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退職時に有給休暇は使えるの?買取は可能?知っておきたい退職時の有給休暇の基本事項

Tobayashi

2018/08/28(最終更新日:2020/11/21)


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退職時に有給休暇が消化できないことも? 円満に退職するために覚えておきたい「有給休暇」の基本 1番目の画像

「退職を決めたけど、退職する前に余っている有給休暇は使っていいのだろうか」と思っている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、退職時の有給消化の仕組みや有給休暇を上手に取る方法などをご紹介します。

退職をするにあたって有給休暇のことで悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • 退職時の有給消化の仕組み
  • 退職時に有給消化をうまく進めるコツ
  • 有給休暇は会社に買取してもらえるのか

退職時の有給消化の仕組み

「退職を決めたけど、残っている有給はどうなるのかな?」「有給を全部使ってから辞めたい」という人もいるのではないでしょうか。

まずは、退職時の有給消化の仕組みについて紹介していきます。

 

基本的な有給休暇のルール

有給休暇の取得については「従業員が好きなときに消化できる」と法律で定められています。このルールは、通常時であっても退職時であっても変わりません。

退職するからといって有給休暇を消化することが禁止されることはなく、有給休暇は退職時であっても基本的に取得できることを覚えておきましょう。

 

業務に支障がある場合のルール

有給休暇は、基本的には「好きなときに使っていい」と定められています。

しかし、法律では「業務に支障が出る場合などは、会社側が従業員の有給休暇の消化時期を調整(遅らせる)させることができる」とも定められていることに注意しましょう。

会社を辞めない従業員の場合は、有給休暇の消化時期を遅らせれますが、退職者の場合は会社を辞めてしまうため、有給休暇の消化時期を遅らせる対応は取れません。

そのため、退職予定者は基本的にこの制限も受けず、退職する前までに積極的に有給休暇を消化できます。

しかし、後にも詳しく説明しますが、繁忙期の場合や引き継ぎが終わらない可能性がある場合は、有給取得を見送ることを「お願い」されるケースもあると認識しておきましょう。

 

会社独自に定められたルール

一部の会社では、有給休暇の消化に対して会社独自のルールを定めている場合があります。

「退職者は有給休暇を消化してはならない」とまで定めている会社は存在しません。しかし、有給休暇の消化時期に細かくルールを設定している会社もあるため、その場合は会社規則のほうを優先しなければなりません。

退職時に大量の有給休暇を消化するときには、一度会社の規則に目を通しておくことをおすすめします。

しかし、会社独自のルールがない場合は、退職時であっても問題なく有給休暇を消化できることが一般的です。

有給休暇は従業員に与えられた権利なので、有給休暇が残っている以上は、基本的に自分の意志で自由に使用できます。

「もう辞めるのだから使ってはいけない」と思わずに、自分の与えられた権利を駆使しましょう。

 

実際のところ、有給休暇の消化をする退職者はいるの?自己都合での退職でも使える?

有給休暇は退職時であっても問題なく消化できるとご紹介しました。しかし、それはあくまで法律に則った話で、「実際に」有給が使えるかどうかは少し話が変わってきます。

法律上は有給休暇の消化が認められていても、実際のところ退職時の有給休暇が全て消化できるかといえば、一概には「できる」と断言できないこともあります。

 

業務に支障がある場合

有給休暇を消化できない場合として、「業務に支障がある場合」があります。

繫盛期の忙しい時期に、退職するからといって有給を大量に消化してしまうと、業務にも影響が出る他、上司や同僚に多大なる迷惑をかけてしまう可能性があります。

たとえ退職する場合であっても、業務の状況を見て有給休暇を消化するかどうかを検討するのがいいでしょう。

退職するまでは、その会社に勤めている人間なので、周りに迷惑をかけすぎないように振る舞いましょう。

 

引継ぎに支障がある場合

また、有給休暇を消化できない場合として、「引継ぎに支障がある場合」があります。

退職するときには業務の引継ぎを行う必要があり、これは退職者に課せられた重要なタスクのひとつです。

引き継ぎ業務を放棄してまで有給休暇を大量に消化してしまうと、会社全体の問題にまで至るケースもあります。

有給休暇は、あくまでも引き継ぎを完了した上で消化するようにしましょう。

引き継ぎやお客様への挨拶などの社会人としての義務をこなさないと、有給休暇という権利を使うことは好ましくありません。

 

円満に退職するためには有給休暇の取得が難しいときもあるのが現実

また、業務が忙しくなく、引き継ぎに問題がなくとも、無理な有給休暇の消化はどうしても周囲の目に良く映りません。

特に、退職することが決まってから極端に有給休暇を消化しだすと、周囲の人から不愉快に思われることもあります。

退職後も元同僚と付き合っていく可能性があるならば、その後の人間関係にも悪い影響を与えないよう、極力無理な有給休暇の消化は控えて円満に退職することが賢明です。

こういった道徳的な面を考えると、実際に退職時に有給休暇を消化するのは、難しい場合もある可能性もあります。

 

退職時に有給消化をうまく進めるコツ

退職時に有給休暇が消化できないことも? 円満に退職するために覚えておきたい「有給休暇」の基本 2番目の画像

有給休暇は実際には、周りとの関係や仕事の量によって取れる場合と取れない場合があることをご紹介しました。

しかし、与えられた有給休暇を使って、次の仕事に備えたいと思う人も多いでしょう。

以下では、退職時にトラブルなく有給休暇を消化するコツを紹介していきます。円満に有給休暇を取りたい人はぜひ参考にしてください。

 

極力分散して消化する

どうせ休むならまとまった休みがほしいと思う人も多いでしょう。しかし、貯まった有給休暇を一気に使うと、その間チームは1人欠けた状態で業務を回すことになってしまうため、周りに与える影響も大きいものです。

有給休暇は、退職するしないにかかわらず分散して消化するのが、一緒に働いている人にも負担をかけにくいでしょう。

退職の意思が明確に決まった場合は、その時点から有給休暇の消化を始め、こまめに分散して消化していくことおすすめします。

 

有給休暇が消費できるように退職日を調整する

もし有給休暇が大量に溜まっており、全ての有給休暇を消化したいのならば、可能な限りそれを見越して退職日をずらすのが得策です。

業務の忙しさや引継ぎ量なども考慮した上で、無理なく有給休暇が消化できる日数を逆算し、退職日を定めることをおすすめします。

 

有給休暇を消化する理由を説明する

大量の有給休暇を消化する場合には、自分だけで考えて進めるとトラブルを起こしかねません。事前に上司や職場の同僚に話を通しておき、今有給休暇を消化しても問題ないのかは知っておく必要があります。

また、その際にはできるだけ説得力がある理由を述べることがポイントです。「引越しの算段」「転職活動に当てる」など、周囲も納得のいく有休休暇消化の理由を考えておきましょう。

ストレートに「バカンスを楽しむ」のような有給休暇を取る理由を述べてしまうと、大きなひんしゅくを買いかねません。

無計画に有給休暇を消化するのではなく、事前に計画を立てて進めていくと、退職時であってもトラブルなく円満に有給休暇を消化できます。

トラブルを上手に避けて、有給休暇を上手に消化しましょう。

 

退職時に有給休暇の消化を拒否された場合はどうしたらいい?

「退職前に有給休暇を申請しても断られた……」という人もいるのではないでしょうか。

古い慣習や上司の個人的な判断で有給を取らせてもらえない場合があります。

どんな理由であろうとも「従業員の権利」である有給休暇を取らせないのは、法律違反です。

上司に有給休暇の消化を拒否された場合は、まず人事に相談しましょう。

人事は、上司よりも労働基準法に詳しいため上司よりも合理的な判断をすることが多いでしょう。

人事に相談をしても有給休暇を取らせてもらえない場合は、労働基準監督署へ相談することも一案です。ただし、会社とのトラブルはなるべく避けたいですよね。

実際に労働基準監督署に申し出なかったとしても、人事に「労働基準監督署に今回の件を報告させていただきます」と告げるだけでも、有給を取れる確率が上がります。

自分の権利を守るために、労働基準監督署のような機関を頼ることも可能であることは覚えておくといいでしょう。

 

有給休暇は会社に買取してもらうことができる?

退職までに有給休暇を取得できなくても、有給休暇買取制度がある会社ならば買い取ってもらえることもあります。ただし、この制度は会社側が任意で儲けている制度なので、制度がない会社では使えません。

また、その制度でも色々と規定があったりして使える部分は限定的な場合も多いでしょう。

まずは、会社の規則を確認し、有給休暇の買取について確認するようにしてください。

 

有給休暇の取得中にはボーナスはもらえるの?

ボーナスの支給に関しては、法律で決められておらず、基本的に会社規則によって決められています。そのため、ボーナス前に退職した場合は、就業規則がボーナスの支給に影響することも少なくありません。

多くの企業では、「ボーナスの支給日に会社に在籍していない者にはボーナスを支給しない」と明記されています。

退職後にボーナスが貰えるのかどうかは就業規則をよく読んでみるといいでしょう。

ボーナスの支払いが滞っている場合に関しては、たとえボーナスの支給日に在籍していなくてもボーナスが支給される場合があります。

ボーナスが支給されるときに有給消化をしている場合は、ボーナスが支給されることが多いです。大切なのは企業に在籍しているかどうかです。

ボーナスに関しては、会社の就業規則によってきめられるので、まずは会社の就業規則を詳しく調べましょう。

 

退職前に有給休暇規定について確認しておこう

本記事のまとめ
  • 有給休暇は従業員の好きなときに消化できるもの
  • 業務や引き継ぎに支障がある場合は使えないときもある
  • 有給休暇中でもボーナスはもらえる

本記事では、退職をするにあたって有給休暇の使い方や角が立たない有給休暇の取り方をご紹介しました。

有給休暇は労働者の権利なので、「会社を辞めるから」といって使えなくなることはありません。ただし、権利には義務がつきもの。自分の権利だけを無条件に振りかざすこともできないのが事実です。

退職するときに必要な引き継ぎをしっかりと終わらせ、会社に迷惑がかからないタイミングを見計らってから有給休暇を取得するようにしてください。

本記事を参考に有給休暇を上手に消化してみてはいかがでしょうか。

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