1. 転職はキャリアアップのタイミングーー「キャリアトレック」プロデューサーが語るこれからの「転職観」

転職はキャリアアップのタイミングーー「キャリアトレック」プロデューサーが語るこれからの「転職観」

 
 転職は、キャリアアップのタイミング――。若手社員の離職率が問題視されている今、「転職」というアクションをこのように位置づけているのは、株式会社ビズリーチが運営する転職サイト「キャリアトレック」のプロデューサー、篠原孝明さん。

 2014年にリリースされた「キャリアトレック」のアプリは、篠原さんがこれまでのキャリアで培ってきた経験がベースになっているそうだ。それを探るため、前回のインタビューでは彼にこれまで歩んできた自身のキャリアを振り返ってもらった。今回は、彼のキャリアから生まれたアプリが持つ特徴とそれに対する想い、そして彼自身の「転職」に対する考え方について語ってもらった。




――篠原さんがプロデューサーとしてリリースした「キャリアトレック」のアプリには、どのような特徴がありますか?

 これまで求職者の行動プロセスは、まず自身が知っている会社や勤務地を選び、そこから自分に合った職種を深掘りしてイメージを固めていく、というもの。しかしこの流れだと、最初の時点で転職における選択肢が“その人の知っている会社”だけになってしまうんです。

 ここに問題意識を見出した私達は、「求人情報」ではなく「企業情報」に着目しています。例えばエンジニアの方であれば、まずは企業のオフィス環境について紹介することで「あ、こんな企業もあるんだ」と知ってもらった上で、その方に合った求人情報を紹介するような作りにしています。企業選びの際、まず最初に求人情報には載っていない、その企業のユニークな情報を目にすることができるアプリです。

 特に20代の方は、過去の経験だけではなく内に秘めたポテンシャルも社会で戦うための武器になるはず。それなのに、彼らが選んでいる会社は認知されているものに限定され、“井の中の蛙”状態になっているんです。アプリを通して「世の中には面白そうな会社ってこんなにあるんだ」ということを知ってもらい、まずは彼らの選択肢の幅を広げていきたいと思っています。


――アプリは、篠原さんの実体験を基にリリースされたと伺っています。具体的には、どのような点がアプリに反映されているのでしょうか?

 今回リリースしたアプリは、ユーザーに毎日アクセスしてもらえるような作りになっています。「転職」って、人生の中でそう何回も訪れるライフイベントではありませんよね。でも、例えばグルメ系のサービスならば、毎日お昼にアクセスするはず。このように転職というライフイベントも、もっと日常生活に寄せていきたいな、と考えたんです。

 私自身グリーに入社したのも、ネットサーフィンをしている中で新たな支社ができるのを知ったことがきっかけだったんです。このように、人生を変えるチャンスは意外と日常に転がっているもの。「転職をしよう」と決意してから1カ月、2ヶ月の間行動するだけではなく、半年~1年と長期的にアプリに触れ合ったり、サイトにアクセスしたりすることで、自分の成長に繋がる機会に触れ合ってもらいたい、という思いがあります。


――近年、国内ではビジネスマンを取り巻く環境における問題として「新卒社員の3年以内の離職率が高い」「仕事にやりがいを感じている人の割合が非常に少ない」といったことが挙げられています。現在の日本の労働環境やビジネスマンの意識について、篠原さんはどのように考えていますか?

 「定年までずっと一つの会社で働く」という概念に捉われない働き方が年々増えてきていると思います。これはSNSがかなり影響していると思うのですが、「こういう働き方をしている人もいるんだ」という情報を知る機会が非常に増えてきています。だからこそ、キャリアアップをしたいと思った時に他の選択肢を選ぶ機会が、おそらく10年、20年前よりも圧倒的に多くなっているでしょうね。

 特に近年では、どの業界にも「IT」が進出してきており、今やビジネスにおいて避けることはできない分野の一つで、様々な新しい仕事が生まれてきています。だから転職にかかわらず、今後働く上で必要とされるものや、成長していく業種・職種、これからの働き方における可能性などについて、日常的に情報収集していくことが非常に大切になってきているのではないでしょうか。


――篠原さんは企業選びのための情報収集をする際、どのようなポイントを主にチェックしていましたか?

 ビズリーチへの入社を決めた時の話ですが、グリーにいた頃、事業を存続させるため様々な意思決定をしていくタイミングに面した場合、いつも大胆な決断をする人は決まって社員番号が300番以内の人だったんです。なぜなら、おそらく彼らは会社創設期から社員数1000名という、急成長した時期を体感しているからでしょう。その経験があるから、自分の意見に対して「大丈夫」という自信を持っているんです。

 でもその経験は、お金で買えるものではありません。グリーは私が入社した時には既に1000名を超えていたので、それを経験することができなかった。だから、次にキャリアを築くときには300名以下の規模の中で、それが1000名、2000名の会社に成長していく瞬間の意思決定に自分も携わり、事業を存続させていきたいと考えていましたね。それを企業選びのベースとして見ていく中で、ビズリーチにたどり着きました。

 そして現在、「キャリアトレック」を推進していますが、まさに意思決定をする機会が多い。そのために心が揺れることもありますが、これを乗り越えて一年後、二年後に会社の規模が大きくなった時、自分の理想としていた意思決定の判断ができるようになっていたいです。


――これまで幾度となくキャリアチェンジをしてきた篠原さんですが、「転職」というアクションはどのように捉えていますか?

 転職をポジティブなものと捉えるか、ネガティブなものと捉えるかは人それぞれだと思います。ネガティブなイメージを持っている方は恐らく、企業選びの際に自分が知っているだけの少ない選択肢の中から、企業を選んでしまっていることが影響していると考えられます。雇用のミスマッチが起こっている原因も、そのためなのではないかと。

 私にとって転職はネガティブなものではなく、自分の置かれているステージを一つ上げるタイミングだと捉えています。私の場合は、これまでポジティブな理由での転職を経験してきましたね。

 転職によってコミュニティを変えることは、自分には今までなかった価値観やスキルを得るきっかけになりますし、新たに出会った優秀な人達と仕事をしていく中で、彼らを上回る業務量で仕事をしていけば追いつけるのでは、という高いモチベーションの維持にも繋がります。このように、働くステージを変えるという意味では、自分のキャリアアップのタイミングが転職にあたると思っていますね。


篠原孝明(しのはら・たかあき)さん プロフィール

株式会社ビズリーチ キャリアトレック事業部 プロデューサー
2008年、Apple Inc.に入社し、その後フリーランスのWebデザイナーとして活動。2012年、グリー株式会社に入社し、大阪スタジオの立ち上げに参画。プロダクトマネージャーを務める。2014年、株式会社ビズリーチに入社し、20代向けのレコメンド型転職サイト「careertrek(キャリアトレック)」のプロデューサーを務める。

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