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二勝十敗の起業家人生:『俺のフィロソフィ 仕組みで勝って、人で圧勝する俺のイタリアンの成功哲学』

蓮見彩

2015/08/15(最終更新日:2015/08/15)


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二勝十敗の起業家人生:『俺のフィロソフィ 仕組みで勝って、人で圧勝する俺のイタリアンの成功哲学』 1番目の画像
出典:www.oreno.co.jp

 「一度のヒットは一発屋。二度のヒットを出してこそ、真の成功者」と言われるが、実際のところ、生涯で一度のヒット事業を生み出すだけでも一苦労であり、多くの経営者が頭を抱えている。しかしながら、そんな中で二度のヒット事業を世に送り出した経営のレジェンドがいる。その経営者こそ、今回ご紹介する本の著者・坂本孝氏だ。

 坂本氏は、中古本販売チェーン店「ブックオフ」を創業、国内シェアNo.1と大きな成功を収めた後に、高級料理店のような高クオリティーの料理を安価で提供する飲食店「俺の」シリーズを展開し、これまた大ヒットした。

 異能な起業家・坂本孝氏の経営哲学は、ズバリ「仕組みで勝って、人で圧勝する」
 
 彼が成功させた中古販売チェーン店「ブックオフ」と飲食店「俺の」シリーズの2つの事業は、彼の経営哲学が大きく反映されているのだ。

 今回は、『俺のフィロソフィ 仕組みで勝って、人で圧勝する俺のイタリアンの成功哲学』を参考に、「ブックオフ」と「俺の」シリーズの2つの成功事例から彼の経営哲学を学んでいきたい。

仕組みで勝った「ブックオフ」

 「ブックオフ」は、まさに独自の仕組み化によって中古販売業界において不動な地位を築き上げてきた。まず「ブックオフ」では、中古本業界では手間がかかるとされる買い取り業務を独自の価値基準を導入した。独自の価値基準とは、「本がきれいか、そうではないか」という品質に特化した基準である。仮に、古本業界において価値が1000円の本であったとしても、見た目が汚かったり破れていれば、0円で買い取りということもあり得るかもしれないのだ。

 また同じ本が5冊並んだときは、1冊を105円にするといった「5ダブ禁止」ルールなど、「ブックオフ」ならではの独自ルールを店員に徹底させるマニュアル化にも力を入れている。

 こういったマニュアル化された仕組みが、「ブックオフ」の効率性と店員一人ひとりのパフォーマンスを高め、中古本界の競争に勝った要因と言えよう。

人で圧勝した「俺の」シリーズ

 「俺の」シリーズでは、「仲間のために汗をかく」という共通理念を大事にしている。飲食業界には様々なバックグランドの持つ人間が集まるので、よりチームワークが求められると言う。社員全員に自社の企業理念が詰まった「俺のフィロソフィ」を配布し、計画達成のための4か条を浸透させている。下記、「計画達成のための4か条」の内容である。

計画達成のための4か条

①1つの部門のメンバー全員』自分の部門の目標を」知っていること
②部門の数字がメンバー全員に分担「されていて、全員達成意欲を持っていること
③メンバーは自分の数字に責任を持っていること、リーダーは数字のチェックを日常的に行っていること
④目標のために常にミーティングにより衆知を集めていること

 これらの理念や信条があってこそ、最大限のパフォーマンスが発揮されているのだ。「俺の」シリーズでは、業界のセオリーである原価率30パーセントを80パーセントに引き上げて料理を提供するという異例の発想や、高級店にはない回転率の良さに注目が集まっていたが、その裏には「人」という言葉があった。そして、この「人」に注目した経営こそが成功の鍵だったと言える。

 これまで2つの成功事例から、坂本氏の経営哲学「仕組みで勝って、人で圧勝する」を学んできた。しかしこれら2つの成功・勝利は、坂本氏が10個の失敗を積み重ねていった結果の産物である。まさに二勝十敗の起業家人生なのだ。

 失敗続きに挫折しそうなときもあると思うが、そんなときは坂本氏の不屈の精神を思い浮かべ、諦めずに挑戦し続けて欲しい。多くの失敗の中から、独自の成功哲学が作り上げられるはずだ。



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