1. 会議をスマートに仕切るコツは「仕込み」と「さばき」に。グロービス流「ファシリテーション」の技術

会議をスマートに仕切るコツは「仕込み」と「さばき」に。グロービス流「ファシリテーション」の技術

 
 社会人になり数年も経つと、様々なことを任されるようになる。その中の一つが、会議の仕切り役。会議といっても、いわゆる大人数の「会議」から、数名でのチームミーティングなど様々だろう。営業職や企画職の方であれば、社内だけでなく、社外の方との「打ち合わせ」も含まれる。 

 複数の人が集まり、意見を交わし、一つの方向に導くのが会議ではあるが、これを「仕切る」となると意外と難しいもの。議論が発散して、関係のない話題ばかりで時間だけが過ぎていく会議や、議論のための議論となり、結論の出ない会議。はたまた実際に参加しているのはごく一部で、特定の人の意見だけで結論が出されてしまい、納得感のない会議…。皆さんも一度は経験したことがあるのではないだろうか?

 会議とは、仕事を前に進めるための重要な意思決定の場。たかが仕切り役とはいえ、実はとても難しい。 
 
だからこそ、会議をスムーズに仕切ることができると、仕事も前に進むし、ビジネスパーソンとしての評価もグッとアップするのだ。書籍『ファシリテーションの教科書』の執筆者で、グロービス経営大学院教員の吉田氏は、ファシリテーションの重要性をこう説明する。

 ファシリテーションは単なる会議進行の技術ではなく、リーダーの必須スキルです。 そしてファシリテーター型リーダーの必要性はますます高まってきています。(中略)

 企業間の競争が「何をすべきか?」から「組織として、やるべきことをいかに素早く、徹底的に実行するか?」に移ってきている中では、組織力を高めることができるリーダーが強く求められています。そしてファシリテーションは、そのための強力な武器になりうるのです。

出典:Amazon.co.jp: ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させる ...

 ファシリテーションがビジネスリーダー必須のスキルであることがお分かり頂けたかと思う。しかし、ファシリテーションのスキルなんて、いったいどうやって身につけたらよいのだろうか? そこで、活躍するビジネスパーソンを数多く送り出しているグロービス経営大学院のMBAプログラムで教えているメソッドを紐解いてみよう。

 グロービスのカリキュラムには、「ビジネスリーダーの必須スキル」として『ファシリテーション&ネゴシエーション』という科目がある。

 グロービスでは、ファシリテーションは「仕込み」と「さばき」が重要だという。それぞれどういうことか、見ていくことにしよう。 

「その場力」では限界。会議前に『仕込み』をせよ!

by Cydcor

 優れたファシリテーターは、「その場力」では会議を仕切れないことを知っている。スマートに会議を仕切るためには、仕込み=準備が必要なのだ。では、どんな仕込みをすればよいのだろうか?仕込むべきことは数多くあるが、決して忘れてはならないのは次の2つだ。

 1:議論の「出発点」と「到達点」を明確にする

 ファシリテーターに求められることは、会議を「どこから始めるべきなのか」「どこまでの結論を目指すのか」の2点を明確にすることだ。当たり前のことだと思うかもしれないが、実は明確になっていないことが多い。上手くいかないほとんどの場合が、この2点を明確にしていないことが原因だという。これらが明確になっていないと、参加者は「何を目的に参加していいのか」「何を話せばいいのか」「どのような立場で参加すればいいのか」などが分からないため、自分勝手にテーマを設定して発言するばかりか、「何のために会議をしているのだろう?」と疑問に感じ、ストレスを抱えてしまうことにもなる。

 なので、ファシリテーターは「どこから始めるべきなのか」「どこまでの結論を目指すのか」の2点をはっきりさせ、スタート時に参加者全員にしっかりと伝えることが必要だ。 

2:参加者の状態を把握する

 会議は人が行うものである以上、参加者を把握することもファシリテーターには求められる。具体的には、「どんな人が」「どういった状態でこの場に臨むのか」を確認するのだ。

 とはいえ、「参加者のことを考えろ」と漠然と言われても難しいもの。そこで、以下の3点について意識してみるとよいだろう。 

①情報の認識レベルを把握する

 まず「参加者が何を知っていて、何を知らないのか」を確認することが大切だ。参加者全員が知っていると思っていたが、実は人によって持っている情報量に偏りがあり、議論が噛み合わなかった、というケースは少なくない。そのため、参加者の認識レベルについて低めに捉えておくほうがよい。また、認識レベルを揃えるために、予め情報を参加者に提供しておくのも一つの手だ。

②想定される意見や態度を把握する

 会議のテーマについて、参加者がそれぞれ賛成・反対のどちらの立場なのか、また、その理由は何か、などを把握しておくとよいだろう。両者の妥協点や議論の落とし所などが見えてくる可能性が高まるはずだ。

③思考・行動の特徴を把握する

 「(意見を活発に発表するなどして)会議に貢献する人」や「意思決定のキーパーソン」などを把握しておくことも会議をスムーズに進めるためのポイントだ。「参加者とファシリテーターの関係」はもちろんだが、「参加者同士の利害関係」なども掴んでおくといい。

 例えば、「立場上、発言しなければならない参加者」がいる場合、積極的に発言を促すことで会議が前に進むだろう。

会議中に求められることは、その場を「さばく」こと

by Sebastiaan ter Burg

 ここまで会議の前の「仕込み」について話をしてきた。それでは、会議中に、ファシリテーターに求められるのは何だろうか?

 それをグロービスでは「さばき」と呼んでいる。参加者から意見を引き出し、議論を適切に結論に導くことが「さばき」だ。会議をさばくためには、最低でも以下の4つを意識して欲しい。

①発言を引き出す

 会議で誰も発言しない、というケースは少ないかもしれないが、発言者が偏ってしまい、発言すべき人がなかなか発言しない、もしくはできない、という事態は避けるべき。そのために、ファシリテーターは参加者の発言を適切に引き出すように努めなければいけない。具体的には参加者の発言意欲を高め、また参加者が発言に躊躇しているのであればその原因を取り除くことだ。

 具体的には「○○さん」と名前を呼ぶ、例えば「担当が変わったばかりの○○さんならではの、フレッシュな視点からの意見がほしい」など、その人の立場をふまえて「あなたに発言してほしいのだ」という気持ちを伝えることなどが挙げられる。

 また、発言を躊躇している参加者は「的外れな意見ではないだろうか」「気の利いた意見を言わなければならない」などと不安を抱えているもの。そのためには、ファシリテーターが「この場は意見の否定をしない場なので、まずはどんどん発言してください」「まずは賛成か反対かの意見だけでも伺いたいのですが」などと、誘導することが必要となるだろう。

②発言を理解し、共有する

 ファシリテーターは、参加者が発言したら、その発言を理解し、論点を整理し、他の参加者に共有する必要がある。

 まず「発言をしっかりと聞き、理解する」→「発言を受け止めたことを発言者にはっきりと示す」→「理解した内容を確認する」→「その発言から生まれた論点を他の参加者に共有する」というサイクルを繰り返すのだ。

 発言者によっては、話す内容がまとまっていない場合もあるため、ファシリテーターが仲介役になって、整理することが適切に議論を進める際には必要になってくる。

③議論の“土俵”を決めて、逸らさせない

by GuySie

 会議の時間は有限である。そのためにも、ファシリテーターは、議論の範囲=土俵 を定め、議論すべきでないことや無関係のことに話が及び始めた場合は制止する必要がある。これらが会議の時間を長引かせている大きな原因でもあるので、ぜひ実践したい。

④結論づける

ファシリテーターには、最後に重要な役割が残っている。それは会議のテーマに関して結論を出すことだ。そして、加えて今後の進め方、誰にいつまでに何をしてほしいのかなどのスケジュールやToDoを共有することが重要だ。

 これらの「仕込み」と「さばき」のステップを踏めば、誰でも会議をスマートに仕切れるはずだ。しかし、ファシリテーションのスキルは、要点を理解するだけでなく、何よりも実践を重ねることが大切だ。とはいえ、ファシリテーションのトレーニングする場はなかなかないもの。 

 グロービス経営大学院では、冒頭でご紹介した通り『ファシリテーション&ネゴシエーション』という科目があり、ロールプレイなどを通じて、スキルを磨く場が提供されている。

 しかし、「ファシリテーションスキルを身につけるために、わざわざ大学院に行くなんて……」と、及び腰になってしまうビジネスパーソンも少なからずいるだろう。

 そんな人のために、グロービスではMBAのカリキュラムの一部を1科目(3ヶ月)から受講することができる「単科生制度」がある。『ファシリテーション&ネゴシエーション』もその対象となっているので、ビジネスリーダーを目指す方や会議をスマートに仕切るスキルを身につけたい方は、ぜひ受講を検討してみてはいかがだろうか。

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