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新たな転職のカタチ“エグゼクティブ転職”とは? 仕事に飽きた経営幹部の次のキャリアステップ

中村麻人

2015/10/08(最終更新日:2015/10/08)


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by rabbit.Hole

 エグゼクティブという言葉をご存じだろうか。転職が盛んにおこなわれている今日だが、様々な新しい転職のカタチが生まれてきている。エグゼクティブ転職は、その一つである。この記事では、エグゼクティブ転職に関することを紹介していこう。

エグゼクティブ転職の“エグゼクティブ”とは

 そもそも「エグゼクティブ」という言葉は直訳すれば、企業の上級管理職や経営幹部、いわゆる重役といった職のことを意味する。そのため「エグゼクティブ人材」となれば、入社後に一定の期間(1年~3年程度以内)を経て、課長やその上のマネージャー、時には執行役員などになり、部下を5~50人程度を率いる様になる、いわば幹部候補といった人材のことを意味するようだ。

 エグゼクティブ人材の年齢は、30代後半から50代前半が多数を占めるといったところだろうか。エグゼクティブ転職では、基本的には管理職としての経験が前職で数年以上あることが、転職のための試験を受ける前提条件となっていることが多い。その意味で、エグゼクティブ転職は20代後半から30代半ばを対象とした「中途採用」とは異なるものとなる。

歳を取るほど有利なエグゼクティブ転職

 エグゼクティブ転職の対象の中でも、40代〜50代はメインになりがちなイメージだが、転職業界に精通するヘッドハンターの人の話を聞く限りでも、やはり多くのクライアントは通常は40代の方を採用することを想定しているそうである。もちろん年齢などで採用対象を差別することは禁じられているため、明確に「何歳」とオーダーがなされることはないが、話のニュアンスでそれは分かるものなのだろう。

 しかし、エグゼクティブ転職を成功させているのはそのメインと思われる40代の少し上の年齢層、実は50代前半のエグゼクティブ人材なのだ。

 それは何故なのだろうか。実は、我々がメインに考えがちな40代こそ、仕事に対する姿勢は「守り」に入っていることが多いからなのだ。住まいや車のローン、そして子供の教育費など、職を選ぶというタイミングで自分のやりたいことだけでなく、多くのしがらみがあり、それらのことを考慮しなければならないのがこの年代なのである。また、現職の社内においても責任の大きな役職で中心となって活躍しているのも、この年代だろう。そのため自然と万が一を考えてしまい、少しでもリスクを含むようなエグゼクティブ転職はできないと考える転職者が多いのだ。さらに他のパターンとしては、本人はその気になっていたとしても、エグゼクティブ転職のリスクについて心配する家族……特に奥さんの反対で転職を断念することが多いのも40代においてはよく見られる傾向である。

 その点、50代になってしまうとその状況は少し変わって、まず初めに「自分のやりたいこと」を考えられるエグゼクティブ転職者が比較的増えてくるのだ。特に最近は50歳から早期退職ができる企業も増えてきたため、転職に対しても前向きなエグゼクティブ転職者も増えてきているのだろう。そんな50代のエグゼクティブ転職者であるから採用面接の際にもまずは「お金」についてではなく、「仕事の内容・権限」に関する質問を多くする。となると、まず「お金」が色んなしがらみのせいで気になってしまってしまい、そこを中心に聞いてしまう40代と比べれば、面接をして採用する企業側にとってエグゼクティブ転職者とどちらの印象が良いのかは明白だ。

 もちろんビジネスの世界で50代まで活躍してきたエグゼクティブ人材であるなら、ビジネスマンとしての人柄を含め、様々な経験を積んでいたり、色んなノウハウやスキルも持っていることだろう。こうして、まだまだ元気な50代のエグゼクティブ転職者の方がエグゼクティブ転職を上手に成功させているのだ。

エグゼクティブ転職失敗談:いくら意識が高くても鼻は低く

 エグゼクティブ転職において、確かに周囲が羨むほどの経歴や経験を持っていればそれはもちろん選考の上では強いのであるが、結局最後のところは人と人なわけであり、あくまで過信は禁物だ。そんな過信が災いしたエグゼクティブ転職の例を一つ見てみましょう。

 一流の企業に15年勤め、他の企業の執行役員も歴任してきたような華やかな経歴を持つ、とあるエグゼクティブ転職者である男性だが……面接を受ける前の電話で彼は相手企業の財務状況を調べ、「この部分はどうなりますか」「ここはどのように取り組んでいますか」と質問を投げ掛けてしまったのだ。企業側が「それは面接で話し合うことでしょう」と答えると、彼は不満そうな声を発した。そこで企業はこの時点で「このエグゼクティブ転職者とは一緒に仕事ができない」と判断したのである。それはこの態度は、これから面接を受けるエグゼクティブ転職者のものではないと受け止めたからだ。

 企業からすれば自社の社員になり、やがてゆくゆくは部下を統率していく立場になってもらおうとする人物である。どんなに華やかな経歴や経験を積んできていようと、この電話でおそらく社内では、周囲との関係が作れずに行き詰まるエグゼクティブ人材と判断されてしまったのだ。簡単に言ってしまえば、そんな自ら壁を作ってしまうようなエグゼクティブ転職者とは一緒に働きたくないということである。そのため、不採用となった。

 エグゼクティブ人材というからにはそれなりの経歴や経験を積んできていて、優秀なスキルもあるのかもしれない。ただ、その前段階としてまず、一緒に働く仲間の1人の人間として受け入れられなければそんなものは何の意味もない。好待遇の転職を実現するには、優秀なエグゼクティブ人材であればあるほど、まずこうしたことに注意するべきなのだ。


 50代になって飽きてしまい、仕事を惰性で行っている人もいるだろう。そのような人にぜひおすすめしたいのが、この記事で紹介したエグゼクティブ転職だ。エグゼクティブ転職を利用して、定年までぜひ駆け抜けてほしい。

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