ここ最近「コミュ障」というネットスラングが話題を呼んでいる。「コミュニケーション障害」の略で、面と向かって言葉で人とコミュニケーションをとるのが苦手な人のことを指している。言葉でのコミュニケーションが苦手であるがゆえ、会議やプレゼンの場でも自分の意見を明確に示せないことが多く、社内での評価もあまりいいものとはいえない場合が多い。
そんな「コミュ障」を脱するための方法が書かれているのが、吉田尚記が書いた本書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』である。吉田尚記は、ニッポン放送のアナウンサーであるが、自身も以前は「コミュ障」であったという。そんな彼がどのようにして脱却できたのか、そんな実体験も載っている本書を紹介していこう。
コミュニケーションは「ゲーム」である
著者は、コミュニケーションのことを「ゲーム」として捉えることで、円滑に意思疎通が図れると述べている。「ゲーム」として捉えることで、「コミュ障」の改善に必要なステップの1つ1つに対して気重になることがないからだ。以下に、どのようにしてコミュニケーションを「ゲーム」として捉えるのかを挙げていく。
対話は「対戦ゲーム」ではなく「協力ゲーム」
2人でお互いにやり取りをすることを、対話という表現からまるで「戦っている」かのように考えてしまいそうになる。しかし、実際はそうではなく、むしろ2人で「協力」して会話を成立させていると考えなければならない。「戦っている」という考えで会話を展開しようとすると、会話の中で自分のことを「優位」に持っていこうとしてしまう。相手の会話に反した意見を提示し、文字通り「上に立とう」としてしまうのである。
しかし、本当の敵は「相手」ではなく「気まずさ」である。2人で協力して、会話を続けることで「気まずさ」という存在を表に出さないことが重要なのだ。「相手を倒す」という考えではなく、「相手と協力して気まずさを蹴散らす」という考えで会話を進めると、スムーズに会話ができるのだ。
勝利条件は「相手がポジティブな感情を抱く」ということ
上記のように、敵は気まずさである。しかしこの「ゲーム」は、相手との気まずさを避けるだけで足踏みを続ければクリア、というものでもない。ゲームであるからには、「勝利条件」が必要となる。
その「勝利条件」こそ、「相手がポジティブな感情を抱く」ということなのだ。自分との会話で相手を気持ちよくする、元気にする、あるいは癒すなどと、「この人と話してよかった」というように思わせれば勝ちなのである。
勝利条件への近道「相手に話させる」
多くのゲームには勝利に効率的に近づくために「スキル」が存在している。もちろん、コミュニケーションも例外ではない。コミュニケーションにおいて、勝利条件に近づくためには「相手に話させる」ということが肝心だ。
大抵の「コミュ障」ではない人は、自分から話をしたいものである。その人たちに「話させる」ことで満足してもらい、結果的に「この人とのコミュニケーションで自分は満足した」という実績を残すというのが狙いだ。
以上のように、コミュニケーションを「ゲーム」として捉え、相手と協力しようという意識を持つことで、自然と「コミュ障」からの脱却が図られる。「コミュ障」を脱却できずに悩んでいる方は、一度この本を手にとって確かめてみてはいかがだろうか。
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