1. DeNAとの提携で目指す「新ビジネスモデル」 社長亡き今、任天堂の未来は明るいか:後編

DeNAとの提携で目指す「新ビジネスモデル」 社長亡き今、任天堂の未来は明るいか:後編

by FaruSantos

 今年3月に任天堂がDeNAとの業務・資本提携を発表したのは、記憶に新しいニュースだろう。任天堂はDeNAとの提携を通じ、どのようにビジネスモデルを変えていこうとしているのだろうか?

 前編では、これまでの任天堂のビジネスモデルを振り返ったが、ここからはDeNAとの提携後に任天堂が目指す、新たなビジネスモデルについて紹介する。

前編はこちら

任天堂のビジネスモデルはどう変わるのか?


 モバイルデバイス向けゲームは、ゲームの基本機能を無料で提供し、少数の有料ユーザーからの課金で儲けている。いわゆる「フリーミアム」のビジネスモデルだ。ここでは顧客ニーズのきめ細かい吸い上げや、課金の仕掛けのノウハウが重要だが、これらは任天堂の強い分野とはいえない。

 その点DeNA は、オークションサイト、SNSなどインターネット領域のビジネスを展開し、携帯電話向けのソーシャルゲームも運営しているため、Webプラットフォーム運営・顧客データ分析・課金システム等に強みがある。そこで、任天堂はDeNAとの提携によりモバイルデバイス向けのゲームを開発し、DeNAのプラットフォーム運営ノウハウ、技術を通じてゲームを提供するわけだ。

 任天堂の岩田社長は、「スマホゲーム」の取組み姿勢に関する質問に対して、「(スマートデバイスで)関係ができたお客様に、ゲーム専用機で、『没入感のある世界にどっぷり浸っていただける、本当にゲームの大好きな人に心から満足していただけるようなゲーム』を提供することを、これからも任天堂のコアビジネスとしてしっかりやっていきます。」と答えていた。(2015年3月17日:業務・資本提携共同記者発表)

 また2014年度決算説明会でも、少数のヘビーユーザーから「狭く深く」稼ぐのではなく、多くのユーザーから「広く薄く」課金するのが理想であること、また「任天堂はファミリーブランドですから、親御さんが子どもさんに安心して渡していただけるという構造は変えたくありません。私たちは、お金のいただき方については、しっかりこだわりを持ってやっていきたい」ということを語っていた。 

「スマホゲーム」は任天堂が撒いた“餌”に過ぎない?

 任天堂が目指すのは、モバイルデバイス向けゲームで大きく儲けることではなく、信頼度の高いブランドイメージを堅持しつつ、ゲーム専用機の顧客予備軍を獲得することなのだ。つまり「スマホゲーム」は、独自のゲーム専用機に新規顧客を吸引するための「撒き餌」と考えられる。

 こうした「撒き餌戦略」を成功させるためには

①顧客の期待を裏切らず任天堂のブランドイメージを傷つけないと同時に、専用機でもっと楽しみたいと思わせる、モバイルデバイス向けゲーム品質の適切なさじ加減

②会員制サービスを通じたゲーム専用機への誘引の具体的な仕組み

 この2点が課題となるだろう。

「スマホゲーム」が「ゲームソフト」購入の入口になる


 会員制サービスの概要については、岩田社長がこんなことも言っていた。

 「任天堂のゲーム専用機とスマートデバイスアプリで、共通のIDを利用可能にします。今後は任天堂ホームページにこの共通IDでログインすることで、お客様一人一人に対して購買履歴やプレイ履歴などを反映させた各種サービスをはじめ、ロイヤリティプログラムを進化させた各種サービスをご利用いただけるようにします。」

 つまり、「スマホゲーム」のユーザーとして獲得した顧客を、会員制を通じて囲い込み、会員特典の提供などによって、専用機およびゲームソフトを購入する顧客へ移行させるのが狙いだ。

 任天堂なりの、「環境変化に対応したビジネスモデルの再構築」といえるだろう。 


 岩田社長亡き今、任天堂はどのようなビジネスを展開していくつもりだろうか? 「スマホゲーム」の品質が高まり、ゲーム産業の競争環境が激化する中、任天堂のビジネスモデル再構築の試みに注目したい。


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