1. 看板プロダクトを再構築? ジーニーの社運を賭けた開発プロジェクトから学ぶ「妥協しない勇気」とは

看板プロダクトを再構築? ジーニーの社運を賭けた開発プロジェクトから学ぶ「妥協しない勇気」とは


 ――2013年12月。年の瀬の足音が近づく頃、株式会社ジーニーでプロジェクトマネージャーを務める篠塚さんは入社以来最大の岐路に立たされていた。篠塚さんは稼ぎ頭である基幹システムの開発チームマネージャー。看板プロダクトでありながら“穴”が多く不完全と認めざるを得ないシステムの「現状維持」か「ゼロから再構築」かの決断を迫られていた。

 とりわけ会社や上司から突き付けられた決断ではない。ただ対外的に「このままではまずい」と直感しての決断だった。

「それ程までにひどかったですね。当たり前のことが当たり前に出来なくて、クライアントからの新しい要望は全部お断り。既存機能の評価は頂けていたんですけど、でもそれじゃまずいでしょ、って」

 そして、篠塚さんは決断した。このまま現状維持をしても、莫大な利益を生むであろう現行システムの再構築を――。

 自ら手掛けたものを、自ら否定することほど辛いものはない。ましてや稼ぎ頭の否定だ。経営的なリスクにも直結する。「こうありたい」という理想と現実の間で揺れる気持ち。大きな重圧に屈することなく決断し、強く実行へ移した篠塚さんから「妥協しない勇気」を学んでみたい。


[ジーニー社とは?]

 最先端のアドテクノロジーでアプリ・WEBメディアの広告収益最大化を行うSSP(Supply Side Platform)を主事業とする企業。同社の「Geniee SSP」は国内最大級の事業入札規模を誇り、RTB(Real Time Bidding)による広告マッチング最適化でクライアントが急増。飛躍的な企業成長を遂げている注目株だ。

リスク覚悟で手にしたかったもの。


――ゼロからの再構築。そこにはどんなリスクが?

篠塚:一番大きかったのは、新しいシステムへの切替えリスクでした。現行の仕組みを新しいもので運用するとなると、データの取扱いや慣れ親しんだ操作性も様変わり。さらには営業も新しい仕組みを把握して顧客折衝する必要がある。「これはバグなのか、仕様なのか?」と混乱を招く恐れもある。色んな場面にリスクが波及する中、「このままでいいじゃないか」という声も社内にはありました。

――それでも決断したのはなぜ?

篠塚:もうこれ以上、クライアントの要望に対して「これは出来ません」と言いたくなかったんですよね。個人的にすごく悔しかったから。だからシステムを刷新する以上、「今までNOと答えたものが全部出来るようになります!」と言えるようなものにしようと覚悟を決めました。その思いをメンバーに打ち明けたら、びっくりするくらい方向性が一致していたんです。勿論、細かい手法などは個々違いましたがベクトルは同じ。ならばやるしかない、と。

理想を貫く。そのためのHOW TO

――実行するまでには相当のパワーが必要だったはず。どんな所を工夫しましたか?

篠塚:現場のいち考えでなく、「会社ゴト化」して声をあげました。

例えば…

○「市場規模」まで踏み込んだ社内提案

現行の課題に対し、新システムはどれだけ市場規模拡大を狙えるのか。金額もそうですが、これまで相手に出来なかった大企業もライバルになりうることをきちんと説明。また営業方針も今とこれからを比べ、単にSSP事業だったものがコンサル領域まで裾野が広がります、と「会社ゴト化」しての提案を心がけました。

○即時決断のために会社を巻き込む

マネージャー視点で考えれば、現実面を考慮すると理想は全部叶えられない。プライオリティを持って、そこを死守することに徹する。だけどメンバーのプライオリティは違います。出来るだけ機能を削ってシンプルにしたい。でもこちら側も譲れないものがある。そういう時はとにかくミーティングを重ねて削っていいか否かの認識あわせをします。これはできない、あれは出来ないで話すよりも、「何故出来ない、どうしたら出来る」といった建設的な方向に議論を誘導するのもマネージャーの役割だと思っています。そして最も大事なのは、「そのミーティングで即時決断すること」、ですね。

――スピーディーですね。でも最後の「即時決断」ってかなり難しいんじゃ?

篠塚:どうしても揉めそうな時は、事前に案を用意して全員集めて徹底的に話し合います。社長以下全員8時間がっつりミーティング、なんて時も少なくありませんでしたよ(笑)

――社長も8時間付き合っていたんですか?

篠塚:そこがこの会社のすごい所ですよね。本当に重要で緊急性があるっていうことをきちんと共有出来るから、みんなすごく協力的で。社長や企画部長の前で、意見を一致させるわけですから本当にスピーディーですね。

水面下で実行? 「サブマリンプロジェクト」とは。

(写真:エンジニア専用の作業集中ルーム)

――こうやって伺っていると、篠塚さん本人の工夫も確かですが、会社自体の理解って本当に大事なんですね。

篠塚:それは大きいですね。「意義があるならやってみろ」そう言ってくれるんですよね。目的がきちんと一致していればいい、っていう会社です。

 あとはマネージャーとして、新企画に対して一定の判断裁量も与えられています。例えばメンバーが「こんなのどうでしょ?」とアイディアをあげてきたら。「それサブマリンしてみたら?」って言うことも(笑)

――えっ、サブマリンって何ですか?

篠塚:会社にはまだあげず、水面下で少しアイディアを形にしてみる、ってことです。会社にあげる前に実行・検証して形になりそうだったら正式に報告する。また形にしてからプレゼンした方が理解の深まるケースもありますからね。会社の前にマネージャーがGOするか否かワンクッションになるのでちょっとしたアイディアがぽんぽん上がってきますね。そういった判断の権限をマネージャーに与えてくれる会社なんです。

急成長を特等席で実感。「+α」のキャリア構築に最適な場所。

――すごく刺激的な環境ですね。そんなジーニーならではの「働く魅力」ってどんな所にあるでしょう?

篠塚:例えば、エンジニアなら配信サーバ一ひとつとってみても何百億というリクエスト数を取扱います。膨大なログをビッグデータとして分析、それの成果がビッグビジネスにつながっていく。そのプロセスを最前線で実感出来るのって、すごく貴重だし堪らなく面白いと思います。

 他にも営業であれば、会社の急伸と共に、頑張り次第で売上目標達成が想像出来ないような右肩上がりを描くことも。しかもただ商品を右から左にするんじゃなくて、クライアントの要望を聞いてのソリューションですからコンサル要素も極めて高い。既存では対応出来ないものも開発と連携をとって対応出来ますから自分のビジネスをグンと大きく育てることが出来ますね。

――営業と開発に壁が無く、風通しが良いんでしょうね。だから営業は出来ることを開発とすり合わせ仕事も取りやすくなる。エンジニアは営業から今の市場トレンドを聞いて開発に反映出来る。良い環境・関係性がシナジーを生む、その好例ですね。

篠塚:私の場合、開発に所属しながらエンジニアより営業とやりとりする時間が長い分、クライアントの声が近いから、すごく開発のしがいがありますね。

他にもこんなワクワクする事例が!

篠塚:「エンジニア個人の工夫が企業成長に直結する」ってすごく楽しいんですよね。ある時、開発現場から「システムに“イールドマネジメント”の考え方を取り込んでみたらどう?」っていう声があがったんです。これは広告の1配信あたりの価値を最大化させようという発想で、ジーニー側の仕組みだけじゃなくてクライアントが契約する別のアドネットワークの広告価値も上げようと考えたんです。この考え方を反映し、「スマートイールド機能」という形で実装したところ、クライアントから大好評で…! 結果、システム全体の売上が220%UPしました。

――凄まじい伸び率ですね。売上といった別の形でも数字に表れるなんて、エンジニアとしてはすごく新鮮で刺激的な成功体験だったのでは?

篠塚:すごく満足そうでしたね。もちろん会社の業績に直結するわけですから、チーム・個人の評価にもダイレクト。本当にやりがい溢れる環境だと思います。

インタビューを終えて

(写真:ラウンジ&エントランスフロア)

 「これは良い!」と思うものはあらゆる方法で形に出来る。それがジーニー最大の魅力かもしれない。

 昨今市場で求められるのは、単なる開発力・営業力ではない。いかに市場を読み解き、それをリードし、収益を最大化できるか。そんな「実務+ビジネスセンス」に注目が集まっている。その訓練を日頃から積み、自然と高い市場価値を身に着けられる環境がこのジーニーには備わっている。

 ダイナミックな仕事を楽しみながら、クライアントにも自社にも、そして自分にも嬉しい――良いこと尽くめの仕事を、自分自身の手でこしらえる。ジーニーはそんなビジネスパーソン垂涎の環境をもたらしてくれるにちがいない。


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