1. IBM出身・伝説の日本人が生んだ世界標準のマーケティング戦略:『外資系コンサルタントの企画力』

IBM出身・伝説の日本人が生んだ世界標準のマーケティング戦略:『外資系コンサルタントの企画力』

出典:www.extremetech.com

 そもそも企画とは何か? その本質を考えなければ、良い企画を作ることは出来ないだろう。

 企画とは、組織として社会に対し行うべきことを考え、それを実行するための具体策をまとめ、実行するためのものである。その過程には上司や会社に案を通す作業もある。しかし、多くの人が案を通すことを目的としがちであり、企画書の作り方やプレゼンの仕方ばかりに目を向けてしまっている。これでは、企画そのものは良くならないのである。

 今回紹介するのは、世界的エクセレントカンパニー・IBMで伝説の日本人と呼ばれた企画のプロである著者が、自らの経験を基に企画力の考え方をまとめた『外資系コンサルタントの企画力』という本である。

企画は実行されなければ意味がないか、実行しても意味がない。

 企画は、何か行動を起こしたり変化を生んだりするために行うものだということは序文で述べた。言い換えれば、企画は実行されて初めて意味を成すものである。では、実行される企画はどのようなものか? 企画づくりに携わったことがある人なら分かるだろう。

 実行される企画……、つまり通る企画には新規性や斬新性が求められる。そのため、企画担当者は誰もが考えつかなかったようなアイデアを出そうと必死になる。そして、非現実的や実現可能性といったことを理由に多くのアイデアはボツになってしまうのである。しかし、考えてみてほしい。既存の枠組みを軸に良いと判断されたアイデアは果たして、斬新なものなのか? もしかしたら通った企画は他社などで既出のもので、実行してもあまり意味がないかもしれない。

 そう考えれば、ボツになった非現実的なアイデアの方が斬新である。しかし、いくら斬新であっても実行されなければ意味がないのも事実である。著者は「実行しても意味がない企画」と「意味があっても実行できない企画」の2つを並べたときに、後者を実行できるようにすることが「企画力」であると述べる。

 実行して意味のある企画を生み、それを実行させるにはどうしたらいいのか? 次項では著者の教える企画の考え方を紹介する。

企画は「妄想」→「発想」→「構想」の3ステップで作る

 著者は企画を作る法則として、3つのステップを挙げている。各ステップを詳しく見ていこう。

1stステップ:妄想

 まずはアイデア(企画案)出しの部分である。ブレーンストーミングと同じやり方で、ただひたすらアイデアを出していく。その際に、「これはあくまで妄想だから、羽目を外して突拍子もないことを考えてもいい」という安心感を持つことが必要となる。

 もちろんブレストのルールにも自由な発想を出していいというものがあるが、どうしても良いアイデアを出そうとしてしまい、自社のもつ設備や機会といった強みに絡めて考えてしまいがちになる。しかし、それではアイデアに制限をかけてしまい、既存のものと大差ないものを生んでしまう。あくまで妄想であるから、自由にしていいのである。

2ndステップ:発想

 妄想して出したアイデア(企画案)を整理する段階である。企画には行う目的がある。「問題:困った事象」「問題点:工夫をすれば回避できた事象」「課題:問題点を発生察せないための施策」というロジックを基に、まずは企画目的の中身を整理する。

 例えば、電車の遅延で会社に遅刻するという出来事に対し、解決するための企画を作るとする。この場合、「会社に遅刻すること」が問題、「遅刻するかしないかギリギリの電車に乗っていること」が問題点であり、課題は「遅延しても大丈夫な電車に乗る」「電車で通勤しない」などが挙げられる。課題を出すことによって、妄想で出したアイデアを各課題の解決策につなげて整理や精査が出来るようになる。

3rdステップ:構想

 最後は企画を実行に移すために、上司や会社に企画案(アイデア)を通す段階である。いくらアイデアが面白くても、それが実現不可能であれば承認されることはない。逆を返せば、斬新で突拍子が無くても実現可能だということを示せれば良いのである。それが構想の段階である。

 どのような支援があれば良いのかを考え、先に必要な支援が得られるかどうかを確認しておく。またこの段階で、様々な人と意見を交換し、企画案そのものが支援を得られるように調整していく。得られる支援とアイデアの擦り合わせをして、実現可能性を高めていくのである。

 妄想、発想、構想の段階を経ることで、非現実的と一蹴されるようなアイデアを実現可能な一つの企画として組み立てることが出来るようになる。

企画を成功させるための戦略

 前項までで企画を実行するところまで来た。企画には企画担当者や支援者など、企画によってはかなりの人数が協同することになる。そして、企画に関わる全員が「この企画には携わりたい」と意欲的でいることが成功のために重要となる。そのためには、著者は企画に関わる各個人が魅力的に感じる実行作業の姿を見せる必要があると言う。

 企画の作業工程を参加者全員で「~する」と「~になる」の2つの言葉を使って箇条書きにすることで、まず作業の抜け漏れやタイムラインを考える。そして、各々に自分の作業が成功にどう繋がるかを明確に知らせることで、自分の作業の重要さや意味を感じさせ、やりがいを生むことができる。こうすることによって、企画リーダーは、各作業を把握し指示や効率化を図ることができ、その他の参加者は自分の作業に意欲的になることができるのである。


 企画は一つ一つの段階をしっかりと行うことが大切である。今まさに企画に悩んでいるというのであれば、ぜひこの本を読んで企画力を高めるきっかけにしてみては?


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