1. 【プロ野球・年棒差対決】阿部慎之助(巨人)vs. 細山田武史(ソフトバンク)

【プロ野球・年棒差対決】阿部慎之助(巨人)vs. 細山田武史(ソフトバンク)


 プロ野球選手としての価値は「金額」となって現れる。スター選手はその活躍と知名度にふさわしいだけの報酬を手に入れ、いいクルマを乗り回し、豪邸に住まう。一方、華やかに見えるプロであっても、日本人男性の平均年収と言われる500万円に満たない年俸の選手も大勢いる。ここでは、2015年NPB最高給男と球界きっての貧乏キャラによる、『金持ちアベさん 貧乏ホッソ』の涙なくして読めない給料格差を紹介しよう。

※以下、文中の金額はすべて推定

【金持ちアベさん】阿部慎之助(巨人)――5億1000万

 2015年の日本プロ野球最高年俸は、阿部慎之助(巨人)の5億1000万円だ。

 野球ファンなら誰もが知っている「球界の顔」だが、昨季は不振もあって、年俸が6億円から9000万円もダウンしている。それでも、6億も5億1000万も、一般人にとっては高額すぎて現実感のない数字だろう。たとえ、一生分の運を使い果たす勢いでキャリーオーバー時のロト6を当てても、最高4億円にしかならないのだ(ロト7ならキャリーオーバー時に阿部を超えられる可能性があるが、本稿ではあまり関係ないので割愛する)。ちなみに、日本人選手で6億円を超える年俸を手にしたことがあるのは、佐々木主浩(元横浜ほか)と松井秀喜(元巨人ほか)、そして阿部の3人しかいない。

 そんな阿部も、近年は故障との戦いに明け暮れていた。昨季は頚椎ヘルニアを患い、首痛を抱えながらプレーし、打率.248、19本塁打、57打点と精彩を欠いた。そこで原辰徳監督は阿部の選手寿命を伸ばすべく、体の負担の大きい捕手から一塁手にコンバートする。ところが、開幕してわずか6試合目にヤクルトからFA移籍したベテラン捕手・相川亮二が故障離脱すると、原監督は阿部を捕手に再転向させる。まさかの「朝令暮改」によるダメージも大きかったのか、阿部は捕手復帰からわずか11試合目にして、左太もも肉離れを発症。登録抹消となってしまった。

 阿部には焦らず足をしっかりと治してもらいたいところだが、恐らく1日休むごとに「139万7260円」を呪詛のごとくカウントしていく、意地悪なファンもいるだろう(5億1000万÷365日=139万7260円/日)。無事に復帰して、再び年俸に見合ったパフォーマンスでセ・リーグを盛り上げてもらいたいものだ。

【貧乏ホッソ】細山田武史(ソフトバンク)――480万

 野球界で貧乏キャラとして有名なのが、細山田武史(ソフトバンク)だ。

 2008年に横浜(現DeNA)からドラフト指名された際は、早稲田大で斎藤佑樹(日本ハム)とバッテリーを組んでいたことから、“斎藤の女房”と言われ注目された。プロ入り1年目の年俸は1000万円、即戦力の呼び声も高く、当時の大矢明彦監督に見込まれ、ルーキーながら88試合に出場する。しかし、打率.158、盗塁阻止率.173と1軍レベルとは言いがたい成績だった。

 2012年には1700万円まで年俸が上がっていた細山田にショッキングな事件が起きたのは、同年オフの契約更改だった。1軍出場ゼロ、2軍でも出場20試合、打率.125に終わった細山田に提示された金額は、なんと65%ダウンの600万円。この条件が嫌なら戦力外通告にする……という厳しいものだった。

 屈辱の提示を泣く泣く受け入れた細山田だったが、気がかりだったのは「税金」のこと。2012年の年俸1700万円にかかる税金を考えると、600万のうち残る額はほとんどない。

「これから食事は松屋、吉野家にする」

 記者会見で絞り出した細山田の悲鳴にも似た名言。これから牛丼をもりもり食べて、キン肉をつけて、Go Fight! してほしい……。そう願ったファンも多かっただろう。しかし、そんな祈りもむなしく、細山田は翌2013年も1軍出場ゼロ、ファームでもわずか6試合の出場に終わり、戦力外通告を受ける。

 プロ1軍レベルで考えると、やはり細山田の打撃力とスローイング能力の低さは致命的だった。しかし、首脳陣のアドバイスを咀嚼する高い理解力や、練習に真摯に取り組む姿勢は高く評価されていた。その点を買ったのか、ソフトバンクが細山田を育成選手として獲得したのだった。

2015年4月3日、球界一の高給取り・阿部慎之助が捕手に再コンバートされた日、苦労人・細山田に朗報が届く。正捕手の細川亨、若手の斐紹が相次いで故障したソフトバンクは、細山田を支配下選手登録すると発表したのだ。背番号は「125」から「00」へ。年俸は支配下登録選手の最低保障額(440万円)をわずかに上回る480万円。

 同じ捕手である阿部1人の年俸で細山田が106人雇える計算……。この格差にプロの「天国と地獄」を感じずにはいられない。それでも、自身の誇りのために、そして昨年、結婚したばかりの新妻にいい暮らしをさせるためにも、細山田の戦いは続く。


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