1. 心理学界の気鋭が教える「無意味な口ゲンカを防ぎ豊かな人間関係を築く方法」:『人の心は読めるか?』

心理学界の気鋭が教える「無意味な口ゲンカを防ぎ豊かな人間関係を築く方法」:『人の心は読めるか?』

出典:ganref.jp
 他人の気持ちを理解できたら、どれほどコミュニケーションが楽になるだろうか。そんなことを思った瞬間はないだろうか。

 他人の気持ちを完全に理解することは難しい。しかし、少しでもいいから理解できるようになりたいと望む人は多いはずだ。

 今回は、『フィナンシャル・タイムズ』紙に「注目すべき教授」に挙げられており、シカゴ大学ブース・ビジネススクール教授を務める心理学の専門家、ニコラス・エプリーが著した、読心術などではなく、人の気持ちを正しく理解するためにすべきことは何かに焦点を当てた『人の心は読めるか?』という一冊を紹介する。

気持ちを感じ取る「第六感」の捉え方

 ニコラス・エプリ―は、人には第六感というものがあると述べている。具体的には、相手の仕草や態度から相手の心理状況を読み取ろうとする機能である。経験や相手との関係性によって第六感の働きは変わる。実際、これによって相手の喜怒哀楽といったものは感じ取ることが出来る。

 しかし、第六感で得られる情報は表面的なものだけである。言葉遣いなどの仕草や態度を意図的にコントロールすることは可能で、それで他人を騙したり欺いたりする人もいる。そのため、第六感は万能ではないという理解を持つことが必要となる。

 また赤の他人より普段から交流のある人(家族や友達など)ほど、その人のことを理解しているように感じるが、そこに大差は無いとニコラスは述べる。それは人前で見せる姿が必ずしも全てではないからである。自分の理解力を高く見積もらず、「自分の判断はもしかしたら違うかもしれない」という認識を持つことが、人の気持ちを汲み取る第一歩である。

相手の立場になんて立つことはできない

 相手の気持ちを汲み取るために、相手の立場に立って考えてみることを行う人は多いだろう。確かに、自分の立場から見えないことは多く、相手の心を読み解く一つの有効的な方法ではある。

 しかし、ここにも落とし穴はある。相手の立場に立って考えてみても、それはあくまで相手の立場に立った自分の考えなのである。自分のレンズを通して見えるものと他人のレンズを通して見えるものは同じではない。

 どんなに相手を考えても、結局は自分のレンズや第六感によって見えているものから行う推測であり、それで気持ちを理解することはできないのである。また本書では、家庭における活躍度に関して、夫婦別に行った調査を取り上げている。調査では、夫婦は互いに自分の働きの方が上だと考えているという結果が出ており、ニコラスは「人は自己認識を過大評価しがちである」と述べている。したがって、相手の気持ちに対して誤った理解をしやすいのである。

 では、正しく相手を捉えて、気持ちを理解するためにはどうすれば良いのか? この本で唯一挙げられている具体的な方法を次項で紹介する。

相手の気持ちを知るための最も良い方法

 相手の気持ちを理解したいと思うのは、なぜか? もちろん様々な理由があるだろうが、おおまかにまとめれば「相手と上手く付き合うため」である。

 しかし、相手と上手く付き合いたいと思っているのに、相手の気持ちを直接聞こうとする人は少ない。ニコラスは、この点に関して疑問を投げかけている。もちろん相手の気持ちを汲み取って、陰からサポートできるというのは格好がいい。しかし、判断を誤ってしまえば格好がつかないため、人はどうにかして相手の気持ちを汲み取ろうとするのである。

 前項までの話を踏まえれば、いくら自分で考えても相手の気持ちを完璧に理解することが難しいことは分かるだろう。そのため、正しく理解するためには自分の視点であれこれ決めてしまうのではなく、自分の考えが合っているのか直接相手に聞いて確かめることがベストなのである。しかし、相手に聞けないから困っているという人も多いだろう。その場合には、まずは相手が話しやすい環境を作るべきである。

 相手の気持ちを読むために試行錯誤するのではなく、相手から気持ちを話してもらえるような状況を作ることが、相手の気持ちを知るための最も良い方法であるとニコラスは教える。


 相手の気持ちを読むのではなく、話してもらえる自分であろう。そのためには、自分がもっとも理解できていない相手は、自分自身だと知るところからだ。


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