1. 起業の街・シリコンバレー:シリコンバレーが唯一無二のビジネスシティでいられる理由

起業の街・シリコンバレー:シリコンバレーが唯一無二のビジネスシティでいられる理由

出典:500.co

 アメリカ・カリフォニア州のサンフランシスコ・ベイエリアに位置するサンタクララバレー周辺。ビジネスシティという呼称は正確には誤りで、そんな漠然とした地域一帯をシリコンバレーと呼んでいるのだ。

 そんなシリコンバレーが、GoogleやAppleなど世界を代表するIT企業が林立する地域であることは言うに及ばないだろう。それと同時に、高い知名度を誇るシリコンバレーという地域は、起業家たちの犇めくスタートアップシティでもある。

 そして、その唯一無二な存在意義は、他のビジネスシティのそれを遥かに凌いでいる。では、シリコンバレーという地域の一体何が起業家たちを惹きつけるのだろうか。今回はそんなシリコンバレーの特殊性に迫っていこう。

起業の街「シリコンバレー」とは。


 正確な区域付けはされていないようだが、「カリフォルニア州サンフランシスコの南部に位置するベイエリア・サンタクララバレー周辺」というのが、シリコンバレーの定義になっている。主にテック系のスタートアップを起業しては、消えていく。それがシリコンバレーであり、前述の大企業の他にもFacebookやオラクルなどもシリコンバレーに本拠を構えている。

 「起業の街」といっても、その実態は掴みにくかろう。2010年のデータを参照すると、その年の起業社数は46,400社にのぼり、平均すれば年平均で40,000〜50,000社が起業しているというのがシリコンバレーの現状だ。

 例を挙げるとすれば、日本の起業社数になるわけだが、2010年の起業数は約90,000件となっており、アメリカの極一部の地域であるシリコンバレーでの起業数は日本全体の起業数の約半分ほどの規模で行われている。

 確かに日本は起業が少ない国だ。こちらの資料を参照すると、2009年における生産を担う層に占める起業家の割合を主要20ヵ国の中で見てみると、日本の起業数は最下位となっており、成熟社会である日本の体制では、若手によるイノベーション数が欠落しているというのが現状だ。

 とにもかくにも、シリコンバレーという街が起業の街であることはお分かりいただけたことと思う。では、本論に移ろう。なぜシリコンバレーが唯一無二のビジネスシティでいられるのか。その理由を探っていこう。

シリコンバレーが唯一無二のビジネスシティでいられる理由

by Takashi(aes256)

起業家の求める「スピード」

 シリコンバレーにおけるベンチャー起業における最大のメリットとなっているのが、そのスピード性だ。ベンチャー起業家にとって最も重要なことは、イノベーション〈innovation〉だ。それもテック領域となれば尚更のこと。

 イノベーションが生きるのは、それがイノベーションと市場で評価されている間だけだ。端的な例を挙げれば、もしあなたがiPhoneをAppleより早く開発していたとする。その商談のためにアメリカへ行っていた。そしたら、その間にAppleがiPhoneを発売してしまった。このフライト一本で、あなたは2番手になってしまうのだ。

 これは端的な例なので、「有りえない」「特許は?」などのナンセンスな意見は控えていただきたいのだが、こういった時にあなたが悔いるのは一体なんだろうか。それはフライトしていた時間であり、つまるところのスピードではないだろうか。

 そして、シリコンバレーは数々の企業が集まっている地域だ。商談にかかるフライト時間など、野心溢れる起業家にとっては「ムダ」以外の何物でもない。シリコンバレーは世界最大のネットワークが集約されたビジネス空間だといえるのだ。

 つまり集約すれば、革新性を求められるテック系の起業家は、シリコンバレーの集約化された企業ネットワークが持つスピード感を必要としているということだ。これがシリコンバレーの持つ最大の起業メリットなのだ。

政府による支援制度の充実

 シリコンバレーは政府主導による支援政策も盛んだ。ベンチャー起業家向けのシンポジウムの開催や公共セクターの充実などを行っており、起業家にもその家族にも訪れてもらいやすい施策を実施している。

 それには無論、シリコンバレーという街がもたらす経済波及効果が大きい。シリコンバレーに集まる大企業につられて、テック系だけではなく、裾野の分野、特に企業法務や財務関係を生業とする優秀な弁護士や公認会計士等が集まってくるのだ。懐の豊かな彼らは、地域一帯の潤沢な消費者となる。シリコンバレーは、企業と政府の協力関係が構築されており、それが起業家にとっての動機のひとつになっていることは言わずもがなだろう。

若手のスタートアップが好まれる体制

 8社のベンチャー企業を設立したことのあるRandy Adams氏の話をしよう。当時(正確な年号は分からないが比較的最近)60歳の彼は、シリコンバレーで新しいスタートアップ企業を興そうとしていた。しかし、彼の年齢を理由に投資家の多くが出資を断るという事件があったため、シリコンバレーでは年齢の差別が少なからずあるとみられる(起業家の話だが)。

 こういった差別は、Facebookで有名なMark Zuckerberg氏など、若手起業家の成功に大きく起因しているのだろう。そう、逆に言えば、シリコンバレーには若手が起業することを後押しする風潮があるのだ。出資者も若手起業家に期待を寄せやすい。こういった風潮も、シリコンバレーがシリコンバレー足り得る要因となっているのだろう。


 「繁栄」を見事その手中に収めた起業家の街・シリコンバレー。そこにはシリコンバレーでしかそれが起こり得ない様々な必然性のファクターが隠されていた。それはシリコンバレーの集約化社会にあり、政府にあり、若手思考にある。

 今では、「IT業界のイチロー」と呼び声高い福山太郎氏率いる福利厚生のアウトソースサービス・AnyPerkなど、シリコンバレーでの日本人起業家の活躍も見られている。彼らが成功するには……というノウハウは無論「神のみぞ知る」なのだが、彼らの成功を願ってやまない。日本企業も、シリコンバレーでのビジネス網に飛び込む時期なのかもしれない。それが企業の一層の発展、ひいては日本経済の発展につながるのではないだろうか。

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