1. DeNAとの提携で目指す「新ビジネスモデル」 社長亡き今、任天堂の未来は明るいか:前編

DeNAとの提携で目指す「新ビジネスモデル」 社長亡き今、任天堂の未来は明るいか:前編

出典:www.flickr.com

 今年3月に任天堂がDeNAとの業務・資本提携を発表したのは、記憶に新しいニュースだろう。 

 任天堂といえば、ニンテンドーDSやWiiなどの家庭用ゲーム機が有名だ。しかし、スマートホン等で手軽に遊べる「スマホゲーム」の急速な普及により、ゲーム機の販売が低迷し、近年の業績は芳しくはなかった。
 任天堂はDeNAとの提携を通じ、どのようにビジネスモデルを変えようとしているのだろうか? 今回はフレームワークを使って、任天堂の目指す方向性を考える。

 まずは、これまでの任天堂のビジネスモデルの特徴を振り返ってみよう。

これまでの「任天堂」のビジネスモデル

 任天堂は1982年に「ファミリーコンピュータ」を発売以降、携帯型の「ニンテンドーDS」や据置型の「Wii」などの家庭用ゲーム機、および「マリオ」を代表とする多数のキャラクターを創出し、ゲーム分野で世界的なブランドを確立した。そのビジネスモデルの特徴は、以下の通りだ。

 ・独自のゲーム専用機(ハード)とゲーム(ソフト)をワンセットで顧客に提供。任天堂ならではのワクワク感、カッコ良さのようなゲーム体験を訴求する。一般のスマホやタブレットにゲームアプリをダウンロードして遊ぶモバイルデバイス向けゲームとは、価値提供の方法が異なる。 

・ゲーム機およびゲームソフト購入のつど顧客に課金する。多くの無料ユーザーと少数の高額課金ユーザーが併存する、モバイルデバイス向けゲームとは対照的。知らず知らずのうちにお金を支払うことはなく、子供やファミリー層が安心できる課金のスタイル。 

・高性能の専用機を求めやすい価格で売り、対応するゲームソフトを顧客に継続的に買ってもらうことで儲ける。本体ではなく替え刃やインクで儲け、カミソリメーカーやプリンターメーカーのビジネスモデルに類似している。

 ・独自の世界観や人気キャラクターを有しているため、値段をあまり気にせず、リピート買いしてくれる任天堂ファンの存在がある。 

・多くのユーザー数を確保することによってプラットフォームとしての価値を高め、さらに魅力的なゲームソフトの供給を促す。 

・ゲーム機の企画や開発は行うが、自ら製造は行わない(ファブレス)。

直面する課題とめざす方向性

 このようなビジネスモデルで高い利益率を維持してきた任天堂だが、以下の環境変化により、2011年度以降、急速に収益が悪化した。

・グリー、DeNAに代表される携帯電話向けソーシャルゲームや、スマホやタブレットに無料でアプリをダウンロードできるモバイルデバイス向けゲームの台頭。

・これらの「無料ゲーム」の品質が高まり、手軽にゲームを楽しみたい人たちを中心に顧客が流出。

・据置型ゲーム機Wii Uの不人気による、ゲーム機販売台数の低下。ゲームプラットフォームとしての集客力の低下がゲームソフトの供給不足を招く。結果、販売台数減、収入減の悪循環。
 任天堂の直面する大きな課題は、顧客流出の食い止めと売上の回復だ。その解決策として、国内で拡大しつつあるモバイルデバイス向けゲーム市場に活路を求めたのだろうか?
 
 ここで任天堂の売上構成を考えてみよう。図3の通り、「任天堂の販売地域別売上高の推移」をみると、その約70%が欧米を中心とする海外向けである。任天堂にとっては、国内だけでなく、海外市場でどのようなゲームが売れているか、また今後売れるかが重要だと分かる。

 図4の「世界のゲーム市場規模予測」によれば、PlayStation4やWii U等の据置型ゲーム機向け、およびスマホやタブレット等モバイルデバイス向けのゲームが今後拡大する一方、Nintendo 3DS等の携帯型ゲーム機向けは徐々に縮小する見通しだ。


 市場規模の成長性からみれば、据置型ゲーム機向けとモバイルデバイス向けの強化が基本的な方向性だろう。ただしモバイルデバイス向けは、専用機向けに比べゲーム開発費が小さくて済み、参入障壁が低く競争が厳しいとされている。任天堂の強みを活かせるメインの儲けどころは、据置型ゲーム機向けであり、同社が新型の据置型ゲーム機「NX」に注力する意味もそこにあるのだろう。それでは、任天堂にとって、モバイルデバイス向けゲームはどのような位置づけなのだろうか?

後編はこちら

DeNAとの提携で目指す「新ビジネスモデル」社長亡き今、任天堂の未来は明るいか:後編(8月26日(水)7:00公開予定)


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