1. デザイナー・ナガオカケンメイが終わらせる“大量生産”時代:「長く使える良いもの」だけの感動百貨店

デザイナー・ナガオカケンメイが終わらせる“大量生産”時代:「長く使える良いもの」だけの感動百貨店

出典:apm.musabi.ac.jp
 色々なものが「大量生産・大量消費」されることは、現代社会でもはや当たり前となりつつある。ビニール傘に至っては、日本国内での販売数がこの10年で4000万本から約3倍にあたる1億〜1億3000万本まで増加するなど、「使い捨て」のイメージの代表格になっている。

 そんな時代に「待った!」をかけるのが、D&デパートメント株式会社の会長・ナガオカケンメイである。ナガオカケンメイが世に送り出すデザインはどれも、長く使える「普遍的な」デザインである。

 本来ならば、使い捨ての方が大量に購入してくれるため、最終的に利益につながりやすくなる。しかし、なぜナガオカケンメイは、わざわざ「長持ち」させるようなデザインにしたのか。今回は、2015年10月1日放送のテレビ東京『カンブリア宮殿』より、ナガオカケンメイが「普遍的」デザインにこだわり続ける理由、そしてナガオカケンメイがどのようにしてこの「普遍的」デザインを広めているのかをお伝えしていく。

ナガオカケンメイの言う「ロングライフデザイン」とは?

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ナガオカケンメイ(本名:長岡 賢明〈ながおかまさあき〉、1965年2月15日- )は、日本のロングライフデザイン活動家。(中略)人生を賭ける活動の軸は、「ロングライフデザイン」。

出典:ナガオカケンメイ - Wikipedia
 ナガオカケンメイは、日本に「ロングライフデザイン」というデザインを普及するべく活動するデザイナーである。

 ロングライフデザインとは名前の通り、人生において長く使用できるデザインのことだ。単純に丈夫であることに加え、時代の波に流されないような普遍的デザインであることが求められる。ナガオカケンメイはこのデザインを普及させることで、大量生産・大量消費が行われている現代社会にアンチテーゼを投げかけているのだ。

なぜ「ロングライフデザイン」にこだわるのか?

出典:www.d-department.com

 D&Dをたち上げた2000年頃、日本人の消費は末期症状のように「買って捨てる」を繰り返していました。新型がでたら、旧型を捨てる。捨てるといっても気が引けるところに、「リサイクル店」が激増し、引き取り料が発生しても引取ってもらうという、つまり「お金を払ってでも捨てる」状況が起こっていました。

出典:LONG LIFE DESIGN | OPENERS BLOG
 ロングライフデザインと呼ばれるデザインというのは、正直なところ、味気ないと感じる人も多い。“デザイン”と言うにはやはりシンプルすぎる印象を受けてしまうからだ。

 しかし、シンプルだからこそ「長持ちする」デザインなのだとナガオカケンメイは言う。なぜなら、派手なデザインは時代が変われば飽きられてしまうからだ。ロングライフデザインたちは、強い主張をすることがないので、飽きられることはない。したがって、いくら時代が変わろうともロングライフデザインは「消費」されないのである。

ナガオカケンメイ「自分ではデザインしない」

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 ナガオカケンメイの驚くべきところは、自分自身でデザインを手がけていないということだ。デザインをしないのならば、どのようにして世に「ロングライフデザイン」を送り出すのか。

 ナガオカケンメイは、1960年代に流行した、比較的「シンプルな」デザインに目を付けた。かつて存在していたシンプルなデザインを改めて作り直し、再び人気を取り戻させたのである。1960年代のカタログのショールームを忠実に再現して店を構えても、つぎつぎ売れていく家具を見て、ナガオカケンメイは時代が変わっても「ロングライフデザイン」は間違いなく売れるということを示したのである。

ナガオカケンメイ「日本のデザインは少なくとも“47通り”」

 最近思うのは「東京のデザインは東京のデザイン」でしかない。「愛媛のデザインは愛媛のデザイン」というのが正解だなと。47種類のデザインがあるということです。

出典:日本が誇るロングライフデザインはいま、どこにあるのか? [ナガオカ ...
 ロングライフデザインがいくらシンプルとは言っても、そのシンプルが「誰にとって」シンプルなものなのかは決まっていない。そのため、ある人にとって「ロングライフデザイン」たりえるものが、ほかの人から「ロングライフデザイン」ではないと感じられることもあるのだ。

 そして、その基準は日本の都道府県にあるとナガオカケンメイは説く。都道府県ごとに異なるデザインが存在すると言うのだ。そのため、ナガオカケンメイの夢は「47都道府県に店を開く」ことなのだとか。その夢を叶えるべく、ナガオカケンメイは47都道府県にあるロングライフデザインを探し求め、全国の工芸店を渡り歩いている。


 ロングライフデザインという言葉はまだまだ浸透していないものの、大量生産・大量消費に対するアンチテーゼとして今後ますます注目が集まることだろう。ナガオカケンメイの考える「古くて新しい」デザインの今後に期待したい。

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