1. 秋の夜長にじっくり読みたい“面白い小説”3選。自然と笑顔になってしまうような小説まとめてみた。

秋の夜長にじっくり読みたい“面白い小説”3選。自然と笑顔になってしまうような小説まとめてみた。

by minoir

 夏もあっという間に過ぎ去り、秋の訪れはすぐそこ。食欲の秋と同様に、秋という季節は「読書の秋」とも言われている。秋になぜ本を読むかって? いや、そんなことはさして問題でもない。重要なのは、読書に励むようになる人が多くなるという点。

 そんな秋という季節に読みたくなるような小説。SF小説に関しては以前ご紹介したが、その好みは人それぞれ。サスペンスが好きな人もいれば、恋愛小説が好きな人もいるだろう。

 今回はそんな小説としてのジャンルに囚われないような、誰にでもおすすめできるような「自然と笑顔になってしまいそうな」面白い小説を3選に絞ってみた。どれも甲乙つけがたい面白さを誇っている小説だ。

じっくり読みたい面白い小説①『夜は短し 歩けよ乙女』

出典: Amazon.co.jp

 「黒髪の乙女」と名付けられた少女に恋心を抱く大学生の「先輩」は、ストーカーの如く彼女との出会いを求め続けた。けれども、そんな先輩の行為をよそに、彼女は頻発する出会いに「奇遇ですね!」の一言を発するばかり。先輩の恋路の行先で待つは、奇怪とも云うべき出来事の数々だった。

 アップテンポで繰り広げられるストーリー。それでいて、非常に読み応えのある個性的な登場人物。そして、彼らの群像模様。300ページ弱の小説でありながら、その世界観は見事なもので、筆者の名前を取って「森見節」と名付けても過言ではないであろう、彼の世界観に引き込まれる。

 この小説の面白いところは、忠実なまでのインナースペース(内心・感情)の描写力にあるのだろう。主人公である先輩は妄想にとり憑かれた典型的なバカ大学生であり、人を小馬鹿にしたような口調や妄想世界は、大学生そのものであると言っても差し支えないだろう。

大学に入学して以来、思えば、あらゆることに思案を重ねて、踏み出すべき一歩を遅延させることに汲々としていただけの、無益な歳月ではなかったか。

出典:森見登美彦『夜は短し 歩けよ乙女』

 そして彼の葛藤も描いている。これが森見自身に対する描写だったのかは知らずとも(森見は京大出身者だが)、こういった阿呆な大学生の恋路は共感するところも多かろう。自然と笑みがこぼれてしまうような面白さがこの小説にはある。

じっくり読みたい面白い小説②『舟を編む』

出典: Amazon.co.jp

 出版社に務める馬締光也(まじめ みつや)は、その言葉への鋭い考察と熱意を評価され、辞書編纂部という部署に引き抜かれる。新しい辞書である『大渡海』の完成を目指す彼と辞書編纂部メンバーたちの物語。

有限の時間しか持たない人間が、広く深い言葉の海に力を合わせて漕ぎ出していく。こわいけれど、楽しい。やめたくないと思う。真理に迫るために、いつまでだってこの船に乗りつづけていたい。

出典:三浦しをん『船を編む』

 会社の中でも、決して優遇されていない辞書編纂部。いくら辞書編纂部のメンバーといえど、そこの人間の全員が辞書作りに熱意を燃やしているわけではない。しかし、どんな人間も、馬締の実直なまでの熱意に心を動かされていく。みんなで一つの出来事を成し遂げる。それが会社という中にあってどれほど難しいことか。

 これは決して出版社のお話ではない。人間たちのお話なのだ。馬締のひょうきんな行動や仲間たちの振る舞いに笑い、自然と笑顔になることうけあい。そして、最後は涙を流すことになるだろうから、ティッシュにご準備をお忘れなく(私はティッシュが足りなかった)。

じっくり読みたい面白い小説③『拝金』

出典: Amazon.co.jp

 年収200万円の貧乏フリーターである優作は、なぞのおっさんである堀井健史に問われる。「藤田優作、君はどのくらいの金持ちになりたい?」と。それから、彼の快進撃は始まり、瞬く間に金持ちルートへ。まさに人生の勝利フラグが立ったと思いきや……。金と青春、勝利や絆について描いた経済青春小説。

 いきなりジャンルは変わるが、経済と青春を組み合わせた小説『拝金』をご紹介しておきたい。「ん? 堀江貴文?」と疑問を感じられた方も少なくないと思うが、そう、これはU-NOTE内でも度々登場してくるホリエモンによる小説なのだ。

金の価値は交換したい個人の「欲望」でいくらでも変動する。

出典:堀江貴文『拝金』

 そして、これが意外と面白い。経済と青春の融合から、人の本質を問いかける。コメディな部分は見受けられないが、多義的な意味で「面白い」小説だと言えるだろう。ホリエモンらしい考え方も見受けられる一冊。読んでいたら、自然とニヤついてしまうことだろう。

 ちなみにこの小説の続編として『成金』という小説も出ているが、これは滅法おもしろくないので、書店で間違えないように注意しよう。



 「面白い小説」という言葉が正しいかどうかは難しいが、これらの小説はすべて人間たちの物語。秋の夜長にじっくり読書するなら、小説で「人間観察」なんてのも乙ではないだろうか。

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