1. 「ここに無いものは、地球上に無い」:世界一の小売業・Amazonの“常識を超えたセオリー”

「ここに無いものは、地球上に無い」:世界一の小売業・Amazonの“常識を超えたセオリー”

by nordique

 世界一の小売業を標榜して快進撃を続けるAmazonは、全世界13カ国、50拠点で事業を行う。Amazonが異彩を放つのは、毎年巨額の決算赤字を出し続けても、巨大な物流センターや情報投資を継続している点にあるのではないだろうか。まさに従来の常識を越えた、21世紀の経営体ともいえる。

 ここではAmazonが徹底的に極めようとしているセオリーを紹介しよう。

アマゾンから見る小売業の成功法則

by kodomut

 小売業の成功は「立地と品揃え」にあり、ネット通販といえどもこれに忠実でなければならない。例えば他社の顧客、他社の商品までも扱えば、自社以上の立地と品揃えを獲得できることから、勝機を握れることになる。卸や商社なら商品を仕入れなければならない。仕入れた在庫は経営リスクとなるが、それも回避する手法がある。 

 Amazonが提供している、AFS(アマゾン・フルフィルメント・サービス)は、アマゾン持つ受注・決済・物流を利用できるサービスだが、実はAmazonがメリットを享受しているのだ。 サービス提供はもちろん有料であるが、AFS利用者が増えれば顧客のAmazonへの「品揃え感覚」は一気に高まり、“ここに無いものは、地球上には無い”ブランディングは成功する。通販各社がAmazonの情報ネットワークや決済・即日配送などの物流サービスを利用しながら、実はAmazonのブランドそのものを高めていることに気づくものは少ない。

 Amazonは書籍を扱い始めたときから、出版各社の「なかなか売れない書籍」を一手に引き受けて、ロングテールビジネスの成功者となった。リアルな書店は店舗や書籍在庫の資金が莫大になる。それに比べれば、物流倉庫という不動産は低額であるし、販売は24時間無休であるから運営費も格安となっていた。

 自社仕入れと他社仕入れの販売代行とを合わせて無数の品揃えに挑む姿は、確かに世界一の小売業といえるだろう。重要なのは、創業当初から今を見据えて「品揃え」の革命を実現したことにある。しかも立地という顧客接点の開拓に、自社だけでなく他社顧客まで取り込み、「あなたへのおすすめ商品」をリアルタイムで提供する情報システムの運用にも、目を見張るものがある。

商売は、“高く”売るより“早く”売れ

 Amazonに限らないが、EC通販では受注から決済処理、クレジットカードでの入金が数日後に実行され、売掛期間は数日である。商品配達完了後の仕入れ代金の支払いは、締め日まで留保される。つまり買掛期間は月単位だから、経理でいう「売掛金マイナス買掛金」が常にプラスとなり、巨額なキャッシュが蓄積されることになるのだ。

 ネット通販各社が少資本ながら急成長できるチャンスがあるのも、「日銭商売」以上のキャッシュサイクルの妙味があるからだ。これを理解している企業もまた少ない。 

 古くは「たまごっちブーム」のバンダイは、売れ過ぎた末に膨らみ過ぎた在庫60億円を処分して、赤字45億円という倒産危機を招いてしまった。売れるから在庫するが、売れるほどに資金ショートとなるのは、小売業黒字倒産の代表例である。資金サイトと在庫高を気にしていれば防げた失態だが、多くの業界で繰り返されている。

物流知見を上げて、ビジネスを捉える

by hnnbz

 在庫や品揃えを顧客に提供する情報システム、大小の物流センター、顧客情報の扱い方、これは物流業務の基本領域であり、決してAmazonのビジネス特許ではない。それなのに一人勝ちを続ける存在感を悔しく思うのは、正しい認識だ。もっと早くに気づけば、誰もがジェフ・ベゾスと競うことができたはずなのである。 

 世界一のAmazonをこれから追いかけるのはマーケティング的に見て感心しないが、地域・商材・業態を絞り込んで小売業日本一になる戦略は、まだ充分有効である。EC業界はまだ萌芽期であり、小売流通総額450兆円の日本は、お買い物天国ともいえる。小売流通でのシェア獲得のチャンスは、これからも多くあるのだ。在庫にだけ着目すれば、資金ショートの不安もなく順調に成長を遂げられるだろう。 


 「物流はコストだ、効率化と削減こそ重要」などと決めつけてしまえば、ビジネスチャンスの女神の前髪には気付かない。物流にはチャンスがある。あなたもビジネスを物流の観点から点検してみてはいかがだろうか。


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