1. 【スマホ戦国時代】東京五輪までに、無料Wi-Fiサービスの快適な利用は可能になるか

【スマホ戦国時代】東京五輪までに、無料Wi-Fiサービスの快適な利用は可能になるか

出典:www.sitebuilderreport.com

 2020年に開催されることとなった東京オリンピック。これに際して多くの観光客が訪日するだろうと見込まれているが、ここで懸念されているのがネットワーク環境の問題だ。

 見知らぬ土地に行ったときに、あると助かるのがWi-Fi環境。近年、無料で利用できるサービスの提供が進んできているとはいえ、まだまだ日本のWi-Fi環境は満足いく状態とは言い難い。

安全性をとるか、利便性をとるか

 現在用意されている多くの無料Wi-Fi環境は、メールアドレスとパスワードの登録や、事前のアプリダウンロードが必須となっている。海外には、利用規約への同意のみで接続できるサービスがあることを考慮すると、日本の無料Wi-Fiは接続までが面倒という意見があるのにも納得できる。

 しかし、このような仕組みは日本の安全性重視の傾向を反映したもの。認証を行うことによってサイバー犯罪が起きにくい状態を作り出しているため、なかなか完全フリーのWi-Fi環境を作ることは難しいだろう。

 また、認証システムの導入にはコストがかかる。その上、認証の手間を面倒に感じて利用者が増えなかった場合、Wi-Fi環境を解放している側は利益を得られないため、民間の事業者は導入に消極的になりがちだ。

自主財源での運用を目指す「Osaka Free Wi-Fi」

 これに関しては、大阪観光局が2014年1月に提供を開始した無料Wi-Fiサービス、
「Osaka Free Wi-Fi」が参考になるかもしれない。これは、NTT西日本や大阪府などが官民連携体制で整備を進めているもので、メールアドレスを入力するだけですぐに利用可能だ。また、これはWi-Fi環境と同時に「Osaka Enjoy Rally」というポータルサイトも合わせて提供している。

 「Osaka Enjoy Rally」は、海外からの旅行者の利用を想定した集客サイトだ。利用者がこれの加盟店で食事や購入をすると、特典や割引券取得ゲームへの参加が可能になる。「Osaka Enjoy Rally」への加盟は有料であり、この利益を「Osaka Free Wi-Fi」のインフラ拡大コストにあてる仕組みだ。

 これらのサービスは、年間4700万ビューのアクセスがある「Osaka-Info」やガイドブックなどで紹介されているため、知名度は自ずと上がるはず。そうなれば「Osaka Enjoy Rally」加盟のメリットも大きくなり、より快適な無料Wi-Fi環境を整えることができるだろう。

 このような好循環を生み出す仕組みを東京でも作ることができれば、安全性と利便性、両方の確保が可能になるのではないだろうか。

多量のトラフィックに耐えられるのか?

 「どこでつながるか」と同じくらい気にかかるのが、「どれくらいつながるか」。オリンピック開催時には、メイン会場でのアクセスの一斉集中が予想されている。

 2012年のロンドン五輪の際には、公衆向けWi-Fiのアクセスポイントが約850か所、関係者向けには約640か所のアクセスポイントが用意されていた。どのポイントも最大20万件の同時接続数を予想しており、実際にこのレベルに接近したポイントもいくつかあったようだ。

 日常生活ではこれほどアクセスが集中することはまずない。ケータイ三大キャリアは、これへの対処について以下のように述べている。

NTTドコモ

 NTTドコモは、高速かつ大容量通信が可能なLTE-Advancedの導入など、ネットワークの高度化で対応を図る。しかし、局所的かつ膨大な情報処理については、主催者を交えて対処する必要があるとする。

 また、訪日外国人向けのキャリアのWi-Fi無料開放については、セキュリティと利便性の両立を考え慎重な姿勢を示している。

ソフトバンク

 ソフトバンクは、ロンドン五輪を参考にWi-Fi用の周波数帯の拡大・開放を進めている。周波数帯が拡大されれば、一度に多くのデータを送ることが可能になる。これと同時に”電波特区”を作ることも提案しており、国内での活用頻度が低い周波数帯の開放を都に求める動きを見せる。

 Wi-Fi無料開放については、「セキュリティについての包括的な議論が必要であり、一社でできるものではない」としつつも「おもてなしの気持ちでやるべき」と期間中は提供する方針を示した。

KDDI

 KDDIは、現在のトラフィックの傾向を考え、小型の基地局を多く設置しているということ。五輪の各会場では高解像度の4K動画がアップロードされるのではという懸念を示しており、これへの対策として信号機などの公共施設への基地局設置が必要だと説明している。

 訪日外国人向けのWi-Fi環境については、既にそのための仕組みは用意されているため、問題はどう周知していくかであると述べた。

 
 オリンピックの盛り上がりには、スムーズな通信による感動の共有ができるかどうかも大きく関わるはず。それぞれ異なった見解を示す三大キャリアだが、「どこでも簡単につながる」という状態を作り出すためには各社の協力、さらに政府との協力が不可欠であろう。前述した「Osaka Free Wi-Fi」と同様に、企業や民官の枠を越えた「オール東京」での取り組みに期待が寄せられる。


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