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他人はコントロールできない。『グラッサー博士の選択理論』に学ぶ、自分のココロの制御術

Yasutaka Nagataki

2015/05/14(最終更新日:2015/05/14)


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by Thomas Leth-Olsen
 「選択理論」というものをご存知だろうか。選択理論とは、自分の感情を文字通り「選択」することで、人間関係を円滑にしようという心理学の理論である。要は、自分の感情を制御して、良好な人間関係を築こうという考え方だ。

 本書、『グラッサー博士の選択理論』では、選択理論の提唱者であるウィリアム・グラッサー氏本人が、選択理論についてを詳しく説明している。今回はそんな選択理論を、マスターすることで得られるメリットと共にご紹介する。

制御できるのは「自分だけ」

コントロールできないものについて、話し合って時間を無駄にするのはナンセンスだ。

出典:ウィリアム・グラッサー(2003)/『グラッサー博士の選択理論―幸せな人間関係を築くために』
 選択理論では、自分がコントロールをすることができるのは自分だけだ、とされている。すなわち、自分が他者をコントロールすることはできないということだ。

 他者に対し、怒鳴ることや罰を与えること、逆に報酬を与えることでコントロールを図ろうとすることを「外的コントロール」と呼んでいる。逆に、他人の言動や、身の回りの環境すべてを「情報」とし、その情報から自分が取る行動を「選択」するという行為を「内的コントロール」と呼ぶ。

 選択理論では、内的コントロールを薦めている。なぜなら、外的コントロールというのは、一時的な効果はあるものの、すぐ制御が出来なくなってしまうからだ。そして、また制御をするために、さらに外的コントロールを重ねていく。この繰り返しが行きつく先は「人間関係の崩壊」である。

自分の感情を「選択」する

自分が文句を言っている不幸を自分が選んでいる
ということなど、彼らのアタマをかすめることはない。

出典:ウィリアム・グラッサー(2003)/『グラッサー博士の選択理論―幸せな人間関係を築くために』
 やる気が起きない・なんだか運がない、誰しもが抱いたことのある感情だろう。もちろん、本当にどうしようもないくらいにやる気が出ないとき・運がないときというものは、長い人生の中で一度くらいはあるものだ。

 たとえば、歩いていたら鳩のフンに直撃してしまったということがあったとする。当然、直後は不幸と苛立ち・焦りの感情がいろいろと渦巻く。そして多くの人は、その日一日やる気が起きない・イライラしているといった状態へ陥ってしまう。選択理論では、人間はこの「少し後の感情」を複数の選択肢のなかから選んでいるというように考えている。

 "フン害"にあったことをポジティブに捉えるならば、「しばらくは使える話のネタが出来た」ということや「新しい服を買う口実が出来た」などという考え方ができる。そう考えれば、その日一日が負の感情に終わってしまうということもない。すぐに実践できるほど単純な話ではないが、これができるようになると少しのことでは負の感情に支配されない強い心が養われる。

 選択理論では、自分の考え方を変えることが一番大事であるとされている。前述のとおり、他者をコントロールすることはできないからだ。マスターするにはかなりの根気を必要だ。しかし、良好な人間関係を築くうえで非常に強力なスキルなので、人間関係に悩んでいる人はぜひともこの本を通じて選択理論を学んでほしい。



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