1. 耳を傾けずにはいられないプレゼンには共通する“コツ”がある『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』

耳を傾けずにはいられないプレゼンには共通する“コツ”がある『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』

by urban_data

 人前で上手に話したい。誰もがそのように感じたことがあるのではないだろうか。自分の考えていることを他人が受け入れやすいように表現するプレゼンテーション能力は、どの職業・どの場面でも必要不可欠である。

 ビル・ゲイツやウィキリークス創始者のジュリアン・アサンジなど、世界中のカリスマが集うTEDトークは自己啓発になるだけではなく、プレゼンを成功させたい人のためのバイブルであるといえよう。
 
 本書『TEDトーク 世界最高のプレゼン術【実践編】』では、TEDxイベントのオーガナイザーであり講演家でもある著者が、より聴衆を魅了するための実践的な「105のテクニック」を伝授する。著者は自称「TEDトーク中毒者」であり、20年間パブリック・スピーキングの研究に費やしたジェレミー・ドノバン氏である。

 世界のカリスマのプレゼンには、なぜ耳を傾けたくなるのか。人気のスピーチを解析してわかった、人を魅了するプレゼンの秘密に迫ろう。

相手の心を惹きつけるプレゼンに欠かせない2つの要素

メッセージを1つに絞る

 プレゼンは、単なるアイデアの寄せ集めであってはならない内容を詰めすぎると全体の印象が弱まるからである。自分の中での経験や見聞を生かしたアイデアを紹介し、1つのトピックを情熱的にプレゼンすることで、聞き手にプレゼンの印象を強く残すことができるのだ。

 TEDトークの主な目的は、価値のあるアイデアを世に広め、聞き手にこの世界をより良くする行動を起こしてもらうことである。「価値あるアイデア」というと大層な響きのように思えるが、TEDトークをよく聞くと、提案しているのは誰でもできそうな小さな行動であることが多い。小さな行動とは、コストをかけずに短時間で簡単に実行できるものを指す。あまりに大きなメッセージを伝えようとするとプレゼンの印象がぼやけてしまうが、聴衆が自分事にしやすいメッセージはより心に残りやすいのである。

 プレゼンを終えたとき、聞き手は自分の伝えたかったことを本当に理解してくれている状態になっているか。トークを始める前に、そのことを確認しておきたい。

「前提主導型」のプレゼンを繰り広げろ

 そもそもプレゼンの構成には主に2つのタイプがある。「ストーリー主導型」と「前提主導型」である。「ストーリー主導型」はプレゼンを行う人物が1つのストーリーに沿ってプレゼンを進める。自らの経験談を一人称で語るというタイプで、TEDトークで例を挙げると「イ・ヒョンソ:北朝鮮からの脱出」がそうだ。

 一方、「前提主導型」はプレゼンを行う人物が自身の主張をいくつかの構成要素に分けて順に明らかにしていくタイプである。実際のところTEDトークでは、ほとんどのスピーカーが「前提主導型」を採用している。

 どんなトーク内容なのかにもよるが、自分が言いたいことを先に伝える「前提主導型」の方が、聴衆を飽きさせることなくプレゼンに惹きつけることができる。

ストーリーテリングの鉄則

 アイデアは、実体験に基づいたストーリーの中で語るとより効果的に伝わるという。ただ、自分の経験や見聞からストーリーを持ってくるといっても、事実を淡々と語ればよいというわけではない。ストーリーは「語らずに示すのである。

 聞き手の気を引き、飽きさせないためには、ダラダラと喋らず「うまく示す」ことを意識する。「百聞は一見に如かず」なのだ。語るときには目に見える形で「示す」必要があるのだ。

 とはいっても、ステージ上で自分の経験を体で表現するわけにはいかない。ストーリーを「示す」ためには、自分のプレゼンのストーリー中に時間、状況、雰囲気などを明確に盛り込むことが出来れば良い。聴衆が五感をフル活用する表現を所々に散りばめ、会話や登場人物の具体的描写で自分の経験をいきいきと再現してみてはいかがだろう。

 聞き手がプレゼンを行う人物の話をただ何も考えず聞いているよりも、これはずっと効果的だ。人気のファンタジー小説は読み手がワクワクし、情景が思い浮かぶもの。これと同じ理論である。

時にプレゼンに言葉は必要ない

 前述の通り、プレゼンにおいて言葉のチョイスは大切である。しかしプレゼンを行う人物の役割は、豊富な語彙を披露することではない。聞き手の関心を引き、インスパイアすることが目的なのだ。

 そのためには言葉が必要無い場合だってある。TEDトークでは「沈黙の間さえも計算している」と筆者は述べている。カリスマプレゼンターの沈黙は、無論休憩するためなんかではない。ましてや、水を飲むための小休止でもないのである。

 この「間」は、れっきとしたプレゼンの一部だ。「間」は聞き手の理解を深めさせる時間であったり、プレゼンする人物が聞き手の反応を確かめたりする時間に当てられている。

 序論、本論、結論どれにも自分なりのキャッチフレーズを作成し、いくつかのジョークを挿入することもプレゼンの鍵だ。最初にジョークを入れてアイスブレーキングをすることで、聞き手もリラックスして話を聞けるようになる。

 また、シンプルでダイレクトな言葉も必要だ。世界のカリスマプレゼンテーターは、小学6年生でもわかるような言葉を用いてプレゼンしている。難解な言葉を並べ立てうんちくをたれるよりも、シンプルであるが深みがある言葉を精選する方が聞き手に印象を残すことは自明である。


 YouTubeやTEDの公式サイトではプレゼンが随時更新され、無料で公開されている。この本を読んだ後にTEDを観直してみるとまた違った発見があるはずだ。そして今度は、インスパイアされる側からする側に回ってみてはいかがだろう。

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