HOMEビジネス 14年連続で増収しているスーパー「エブリイ」。そのウラにある「大胆かつ斬新な経営戦略」とは?

14年連続で増収しているスーパー「エブリイ」。そのウラにある「大胆かつ斬新な経営戦略」とは?

Yasutaka Nagataki

2015/06/22(最終更新日:2015/06/22)


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 小売業界といえば、多くの人は「イオン」や「セブン&アイ」を想像する。これらの企業が誇るシェアは絶大で、他の企業が入り込む“スキ”がないように見えてしまう。

 そんな中、巨大企業のシェアなど「どこ吹く風」と言わんばかりに成長を遂げているスーパーが存在する。広島県福山市、広島市、岡山県を中心に店舗展開を行う「エブリイ」だ。スーパーエブリイを経営するエブリイホーミイホールディングスは、2001年決算時より14年連続で10億円以上の増収を続けている。一体何がそこまでエブリイを成長させているのだろうか。そこには、エブリイが磨き続けている、大胆で斬新な戦略が隠されている。

 今回は、2015年6月23日放送のテレビ東京『ガイアの夜明け』に合わせ、エブリイが成長を続けている理由に迫る。

生産から販売までを「6次化」

私たちは、スーパーエブリイ以外に、外食や通販などホールディングスの様々な業態を活かした6次産業化に挑戦。生産者、お客様、エブリイによるALLWINをめざし、世の中に新しい価値を生み出していきたいと考えています。

出典:エブリイ・ホームページ|毎日変わる。新しくなる。
 通常、スーパーに食品が並ぶためには、多くのヒトや会社を経由しなければならない。農家から加工業者へ、加工業者から問屋へ、問屋からスーパーへと、流通過程の多さは思わず辟易してしまうほどだ。そしてその過程の中で、大きさや形の悪い商品、いわゆるB級品は排除され、場合によっては廃棄されてしまう。

 そこに目を付けたエブリイは、2014年に業界初となる農業法人『株式会社アグリンクエブリイ広島』を設立し、農作物の収穫(一次産業)と加工(二次産業)も自らの手で行うことにした。そうすることで、流通過程で発生するコストを最小限に抑えることができた。さらに、本来廃棄されるB級品などを外食産業などで用いることで、ムダを極限まで削ることを可能にした。

 スーパーでの小売業などの三次産業に加え、一次産業と二次産業も行うことを「6次化」と呼ぶ。この6次化があるからこそ、エブリイは高品質の農作物を比較的安価に提供することができるのだ。

漁船を「一艘まるごと」購入

 2015年4月、エブリイは鮮魚の仕入れ方法に新たな一石を投じた。それが「漁船まるごと買い」である。エブリイは、香川県の水産業者と契約を結び、引田漁港で採れた魚を「一艘まるごと」仕入れることを決定したのだ。

 これにより、新鮮な魚をそのまま店頭に並べることを可能にした。加えて、農作物と同じように「6次化」を進めることができている。このような、「究極の鮮度」を目指す飽くなき挑戦が、エブリイの成長を押し上げる大きな要因となっている。

独自の人材育成「類人猿分類」って……なに?

この類人猿分類は、YPYエデュケーション、すまいるエブリイの代表取締役社長である岡崎和江さんが長年着目してきた大型類人猿の行動特性と、人間の行動特性を結びつけて一緒に開発した性格分類法です。

出典:人財育成 | エブリイホーミイホールディングス新卒・中途採用情報
 エブリイがここまで成長し続けている最大の要因は、独自の「人材育成」にある。エブリイでは、社員を「ある方法」で分類し、それをもとに個性を磨いて人材を育成するのだ。

 独自の分類方法、それは「類人猿分類」である。エブリイは、社員を「オランウータン・ゴリラ・チンパンジー・ボノボ」の4種類の類人猿に分類し、それぞれに合った方法で研修を行うのだ。そのため、自分と他人の共通点・相違点が明確に表れ、そこから「気づき」を得やすくなるのだそうだ。

 この人材育成方法が功を奏し、2015年にエブリイは「企業価値認定」を受賞した。エブリイが行っている「類人猿分類」が、世の中に認められた瞬間である。また、類人猿分類を世に広めるべく『ゴリラの冷や汗』という本を出版したところ、瞬く間にヒットを記録していった。ここからも、この人材育成方法が「全く新しく、かつ間違いではない」ということがうかがい知れる。


 エブリイが成長を続ける理由、それは「コストの削減」と「人材育成」にある。こうまとめると非常に単純なものに思えるが、その内容は斬新で、簡単に真似できるものではない。世の中に溢れるビジネスの現場において、エブリイのように成長し続けることが出来るのは、「他を逸する戦略」があってこそなのかもしれない。

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