北海道日本ハムファイターズから米メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスへと渡り、移籍後も華々しい活躍をみせる大谷翔平選手。
そんな大谷翔平選手の怪物的な野球センスを培ったのがマンダラチャートと呼ばれる「目標達成シート」だといわれています。
本記事ではマンダラチャートのフレームワークや、活用方法を紹介します。
- 目標達成シート「マンダラチャート」とは?
- マンダラチャートの使い方
- マンダラチャートの活用方法
大谷翔平を「怪物」にした目標達成シート「マンダラチャート」とは?
「マンダラチャート」とも呼ばれる目標達成シートは、株式会社クローバ経営研究所・社長の松村寧雄氏が考案したフレームワークのこと。
曼荼羅(マンダラ)模様のようなマス目にアイデアを記入していくことで、必要な項目の整理や可視化を行います。
マンダラチャートを利用することで、
- 目標が明確になる
- 目標を達成するために必要な項目がわかる
- コミットしなければいけないことが可視化される
などのメリットがあります。
目標達成シート「マンダラチャート」は、大谷翔平選手も活用していたことで注目を集めました。
プロ野球史に名を残す選手「大谷翔平」とは?
大谷翔平選手=2019年5月10日、米ボルチモアでKeith Allison氏撮影/Wikipedia Creative Commons
非常に稀な投手と野手の二刀流として活躍するプロ野球選手・大谷翔平選手。
1994年7月5日生まれ、193センチ。岩手県奥州市出身で、県内の花巻東高校に進学し甲子園にも出場しました。
高校卒業後はドラフト1位指名で北海道日本ハムファイターズに入団。入団翌年の2014年度には、プロ野球史上初めてとなる10勝・10本塁打を記録。
2018年には、メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスに移籍し、移籍後は3試合連続で本塁打、2ケタ三振の両方を同一シーズンで達成しています(史上3人目)。
日本のプロ野球だけでなく、メジャーリーグでも「怪物」っぷりを発揮している大谷翔平選手。日本だけでなく世界が注目する、まさに世界の球史に名を残すであろう野球選手です。
大谷翔平選手に「マンダラチャート」を教えた恩師・佐々木洋氏
大谷翔平選手がここまでの「怪物」となったのには、花巻東高校時代の監督・佐々木洋氏が大谷翔平選手に与えた「目標達成シート」が非常に重要な役割を果たしたといわれています。
下図が、大谷翔平選手が高校1年の時に書いたマンダラチャートです。
マンダラチャートの書き方・使い方の3ステップ
次に、マンダラチャートの書き方について紹介します。マンダラチャートは以下の3つのステップで作成します。
- STEP1.9×9のマスを作り、真ん中に「自分の成し遂げたいこと」を書く
- STEP2.真ん中から1マス離れた8マスに「成し遂げたいこと」を達成するために必要な「要素」を書く
- STEP3.「8つの要素」を得るために必要な「8つの行動目標」を書く
それぞれのステップごとの詳細を、大谷翔平選手の活用方法を例に順を追って解説します。
マンダラチャートは非常に構造が単純なフレームワークであるため、ぜひ本記事を機に覚えてください。
STEP1.9×9のマスを作り、真ん中に「自分の成し遂げたいこと」を書く
まずは、マンダラチャートに9×9のマスを作りましょう。
上記の図のように3マスおきに二重線など、少し太めの線を引くことで3×3のマスが9個できあがります。
先にマスを作っておくと、後々の目標記入などがやりやすくなるため、最初にやっておきましょう。
なお、テンプレートを利用することで、マスを作成する手間を省けます。
9×9マスを作り終わったら、真ん中の9マスに「自分の成し遂げたいこと」を書きましょう。
上記の図は、大谷翔平選手がマンダラチャートの真ん中に記入したものです。
大谷翔平は「8球団からドラフト1位指名」を「自分の成し遂げたいこと」として設定していますが、真ん中に記入することは定量的なものでも定性的なものでも構いません。
これから埋めていく項目は、すべて最初に記入した「真ん中の目標を達成するために必要なもの」となります。自由に「自分のなりたい姿」を想像して、マンダラチャートの中心に書いてみましょう。
- 「自分の成し遂げたいこと」を書く
- 真ん中に記入する目標は「定量的/定性的」どちらでもOK
- チームでマンダラチャートを用いる場合は「全員が挑戦できる」「数値化しやすいもの」を目標にすると、今後の項目記入がしやすくなる
STEP2.真ん中から1マス離れた8マスに「成し遂げたいこと」を達成するために必要な「要素」を書く
シートの真ん中に「成し遂げたいこと」を記入したら、周りのマスに「成し遂げたいこと」を達成するのに必要な要素を書いてきましょう。
マンダラチャートに記入するときは、左上のマスを始点に「重要だと思う要素から時計回り」で書いていくことがポイントです。
大谷翔平選手の場合は「8球団からドラフト1位指名」を成し遂げるために、「体づくり、コントロール、キレ、スピード、変化球、運、人間性、メンタル」といった8要素を設定しています。
成し遂げたいことが達成されるためには、複数の要素が絡み合ってできていることがほとんどです。その複雑な要素を洗い出し、いったん整理できることがマンダラチャートの利点だといえるでしょう。
もし8個以上思い浮かんでしまうのであれば、優先順位をつけ取捨選択をします。自分に足りていない要素を優先的に洗い出すことで、自分の弱みを最速で補うことができる点もマンダラチャートのメリットです。
- 仕事の目標などの場合は「心・技・体・生活」の要素を満たすことを心がける
- 「自分」だけでなく「他者の視点」を含めて、8つの要素を洗い出す
例:「部署にどう貢献するか」「社会にどんな影響を残したいのか」「他の人にどんな振る舞いをするのか」
STEP3.「8つの要素」を得るための「8つの行動目標」を書く
中心に書いた目標を達成するために必要な「要素」を得るためには、同じように複数のことを「努力する」必要があります。
そこで、中心の3×3マスを記入し終わったら、上図のように、外側にある3×3マスの真ん中に、先ほど挙げた必要な要素を記入していきましょう。
8つの要素を3×3マスの真ん中に記入したら、次はそれらの要素を身につけるために実践する「行動目標」を決めていきましょう。
行動目標を設定する際は、数字や期日などを意識すると目標としての精度が高くなるはずです。
8要素を身につけるための行動目標をそれぞれの要素に設定していくと、合計64個の「ToDo」が明確になります。
以上で、マンダラチャートは完成です。
- 行動目標には、可能な限り数字や期日などを定める
- 行動目標は「期日行動」「ルーティン行動」の2種類で設定する
- 技術やスキルを身につけることを目標とする場合は、「ルーティン行動」を目標設定する
このように、マンダラチャートでは中心の「成し遂げたいこと」に対して、64個の「ToDo」に分解することができます。
分解した64のTODOを続けることで、理論上では「成し遂げたいこと」への道が確立されるのです。
大谷翔平選手はマンダラチャートに自らが記した要素すべてを手に入れ、高卒ルーキーとして日本のみならずメジャーでも活躍できる存在となりました。
マンダラチャートを作成しただけで満足せず、達成するために必要なことを地道に行いましょう。
マンダラチャートを作成するときの3つのポイント
いざマンダラチャートを作成しようとしても、思ったように作成が進まないこともあるでしょう。次に、マンダラチャートを作成するときの3つのポイントを紹介します。
1.すべての項目を無理に埋めなくてもよい
マンダラチャートを作成するときには、「マスが埋まらない……」ということも少なくありません。何を埋めたらいいのかわからない場合には、無理に埋めなくてもOK。
なんとしてでもすべてのマスを埋めようとして、無意味なことを付け足しては、目標達成への遠回りをすることになったり、ムダな努力をすることになったりしてしまいます。
現時点で自分が必要だと思う要素だけを記入し、行動していく中でさらに必要だと思った内容を追記するようにしましょう。
2.仕事・プライベートなどテーマごとにマンダラチャートを変える
達成したい目標が複数ある場合は、テーマごとにマンダラチャートを変えることがポイントです。
例えば、仕事での目標、プライベートでの目標はそれぞれ別のマンダラチャートを作成するといいでしょう。
しかし、あまりにもマンダラチャートを作成しすぎると、注力するべきTODOが多くなりすぎて、結局どれも達成できなかった……ということになりかねません。
仕事での目標の場合「営業スキルを上げる」「マネジメントスキルを上げる」「ビジネスマナーを身につける」などそれぞれマンダラチャートを作成するのではなく、「デキるビジネスマンになる」を目標にし、それに必要な要素を8つ洗い出すことがおすすめです。
3.達成するために定量化し、期日を決める
マンダラチャートで、目標や行うべきことが明確になりました。しかし当然、何も行動しなければ目標達成することは叶いません。
目標を確実に達成するためにも、64のTODOを定量化し、達成するときの期日を決めておくことがおすすめです。
マンダラチャートの中に期日を入れておくと見にくくなってしまうため、別の紙に期日別にTODOを書き出しておくのもいいでしょう。
マンダラチャートの使い方は「目標達成」だけじゃない!
マンダラチャートは目標達成のために使うシートだと思っている方も多いでしょう。しかし、マンダラチャートは、問題解決や情報整理のためにも使えることをご存知でしょうか。
次に、マンダラチャートの活用方法について紹介します。
「問題解決」「情報整理」「情報伝達」「発想整理」にも使える
マンダラチャートは、中央に書く内容を変えるだけで、様々な使い方ができます。
真ん中に「解決したい問題」を置けば「問題解決」としてのマンダラチャートになり、真ん中に「評価したいもの」を置けば「評価チェックリスト」としてのマンダラチャートとして機能します。
自分の頭の中で展開したことを書き留めるという点で、マンダラチャートはマインドマップと似ていると感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、マンダラチャートは展開する要素を必ず8個に収めなければならないため、後で見直したときに雑然としたものになることがデメリットです。
マインドマップが直感で理解するのに対し、マンダラチャートは論理的な理解ができることが特徴だといえるでしょう。
マンダラチャートを活用できるおすすめアプリ「72Action」
「まずはマンダラチャートを試しに使ってみたい!」という人におすすめなのが「72Action」というアプリです。
アプリでマンダラチャートをチェックできるため、すぐに「64個のTo Do」を確認することができます。
無料でダウンロードできて、使い勝手もいいと評判のため、ぜひ活用しみてください。
>>iPhone版「72Action」をダウンロードはこちら
>>Android版「72Action」をダウンロードはこちら
また、アプリに頼らず、あえて手書きすることで目標を強く自覚するのもいいでしょう。手帳やテンプレートなど、自分が必要な時に見返しやすい方法で作成しましょう。
マンダラチャートのテンプレートファイル(Excel)をダウンロード
マンダラチャートを日常の様々なことに当てはめることで、自分が今何を考えているのか、何をすればいいのか具体的に理解ができるようになります。
テンプレートも活用しつつ、ぜひ一度マンダラチャートを作成してみてはいかがでしょうか。
マンダラチャートを仕事にも活かそう
- 目標達成のためにマンダラチャートが便利
- 目標達成のために必要な項目とTODOがわかる
- TODOは定量的な目標とし、期限も決める
目標達成のために便利なマンダラチャート。頭の中を整理するためのフレームワークとしても活用できるため、仕事だけでなく、プライベートの目標にも適用できます。
目標達成のために必要な項目が可視化されることで、TODOが明確になることがポイントです。定量的な目標と期限を定めることで、さらに目標達成への近道となるでしょう。
本記事で紹介した方法やテンプレートを元に、ぜひ一度マンダラチャートを作成してみてはいかがでしょうか。
出典・参考文献
◆大谷 花巻東流“夢実現シート” 高1冬は「ドラ1 8球団」(2013年2月2日、スポーツニッポン)
◆大谷翔平×デサント ~第2目標達成シート~(2019年4月9日、株式会社デサント)
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