1. 才能に飢えている人へ:『人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」』

才能に飢えている人へ:『人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」』

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 小中高の学校生活において「人によって、態度を変えることはいけないことだ」と教師に注意された経験はないだろうか。

 本書『人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」』を執筆したのは、社会起業家フォーラム代表である田坂広志だ。田坂は、教師たちの考えとは裏腹に、様々な場面によって人格を使い分ける多重人格者ほど多彩な才能があると指摘する。このことから、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチは多くの才能に比例して、人格を持っていることが予測できる。

 「器の大きな人物」という言葉は、「自分の中に幾つの人格を持つことができるか」という意味での「器」であり、昔から日本では、リーダーシップを発揮することが出来る人を「器が大きい人」と呼んできた。

人格は「変える」のではなく「育てる」

 一般に、マネジメントやリーダーシップの世界では「様々な性格」や「様々な人格」の切り替えが求められるため、自然にそれらの性格や人格が育つ。その一つの理由は、マネジメントやリーダーシップの本質が「矛盾」に処することだからだと田坂は指摘する。

 経営者やマネジャーに語られる教訓の多くは、「大胆にして、細心であれ」や「クール・ヘッド、ウォーム・ハート」など、矛盾した人格の両立を求める言葉である。その意味で、経営者やマネジャーは「矛盾」に処することのできる「多重人格」になっていくのである。

 また、「怒りやすい人格」を「寛容な人格」に「変える」ことは至難の業だ。従って「怒りやすい人格」はそのままに、新たに「寛容な人格」を「育てる」ことが重要となる。ここで誤解を恐れずに言えば、「ある人格を演じる」ことと「ある人格を育てる」ことは同じことだ。

 ある人格を長期間「演じる」ことで、自然にそれが板についた「人格」となり、自分の中に育っていくのである。急にリーダーの立場に置かれ、周囲からも期待される「リーダー像」を演じていると、いつしかそれが「本来の人格」のようになる事例は数多く見受けられる。

 器の大きな人物になるための「多重人格のマネジメント」を修得するためには、まず無条件に「自分の中には、すべての人格が隠れている」と思い定めてほしい。それが、自分の中に隠れている「才能」を開花させる大切な心構えだ。

自分の中に隠された3つの人格

 田坂によれば、「隠れた人格」には「3つのレベル」がある。

1:表層人格

この人格は、ある状況では隠れているが他の状況ではすでに表に出ている人格である。表層人格は一般的な「人の性格」のことを指している。

2:深層人格

現在は隠れているが、立場の変化や意識的な努力によって育ち、表に出てくる人格である。先に挙げた「演じる」ことなどで、育っていく人格である。

3:抑圧人格

何らかの理由で心の奥深くに抑え込まれ、表に出てこない人格だ。例えば、青年期にコンプレックスを指摘され、イジメを受けることで強く抑圧してしまった「自分を応援する人格」などが、1つの事例である。

 それでは本稿では、抑圧人格を除く2つの人格を開花させる方法を見ていこう。この人格を開花させることが、「多重人格のマネジメント」を修得には不可欠である。

「隠れた人格と才能」を開花させる技法

表層人格:上司に褒められる

 田坂によれば、まず自分が今の仕事にどのような人格で取り組んでいるかを自己観察するとよいという。それは、人は意外に自分がどんな「人格」で仕事に取り組んでいるかを知らず、自分で気がついていないと人格を意識的に育てていくことはできないからだ。

 優れた教師であるならば、「誉め言葉」を通じてこの表層人格における「気がついていない人格」に気づかせてくれるだろう。そもそも、部下に対する「誉め言葉」は単に「モチベーション」を上げるためではなく、「部下の成長」を支えるためにあるのだ。

深層人格:師匠に人格を学ぶ

 先に挙げた「演じる」の他に、優れたプロフェッショナルを「師匠」として「人格」を学ぶという方法がある。「技術」や「心得」を学ぶことも大切だが、実は「師匠」から学ぶべき最も深いものは「人格」なのだ。

 優れた師匠と出会い、その師匠から「技術」や「心得」、さらには「人格」を学んでいくと、徐々にその師匠に似てくる。しかし、いずれ師匠から学んだ「人格」が自分の他の「人格」と影響を与え合って、個性的な「人格」になっていくだろう。


 しかし、3つ目の人格「抑圧人格」を開花させる容易な方法はないと田坂は指摘する。もともと何かの理由で強く抑圧されているため、表に出すには心理療法に基づく「カウンセリング」などの技法が必要となる。ではなぜ、我々は特定の人格を抑圧してしまうのか。

 その原因の1つは、過去に他人の中に見た「嫌な人格」を自分の中にも感じるとき、それを無意識に抑圧してしまうからだ。そして「好きになれない人格」を抑圧していると、他人の中にその人格を見たときに嫌悪感が増幅されてしまうのだ。


 ここでは、隠れた3つの「人格」を開花させる方法を紹介した。この他にも、本書では豊かな人間像を持っている人ほど人格を育てやすいことも紹介しており、田坂による詳しい「人格の育て方」を学び取ることができる。この記事を読んで、自分の「人格」を育てることに興味をもった人には、ぜひ本書を手に取って万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチを目指してほしい。

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