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受験生の2人に1人が利用する「受験サプリ」何故リクルートがオンライン学習市場に参入したのか?

U-NOTE編集部

2015/03/27(最終更新日:2015/03/27)

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 小中学生向けのオンライン学習サービス「勉強サプリ」が2015年3月2日、リクルートマーケティングパートナーズよりスタートした。同サービスは、一流講師の授業やドリルなど、質の高いコンテンツを集約し、ゲーミフィケーションの導入により、自発的に勉強する習慣を身につけられるような機能も備えられている。

 月額980円という低価格にも関わらず、上質なコンテンツを提供する背景には、リクルートの教育に対する思いがあるという。 

高校生を取り巻く教育機会格差という「不平等」を解消

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 リクルートでは既に高校生向けの「受験サプリ」というオンライン学習サービスを提供している。このサービスはNew RINGというリクルートの社内コンテストでグランプリを受賞し2011年に立ち上げた新規事業だ。

 サービス開始から3年で累計会員数は138万人を突破。今年度の無料会員数30万人は、センター試験志願者数56万人と比較すると、2人に1人が利用しているサービスということになる。また、有料会員数は約8万人で、全国受験予備校3位の規模にあたるという。

 今や受験生のマストアイテムとも言える「受験サプリ」だが、同サービス立ち上げに至った背景には受験生が抱える「教育機会格差」という“不”を解消したいという思いがあったという。

 東京大学が行った調査によれば、年収1000万円超の親を持つ子の4年制大学進学率は62%だが、400万円以下では31%と半減する。つまり親の「所得格差」が子供の「教育機会格差」を生み、世代を超えて格差が再生産されるという構造になっているのだ。さらに、経済的制約がない場合でも、地方に住んでいて、近くに予備校や進学塾がなく、通うために片道2~3時間を要するなど、地理的な制約による「地域格差」も生まれている。

 「進学事業を40年にわたって展開してきたリクルートだからこそ向き合わなくてはならない課題だった」と受験サプリ編集長の松尾慎治氏は語る。
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「高校生の進路追跡調査 第一次報告書」(東京大学大学院教育学研究科大学経営・制作研究センター)、「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)

格安でカリスマ講師の授業を受け放題!「受験サプリ」誕生へのこだわり

 受験サプリを立ち上げた当時、全く未知の領域への挑戦だったこともあり、課題が山積だったが、いちばん最初に行ったことは、自らの不安を払しょくすることだった。自分たちがサービスに確信を持てなければ外部のパートナーを巻き込むことなど出来ない。そこで彼らは、“目指すべき未来”がある場所へと向かった。

 「New RINGの賞金を使って“オンライン予備校先進国”である韓国へ視察に行きました。オンライン予備校は本当に高校生に受け入れられているのか? ナマの声を聞いて実情を探ろうと……」

 その結果、彼らの思いは確信へ変わった。信じた思いに真っ直ぐに、ひたすらカリスマ講師を訪ね歩き、賛同を求めてまわった。

 とりあえず引き受けてくれる講師なら誰でも……なんてことは考えなかった。今どき「安かろう、悪かろう」が通用しないことは、マーケットを見れば明らかだからだ。何度も思いをぶつけ、講師と交渉を重ねるうち、高校生の抱える課題とサービスのコンセプトに共感するカリスマ講師が現れ始めた。

 そして、彼らの協力を得て、講義のサンプル動画を作成。高校生に見せたところ、「わかりやすい!」という反応が返ってきた。こうした声に手応えを感じたそうだ。

 しかし、質にこだわれば当然価格は高くなるし、リクルートでなくても良いだろう。コンテンツの質を担保しつつも、980円という安さを実現できたのは、クライアントとユーザーの双方にチャネルを持っているリクルートだからこそできた価格設定であり、受験サプリは同社だからこそ実現できたサービスと言える。

 この「高校との接点」は受験サプリというビジネスを展開する上でも活かされている。サービスを開始した当初、リクルートは高校の先生に受験サプリというサービスを理解してもらうことで、生徒の自宅学習用に勧めてもらうことを想定していた。ところが、先生からは放課後に補習学習を行うときに、補助教材として使いたいという意向をもらった。これを大きなチャンスと捉えた事業部は、すぐに全国の高校へ展開したという。

 金額以上のバリューを提供できたことで、高校生や先生から支持してもらうことができ、急速にサービスが普及していったのではないだろうか。

 一方で、まだまだ解決すべき課題もあるのだとメンバーは言う。

 「受験サプリも勉強サプリも学習意欲の高い子にとってはとても便利なサービスです。自分が学びたいと思えば過去問も無料でダウンロードできて、一流のカリスマ先生の授業も見れる。いつでもどこでもというところが一番の利点かなと思います。

 しかしながら、ある程度の強制力がないと勉強できないタイプの子は、使わなくなってきてしまいます。今後は講義の内容を工夫したり、機能を追加したり、勉強を好きになってもらえるような仕掛け作りをしていきたいなと考えています」

 確かにオンライン予備校は、勉強したいという意思があってはじめて使うツールだ。ただ、「学ぶことが楽しくなると噂のカリスマ講師陣の人気授業が受け放題」という口コミで確実に利用者が増えていくだろう。そうなれば、「周りが使っているから自分も使ってみようかな」という勉強フォロワー(積極的に学ぶための情報を得ない人)の心を動かすことも往々にしてあるのではないかと思う。

 実際にサービスを利用したユーザーからは、離島の高校生が受験サプリを使い大学に合格した、フリーターだった若者が受験サプリに出会い一念発起して勉強し大学に合格したなどの報告が続々と届いているそうだ。「受験サプリ」「勉強サプリ」を始めとするオンライン学習サービスが教育機会格差という"不"の解消の一助となり、全て子供たちが平等に教育の機会を得られる日が来ることを期待したい。






(提供:リクルート 文:力武亜矢)

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