1. 社長が他社で働いて外部人材を意識しろ! 肩書きが通用しない時代に、自分の価値を高める唯一の方法

社長が他社で働いて外部人材を意識しろ! 肩書きが通用しない時代に、自分の価値を高める唯一の方法


 これからやってくる超高齢化社会、それにともなう慢性的な人材不足。それは中小企業成長の足かせとなりそうだ。終身雇用制度もまた、最終局面に近づいている。経済発展を促すには、やはり雇用の多様化こそ新たな手立てではないか。

  現状では、大きく2つの雇用形態になる。勤務期間がせいぜい3〜5年ほどの「非正規雇用」、そして勤務期限の定めのない「正規雇用」の2区分だ。安心を得たければ「正規雇用」を選ぶしかない。私たちが、多様な働き方を選べるようにするために、現在の「雇用形態」をどのような仕組みに変えていくことが必要だろうか。 

「自分の価値を高める方法」をテーマに、人材総合サービスを展開する株式会社サーキュレーション代表・久保田雅俊氏と、「40歳定年説」を提唱する、東京大学大学院経済学研究科の柳川教授の対談をお伝えしよう。

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体験によって、経営者の意識も変化する


久保田:次は「組織の外部化」というキーワードについて、お伺いします。今の労働市場では、クラウドソーシングのマーケットがようやく形成されてきました。オペレーティブな仕事は外部化する企業が増えてきています。 

 その一方で、経営課題という事業の核の部分では、外部人材の活用の一般化は道のりが遠いと感じています。将来的に企業側の意識は変革していくと思いますが、その視点を変えるのに時間がかかってしまうことが一番の問題ですね。 

柳川:企業にとって戦力となる社員が転職したり、独立したりすることで、経営者が危機感を持ち始め、次第に意識が変わっていくのだろうと思いますが、法人側の意識を変えるには相当な時間と根気が要りますよね。

久保田:ええ、仰る通りです。ただ、弊社としてはすでに250社以上の実績があるので、少しずつ変革が起き始めています。

  経営者の意識を変えた「社長自ら、他社で働くことを提案してみる」という分かりやすい事例があります。経営者に個人として登録してもらい、外部人材として働いていただくと、一気にパラダイムシフトが起こります。そんなサービスは他にはないですね。例えば、中小企業のサポートや、成長ベンチャーの支援などの案件が多いことや、外部人材が入ることで成功した事例や活用方法を知ってもらう。様々な角度から啓蒙活動をして、企業のトップの意識を変えていくしかないですね。 

 また、我々が抱える3000人のプロフェッショナルネットワークから、その企業に最適な方を紹介し、例えば週に一回、プロの活用するという新しいサービスを法人として実際に利用していただくと、自分だけではなくて、社員達にも「新しい働き方」の可能性があるかもしれないと想像ができるようになるんですよね。 

 欧米で進んでいるインディペンデント・コントラクターの市場は、日本での展開はこれまで難しいというのが一般的でした。フリーのプロワーカーは日本の市場に合わないと。でも実際に進めて見ると、非常に日本人に合う画期的な働き方だと感じますね。「一旦ゴールを設計したら、コミットする」という従順な国民性もその理由の一つなのかもしれません。

企業での経歴より、個人のスキルを明らかに 

柳川:登録人材は、どういった経歴の方が多いんですか? 

久保田:大きく分類すると、3種類に分かれています。一つは大手コンサルファーム、投資銀行出身の方、二つ目に30代40代で経営に携わった人。例えばベンチャーの経営者などですね。三つ目が一番のボリュームゾーンで、事業会社出身で専門領域に特化してキャリアを積み独立した方ですね。

 ノマドのビジネスを始めて、この1年半で、毎月3桁の人数が登録してくださるようになりました。独立して働く志向を持っている方、もしくは職能を持っている方は増えているなと感じています。

柳川:そういった優秀な方々は、当然、元の会社でも評価が高い人材ですよね? それでも会社から抜けてしまうということですか?

久保田:9割の方が「雇用」という体制からは抜けていますね。残り1割の方は、副業規定で許容される範囲の中で活動していただいています。

柳川:会社側としても、ハイスキルを持つ社員に逃げられるくらいなら「限定された日数でもいてほしい」となりやすいので、複数社で働く形が実現しやすいでしょうね。

 ただ、「他の会社でも実力を試してみたいけど、そこまで自信がない」という層になると、「この会社に専念しろ」と会社側に押さえ込まれて納得しちゃう。その層をどう引き込むことができるかが、今後の鍵になってくるでしょうね。

久保田:「会社の看板や、今の役職を使って仕事をしたい」という志向ではなくて、「常に自分がコミットできる場」を求める方は、本来、一社に縛られる働き方が合っていないんだと思います。ただ日本では、個人事業主になったときに、新しい仕事をみつけるプラットフォームが存在しないんですね。弊社はその仕組みを作るために奮闘しています。

柳川:今後、個人事業主のコミュニティが形成されていくときに、そういうプラットフォームは必要ですね。一人では難しいけれど、点を面にすることで可能性が広がる。

企業は、外部人材の力量を知っているか?


久保田:面でやれるような仕組みを作るために、当社では20人の営業が、一人20社訪問、総計で毎月400人の経営者にお目にかかっています。 

柳川:一人で動いていこうと思うと、ある種のサポートが重要になってきますね。経済学のシンプルな議論で「必要なところに人は流れる」という考えがあります。仲介機関が良いサポートができるかによって、今後働き方も変わっていくでしょうね。良い事例がでてくると、潜在的な層から踏み込む数が増えてくる。 

久保田:毎月400人の経営者に会う中で、分かってきたこともあります。経営者も、外部人材にプロが多いことに気付いていらっしゃるが、過去に「顧問・コンサルタント」で失敗している経験をもっている方が多く、「大金を払って、結局結果につながらないのでは?」と懐疑的になっているということです。 

 詳しく伺うと、社長の知り合いや縁故で依頼したケースが多いのですが、とはいえ正社員と比較しても、雇用責任もなく、一年という短い期間で契約を切れることを考えたら、実はリスクは低いのですね。全体で考えたら、正社員採用で失敗していることが圧倒的です。それに、知り合いからの紹介という少ない数から選ぶのではなく、プロ集団の中から適任の方を選ぶことも必要です。 

柳川:保守的な中堅企業で、「兼業なんかけしからん!」というところとは、すごく温度差があるでしょうね。 

久保田:ただ否定するだけではなくて、まずは外部を利用してみて、優秀さを実感してもらいたいですね。

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