1. 日本一“厳しい”ビーチ「逗子海水浴場」。厳しさのウラには、地元を大切に想う「こころ」があった!

日本一“厳しい”ビーチ「逗子海水浴場」。厳しさのウラには、地元を大切に想う「こころ」があった!

by alexandermensa

 神奈川県逗子市議会は26日、海水浴場での入れ墨(タトゥー)の露出や拡声機を使った音楽の禁止、海の家以外での飲酒やバーベキューの禁止などを盛り込んだ条例改正案を可決した。個別の海水浴場を対象に夏の期間に限って規制する条例は全国で初めてだ。

出典:海水浴場「クラブ化」やタトゥー禁止…逗子市が条例可決:朝日新聞デジタル
 7月上旬を中心に、梅雨明けを控え、全国各地の海が「海開き」を始めている。神奈川県逗子市の逗子海水浴場も、6月末に海開きを行ったばかりだ。

 逗子海水浴場といえば、つい1年前の2014年に条例規制を改定し、海岸での様々な行為の規制を強化したことで有名だ。その規制の強さゆえ、一部の人からは「日本一厳しいビーチ」などと称されることもある。

 なぜ逗子海水浴場は「日本一厳し」くなってしまったのか。今回は、逗子海水浴場の規制強化の効果、そしてこれに踏み切った背景を見ていく。

「海の家のクラブ化」も「タトゥー」も禁止、夜は18:30までに

出典:www.city.zushi.kanagawa.jp
 2010年、逗子海水浴場の来場者数は709,500人を記録し、過去最多となった。海に訪れる人が爆発的に増加したことで、この年の逗子海水浴場内は、非常に治安が悪かったという。海の家が爆音を鳴らして「クラブ化」していたり、砂浜のいたるところに酒瓶が転がり落ちていたりと、風紀が乱れに乱れていたのだ。これらのことを述べた、32件もの苦情が逗子市に寄せられ、逗子海水浴場は対応を余儀なくされた。

 これらの現状に対応するべく、2013年に神奈川県は「海の家における海岸利用に関するガイドライン」を制定、海水浴客のマナー向上、海の家の規制強化に努めた。その結果、2013年の来場者数は417,000人と前年比で43%も減少してしまった。しかし苦情は減らず、2014年度に条例規則を改定することとなった。

 この規制を受けて、逗子海水浴場はさらに来場者数を減らした。2014年の来場者数は201,300人と、ここ10年で最低の数値となってしまった。

 では、一体なぜこのような規制強化に踏み切ったのか。そこには、地元のこと、環境のことを想う逗子市の姿があった。

「来場者数」より大切な「地元を想うこころ」

出典:housemory.blog95.fc2.com

 「青い海とみどり豊かな平和都市」の象徴である逗子海岸が、今、大変な状況に陥っています。風紀の乱れや治安の悪化は極めて危機的な状況にあり、来年度へ向けて海水浴場のあり方を根本的に見直す必要があると考えています。(中略)市としては、安全で快適な逗子海岸を取り戻すため、あらゆる手立てを講じて参る覚悟です。皆さまのご協力をお願い申し上げます。

      2013年9月6日 逗子市長 平 井 竜 一

出典:安全で快適な逗子海岸を取り戻すために | 逗子市
 逗子市のキャッチコピーといえば、「青い海とみどり豊かな平和都市」である。しかし2013年までの逗子海水浴場はとても「平和」とは言えない状態だった。逗子海水浴場の周りに住む住民たちは、夏になると毎回、海の家から流れる大音量の音楽や、夜遅くまで騒いでいる来場者のマナーの悪さに辟易していたという。海の近くに住んでいる人が、夏が来るとウンザリしてしまうというのは、何とも皮肉な話である。

 そんな住民たちの声を受け、逗子市は条例の改正に踏み切った。もちろん、改正することに反対する「海水浴客」の声も多く届いた。逗子市長・平井竜一はそれを直接受け止め、それでもなお改正を実施した。逗子海水浴場のもたらす経済効果よりも、住民の声を優先したのだ。

客足の落ち込んだ逗子海水浴場、対策は?

4日夜の逗子海岸には、幅100メートル以上にわたって、LEDの光に照らされた青い波が打ち寄せる幻想的な光景が現れました。(中略)逗子市観光協会の田代朋子事務局長は「夕涼みをしながら、ファミリーで来てもらおうと企画しました。さらに今月中に夜を楽しむイベントを開きたいです」と話していました。

出典:逗子の海水浴場 波をライトアップ NHKニュース - NHKオンライン
 いくら住民の声を優先するといっても、逗子市にとって逗子海水浴場のもたらす経済効果は大きい。客足が20万人近くに落ち込んでしまった昨年の結果を受けて、逗子市は新たな取り組みを行っている。

 規制強化により「平和」になったことを武器に、「ファミリー層」にターゲットをしぼった施策を打ち立てた。これが「海岸のライトアップ」である。海の家で食事をしながら、ライトアップされた海岸の景色をファミリー層に楽しんでもらいたいというねらいがある。マナーの悪い「若者」が逗子海水浴場からいなくなった今、これからの逗子海水浴場は新たなターゲット「ファミリー層」へ焦点を当てていく方向へシフトした。


 「日本一厳しい」ビーチという、一見“不名誉”な称号を背負っている逗子海水浴場。しかしこれは、地元を想うこころが「日本一」という意味で大変に“名誉”ある称号なのではないだろうか。逗子海水浴場の今後の「平和」な発展に期待する。

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