1. 世紀をまたいで“勝ち続ける”企業の「デザイン戦略」:『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』

世紀をまたいで“勝ち続ける”企業の「デザイン戦略」:『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』

by Leo Hidalgo (@yompyz)
 コカ・コーラ。1886年にアメリカのジョージア州アトランタで薬剤師が発明した、1杯5セントの飲み物の名称である。発明から一世紀以上経った今、200カ国以上で毎日19億人が口にするコカ・コーラは、世界各地のコンビニや自動販売機で目にすることができる。

 コカ・コーラ社は社名になっているコカ・コーラだけではなく、アクエリアス、爽健美茶、い・ろ・は・すなど、日本でもお馴染みの製品を数多く手がけている。また、コカ・コーラは来たる2020年の東京オリンピック・ワールドワイドパートナーを務めることが決定しており、国民的な飲料としての変わらぬ地位を築いていることが窺える。

 100年以上隆盛を極めている企業、コカ・コーラは、どうしてここまで成長できたのだろうか。その秘密は、コカ・コーラ独自の「問題解決法」にある。コカ・コーラ社の「デザイン戦略責任者」を務めた著者が送る『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』からは、コカ・コーラの成長戦略を学ぶことができる。

「デザイン」という言葉に魔法の力は無い

 「デザイン戦略」と聞くと、ラベルの色やパッケージの形を考える人が多いであろうが、そうではない。身の周りにあるもの、起こる事象(誕生日パーティーでさえも)は全て誰かがデザインしたものだ。つまりデザインは、様々な場面で知らず知らずのうちに全ての人が行っている。そして私たちは誰でも、優れた「デザイナー」になりえるのだ。

 コカ・コーラ社が行っているデザイン戦略のゴールは、もちろんボトルのラベルのデザインとして形や色を選ぶことだけではない。この「ボトルのデザイン」一つで、目の前にあるビジネスの問題を解決することが求められるのだ。例えば、サプライチェーン戦略やサステナビリティの目標を達成したり、小売業社の事業計画にうまく適応したり、消費者のニーズも満たさなくてはならない。

 デザイン戦略とは先ほど述べた通り、問題を解決する手法のひとつである。そのため著者は「デザイン」という用語自体を避けて、聞き手に伝わるように他の表現を探すという小さな手法もまた、自分が立てたデザイン戦略なのであると述べている。
 
 さらにデザイン戦略は企業に最大の価値をもたらす場合がある。その際、目に見えるものと見えないものを結びつける「システム」が重要である。製品であったり広報であったり、社員という要素は目に見えるが、その要素が作用した「企業同士の関係」や「社風」などははっきりと目に見えるわけではない。これらの問題を適切に結びつけば、その企業は成長するであろう。

 著者の挙げた例はサッカーチームである。選手の数もユニフォームもスパイクもボールも一見同じように見えるが、勝つチームは明らかに負けるチームとどこかに差があるはずだ。それは彼ら同士のパスの連携であったり、独特の手法であったりする。サッカーチームは、目に見えない要素においても「勝ち続けなければいけない」という問題を解決するためにデザインされていると言っていい。

信頼をデザインする

 「立場や職責がどうであれ、オフィスに陣取りスタッフに指示を送るだけでは意味がない」と著者は述べる。確かに、「あれをやれ、これをやれとリクエストを出してくるけれど、本当にこれを自分自身でやったことがあるのか」と疑問に思うような上司の指示に覚えがある部下は多いだろう。

 人は、自分で考えているほどに今抱えている問題をわかっていない。だからこそ現場に出向き、問題をその目で確認し、解決しようと取り組んでいる人々に接して本当の意味で理解をしなければならない。

 話すよりも耳を傾け、問題を早期に発見し、アイデアをスタッフに伝えることは、自分の学びにも信頼にも繋がり、最終的に問題解決の突破口にもなり得るのである。ここでも、自分自身をデザインするという「デザイン戦略」が役立つのだ。

現実的に問題に向き合い、計画する

 計画も立派なデザイン戦略である。何をどうするか順序立てて、一番パフォーマンスが引き出せるように一連の流れをデザインして、実行するのだ。

 とりわけ大手企業にとって「事業計画」は重要なものである。次の計画を練る際には「逆算して計画してみる」と良いと著者はすすめる。これはリーン・スタートアップというマネジメントの手法でもあり、大金をつぎ込む取引や多くの社員を雇う前に、売上や獲得ユーザー数などを想定し、現実に起きたことに基づいて計画を立てなければならない

 ユーザーが現実に何を考え、何に価値を置き、何に対して支払っているのかを見極める実験を何度も試みるという手法は、予算も抑えてでもできるはずである。これらの実験データに基づいて企画立案することは無駄を省き、前述の通りプロジェクトなどを「シンプルに標準化」し、実行することで問題解決に繋がる。


 「組織全体でデザイン戦略を立てなければならない」と著者が何度も述べる通り、長く勝ち続けるためにはそれ相応の工夫が必要不可欠である。本書を読んで自分の抱えている問題に向き合い、これからの自分の成長を「デザイン」していって欲しい。

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