなくしてこの世に生を受けたヒラリー・クリントン。父は繊維業界では有名人だったが、政治はからっきし。母は専業主婦。そんな家庭で生まれ育ったヒラリー・クリントンだったが、若い頃から政治に興味があり、大学生の頃には共和党のバリー・ゴールドウォーター候補を応援するゴールドウォーターガールなども務めた。

 その政治活動への熱心さが認められてか、大学生の時には学内青年共和党という組織の党首にも選ばれる。しかし、この当時からヒラリー・クリントンはヒラリー・クリントンだった。ベトナム戦争や公民権に関する共和党の政策に疑問を持ち始めた彼女は、きっぱりとその任を辞任したのだ。

 大学卒業後は弁護士として様々なシーンで活躍し、1975年にはビル・クリントンと結婚する。ビルが若くしてアーカンソー州の州知事になり、彼女もアーカンソー州のファーストレディとして注目を受ける。その際に発したのが上の「私は家庭でクッキーを焼いて、満足しているような女性ではありません」という発言だったと言われている。

 無論、こういった彼女の発言に対する批判は少なくない。「専業主婦に対して冷淡」や「急進的フェミニスト」と呼ばれることもしばしば。実際のところ、ヒラリー・クリントンが2008年の大統領選挙で負けたのも、彼女の発言が炎上したことが大きい。あまりに正直にモノを言い過ぎる性格の持ち主なのだ。

 だが、そんなヒラリー・クリントンという女性だからこそ、成し得ることもあるのではないか。今までの男性大統領にできなかったことが、ヒラリー・クリントンにはできる。彼女は、不思議とそんな風に思わせてくれる女性ではないだろうか。

ヒラリー・クリントン「私はチャンピオンになりたい」

by marcn
 ここからは、そんなヒラリー・クリントンの言葉にスポットを当てて、彼女の生き方や考え方の根幹に迫っていこう。

アメリカ国民は毎日チャンピオンを欲しています。私はそのチャンピオンになりたいのです。

出典:ヒラリー・クリントン - 名言

 ちなみに、彼女が2008年の大統領選挙で負ける(という言い方が正しいかどうかさておき)最後の決め手となったのは、ロバート・ケネディ暗殺事件に絡めて、ライバルであるオバマ候補の暗殺とも取れる発言をしてしまったこと。大統領選開始直後はダントツの支持率で、次期大統領の呼び声も高かった彼女だが、こういった失言が彼女の人気を落としたのは言うまでもない。

私もアメリカの未来のために、大統領選に出ます。

出典:ヒラリー・クリントン - 名言

 たしかに「口は災いの元」という言葉はある。言葉はその心を映すものだ。特に、政治家という職業にとって、言葉というものは巧みに操らなければならない。だが、しかしだ。時に人は嘘をついたり、本心を明かさなかったりもする。政治家という世界であればなおのこと。未だに時代錯誤の天下りなどが問題視されるのは、そういった虚言の類や黙殺が、政治家の間で蔓延っているからであろう。

女性の環境は千差万別で定型ではない。
ただひとつ、自分に正直であれ。

出典:ヒラリー・クリントン - 名言

 その点、ヒラリー・クリントンという女性は、とても正直な女性だという解釈もできるのではなかろうか(オバマ大統領の件はさておき)。透明性の高いことこそ、現代の政治家に求められていることだ。合衆国大統領であればなおのこと。

経済を前進させるためには、日本や世界中の女性の潜在力を解放することが不可欠。

出典:ヒラリー・クリントン - 名言

 ヒラリー・クリントンはたしかに不器用かもしれない。発言のひとつひとつまで気を配れるような裁量の持ち主ではないとも言える。だが、そういった細かな点を指摘してばかりいて、政治は変わるだろうか。

 日本の国会などもそうだ。「他者を蹴落としのし上がる」という姿勢が見え見えではないだろうか。「誰々が失言した」とか「安倍総理が靖国神社に……」とか、誰かの批判をしてばかり。自分がどうあるべきか、ひいては国がどうあるべきかについて考えている人間がどのくらいいるだろうか。いささか疑問になってくる。

 ヒラリー・クリントンという女性は、そのような女性ではない!と言い切るには、筆者もその点はまだまだ勉強不足だが、少なくともアメリカという世界一の国家を仕切る大統領は、そのような政治家にはなって欲しくない。ヒラリー・クリントンという人物は、あらゆる面で信じるに足る候補者のひとりだと考えられる。


 ヒラリー・クリントンが2016年の大統領選挙で勝利するかどうかは、神のみぞ知る、だ。様々な憶測が飛び交ってはいるものの、まだ始まってもいない選挙の結果など誰が分かるだろうか。

 だが、米国の大統領が新たに決まるということは、日本に住む人間にとっても一大ニュースだ。いや、少なくとも、そう捉える心を忘れないでいて欲しい。日本の選挙も興味なのに、アメリカの大統領なんて誰でも……といった考え方ではいけない。いつまでもこの平穏な生活が保証されてると思っているのは勘違いも甚だしい。常に世界情勢に耳を傾ける姿勢を忘れない“世界人”であって欲しいのだ。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する