1. ブームは“隠れざる欲望”を刺激して作れ。人を買わずにはいられなくさせる『「欲望直撃」のしかけ』

ブームは“隠れざる欲望”を刺激して作れ。人を買わずにはいられなくさせる『「欲望直撃」のしかけ』

出典:chaikuru.com
 どんなに頑張っても商品やサービスが売れない。このような悩みを抱える人は多いだろう。時代の変化と共に流行り廃りも変わっていくから、売れないものがあるのも当然である。しかし企業は、モノが売れないのを時代のせいするわけにはいかない。

 では、どのようにモノを売れば良いのか? 人々の欲望を刺激すれば良いのである。今回紹介する本の著者である殿村美樹氏は、地方発ブームのしかけ人と呼ばれ、「古い、ダサい、売れない」の三重苦を抱えた地方事業や伝統産業の再興を数々手がけてきた。「佐世保バーガー」「さぬきうどん観光」など、観光ブームを生んだのも殿村氏である。

 「人は隠しておきたい欲望を刺激された時、買いたい衝動を抑えられなくなる」と殿村氏は述べ、これをビジネスに活用できれば、どんな商品でもヒット商品になると語る。今回は、そのブームの生み出し方をまとめた『欲望直撃のしかけ』という一冊である。

欲望の見つけ方

 「ブームは、人が日頃隠している欲望を刺激することで起きるものだ」と殿村氏は語る。ブームを生むには、まず欲望(ニーズ)を知る必要があるのだ。人の欲望を知るというのは簡単なことではなく、そのために企業はアンケートなどの調査を行っている。しかし、そこに時間や労力をかけずとも、今は人の欲望を知ることができると殿村氏は教える。それはSNSである。

 TwitterやFacebookの普及によって、人は自分の気持ちや考えを気軽に発信できるようになった。したがってSNSを見ることによって、簡単に今時の人々の欲望を知ることができるのだ。しかし人々が自由に発信しているため、その種類は様々である。そこで、この本では殿村氏がいつの時代でも共通する欲望を、今すぐビジネスのヒントになる5つの欲望として紹介している。

1. 負けたくない
2. 褒められたい
3. 安心したい
4. 感動したい
5. 一人取り残されたくない

 今回は、上記5つの内「負けたくない」「一人取り残されたくない」という2つの欲望と、それに関する事例を紹介していく。

負けたくない

 誰もが一度は、幼少期に「お兄ちゃんを見習いなさい」といった人と比較される言葉をかけられたことがあるだろう。こうした人と比較されるという経験や言葉は、心に残りやすい。そのため、人は成長と共に自然と「負けたくない」「他人に差をつけたい」という欲望をもちやすくなるのである。

 この「負けたくない」欲望に関して、殿村氏が行った事例を一つ紹介する。当時殿村氏は、商店街のメガネ店から相談を受けていた。その商店街は大きなドームが近くにあり、頻繁にライブが行われる場所ではあるのだが、普段は他の商店も閑古鳥が鳴くほどの場所であった。しかしライブが行われるとなると飲食店は繁盛するため、どうにかメガネ店も同じように売上を伸ばすことは出来ないだろうかと相談をされたのである。そこで、殿村氏が考えたのがライブ会場での双眼鏡販売であった。

 アーティストのライブでは、ファンの間に「他のファンよりもアーティストを近くで見たい」とか「他のファンよりも楽しみたい」といった他のファンに負けたくないという欲望が存在するはずだと殿村氏は考え、「どんなに遠くの席でもアーティストを見れる」と題して、メガネ店にライブ会場で出張販売を行わせたのである。結果として、負けたくない欲望を刺激されたファンはこぞって双眼鏡を購入し、メガネ店の売上は数倍以上に跳ね上がったのである。

一人だけ取り残されたくない

 人は自然とグループを作り出し、そのグループ独自のルールを生み出す。身近な例で言えば、小学校の友達グループやママ友などである。そして、仲間外れにならない様に、同じものを持ったり同じことをしたりする。ここにあるのは「一人だけ取り残されたくない」という欲望である。このグループが、若者や学生といった大きなコミュニティであれば、この欲望は洋服や音楽などの大衆ブームの火付け役になると殿村氏は述べる。しかし、今回は前者であるママ友という小さなグループでの事例を紹介していく。

 ある日、殿村氏は友人から相談を受けた。内容は、「今度自分の家で幼稚園のママ友会を開くことになったが、料理ができないため、だれか紹介してほしい」というものであった。この相談を受けたとき、殿村氏は「料理が下手なら出前でも頼めば良い」と助言したが、手料理でないといけないらしく、中途半端な対応をするとママ友グループで仲間外れにされるというのである。殿村氏は、仕事上付き合いは多いが、誰を紹介したものかと悩んでいた。

 それと同時期に、殿村氏には別の相談が来ていた。それは、これまでのような地域産業や商店とは異なる家政婦という職業に関してであった。相談に来ていた初老の家政婦で、「世の中が便利になって、わざわざお金をかけて家政婦を雇うような人は減った。しかし、これから転職するのは不可能だ」と言い、「どうにか私のような家政婦の雇用を増やす方法は無いか」という相談をしてきたのだ。今まで扱ったことのない職業に、当初殿村氏は困惑したものの友人からの相談を思い出し、あるビジネスを閃いた

 殿村氏が考えたのは、家政婦の出張お料理サービスであった。自宅で家政婦が料理のサポートを行うというもので、実際に殿村氏は友人に家政婦を紹介し、そのママ友会は成功した。後日、友人の話を聞いて見ると、自分ではなく家政婦に手伝ってもらったことをママ友に話したら、みんなも紹介してほしいと言い、次回は家政婦を呼んで、料理教室を開いてもらいママ友会をするということだった。こうした出張教室はブームになり始め、家政婦に新しい働き方を生み出したのである。


 人によって、欲望は様々である。しかし、みんなが同じように持っている欲望もある。今回、紹介していない残り3つの欲望も含め、ぜひこの本を読んでみてほしい。この本を読めば、いつかあなた自身がブームの火付け役になるかもしれない。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する