1. “大人になったら理系以外は数学を扱わない”は嘘だった:『数学×思考=ざっくりと』

“大人になったら理系以外は数学を扱わない”は嘘だった:『数学×思考=ざっくりと』

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 会議をしているときに、その場で緻密な計算が必要になってしまい、なかなか会議が進まないことはビジネスシーンで多く見られる。

 だが数学を利用することで、どんなことでもざっくりと分かるようになり、会議を円滑に進めることが出来る。サイエンス作家である竹内薫によって執筆された本書『数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか』で紹介されるものは、ビジネスシーンで役立つ数学的問題解決術ばかりだ。この記事では、タメになる数学を用いた思考術をいくつか紹介しよう。

本のハイライト

・正確でなくともざっくりとした数字的規模を把握したい場合、いくつかの手がかりになりそうなデータを元に論理的に推論する「フェルミ推定」が有効である。
・スケールを問う問題に直面した場合、実際の大きさや長さを考慮した図を描いてみたり、運動方程式に当てはめて計算してみたりすることで、物の見方が変わり、これまで見えていなかった実体が見えることがある。
・モンティ・ホール問題に代表されるような確率計算は、直感に基づいたものと数学的に厳密に計算したものでは結果が全く異なる場合があるため、問題における条件や概念をすべて考慮できたか確認することを忘れてはならない。

出典:数学×思考=ざっくりと | 本の要約サイト flier (フライヤー) - 1冊10分で ...

フェルミ推定でざっくりと

 いくつかの手がかりになりそうなデータを元に論理的に推論し、短時間でざっくりと計算することを「フェルミ推定」という。このフェルミ推定を日常的に扱うことが出来るようになれば、先ほど紹介したような会議のシーンで躓くことはないだろう。

 では、フェルミ推定を使った問題の解答例を見ていこう

“シカゴのピアノ調律師の数”をざっくりと

 フェルミ推定は、物理学者エリンコ・フェルミの名を由来としている。フェルミの有名な問題の一つに、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか」というものがある。この問題の解答を参考にして、フェルミ推定を紹介する。

 当時のシカゴの人口は300万人とすることから考えてみよう。シカゴでは、10世帯に一台ピアノがある。そして1世帯あたり3人いるとすれば、シカゴにピアノは10万台あることになる。

 次にピアノの調律師の仕事量を考えてみよう。ピアノの調律は調律師一人あたりが一日に出来る仕事量は、出来て3台だ。そして、ピアノの調律は1年に1回程度だ。ピアノの調律師は休日を抜き年間250日働くとすれば、1年間に750台のピアノを調律していることがわかる。

 これらのデータを組み合わせて考えると、100000÷750で、ピアノ調律師は130人程度いれば全世帯のピアノの調律が行えることがわかる。

 このようにフェルミ推定を使えば、ざっくりだがおおよその数が分かるようになる。ぜひ、日常でもフェルミ推定を実行し、物事をざっくり捉え、円滑に物事を進めてみよう。

スケール感で見えてくる

 正確に数に沿って絵を描いてみると、新しい側面が見える。例えば、鉛筆で地球の輪郭を正確に絵で描いてみると、イメージとは違うものが見えてくるのだ。

 地球は丸いが山などがたくさんあり、ゴツゴツした地球を描く人が多いだろう。だが、正確に数字に沿って鉛筆で描く場合、地球を描くとゴツゴツさせる必要がない。

 なぜなら、計算してみると地球の赤道半径が6378キロに対して、富士山の標高は3.77キロしかない。そのため、A4の紙に地球を描こうとすると、富士山は鉛筆の線の幅の中に入ってしまうことが分かる(鉛筆の線の幅を0.5ミリとすると、それは110キロに相当する)。したがって、地球を描く際に山や海溝も描こうとしても、グルっと鉛筆で円を描くだけなのである。

 このように正しいスケールでものを描くことによって、今まで見えてこなかったものが見えてくることがあるのだ。スケール感を問う問題は、グーグルの入社問題にもなっており、ビジネスシーンで多く活用することが出来る。会議で行き詰った場合などは、正しい数字を集めてもう一度考えてみるといいだろう。

全米が騒然とした確率問題“モンティ・ホール問題”で気づく

 1970年代、アメリカで大ヒットしたクイズ番組「レッツ・メイク・ア・ディール」では、クイズを正解していくと豪華賞品を手にすることが出来る。だが挑戦者は、最終問題で「3つの扉」という問題に挑戦しなくてはいけない。3択の問題が出され、正解だと思う問題のドアを開けるのがこの問題のルールだ。正解する確率は3分の1である。1つ扉を選んで開けようとすると、ハズレの扉を1つ司会者が教える。さらに司会者は、「選びなおしてもいい」と挑戦者に囁く。

 このときどちらの扉を選んでも、確率は2分の1なのだから変わらないだろうと考える人もいるだろうが、それは間違いなのだ。このとき、問題に正解する確率は3分の2になるのである。本書では、この問題を図を使って説明している。気になる方は本書で確認するか、自分で記号などを使って図を書いてみると理解することが出来るだろう。感情的に受け入れがたい結果である人も多いだろうが、正確な数字を使って証明されたことなのである。

 自分が考えている問題が、条件や概念を満たしているかどうか確認することはとても重要なのである。ビジネスで行き詰ったときは、もう一度条件や概念を確認してみるといいだろう。


 本書では、このほかにもユニークな数学の便利な使い方が証明されていて、読み手を飽きさせない内容になっている。本書を読んで、数学を武器にどんなビジネスシーンでも切り抜けられるような人になってほしい。

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