1. 【テレビから動画コンテンツへ】どこでも視聴可能な「見逃し配信」。テレビは視聴者を確保できるか

【テレビから動画コンテンツへ】どこでも視聴可能な「見逃し配信」。テレビは視聴者を確保できるか

出典:www.photo-ac.com

 今やキー局をはじめとする多くのテレビ局で行われている「見逃し配信」。最近の例では、1月13日にフジテレビが、ドラマやバラエティ番組を放送終了後から最大一週間インターネットで無料配信する「+7(プラスセブン)」を開始した。

 録画しない限りテレビを通じてその時間にしか見ることができなかった番組を、一定の期間インターネットを介して無料視聴できるよう公開する。10年前には有り得ないとまで言われていたこのようなサービスは、視聴者獲得にどのように貢献しているのだろうか。

見逃し配信でリアルタイム視聴者を増やせるか

 ドラマやアニメなどの前回の流れを引き継いで話が続いていく番組では、一話見逃すと話が分からなくなってしまうというのはよくあること。このような形での視聴者の離脱を防ぐことが、見逃し配信の果たす大きな役割だ。

 また、このサービスが一週間などの限定された期間においては無料で行われていることもポイントの一つ。これによって、他の番組を見るためにそのホームページに訪れた人や、SNSで話題になっていた今回だけ見てみたいという人たちも気軽に見ることができる。既に「毎週欠かさず見たい」と思っている人だけでなく、「無料なら見てみるか」という人たちを取り込み、次回以降の継続的な視聴者を増加させる可能性がこのサービスにはあるだろう。

「毎回見逃し配信でいいや」とはならないか

 見逃し配信が定着することで気にかかるのが、「どうせ配信されるから、毎回見逃し配信でいいや」という視聴者が出てこないかということ。

 これに対しては、コンテンツのリアルタイム性が高まっていることが対策となるのではないだろうか。最近では視聴者参加型の番組は徐々に増えており、リアルタイムで見ることによって、見知らぬ多くの人々や芸能人と共に番組を作っているように感じられることもある。

 また、番組のことが話題になるのは放送された翌日であることが多い。友人と盛り上がりたい、面白さを共有したいと考えるならば、可能な時間帯であればリアルタイムで見るとより楽しめると考えるのが自然だ。

 さらに、見逃し配信の多くはスキップできない広告を合間に挿入している。実は、この動画広告枠が、テレビで定時に挿入されるスポットCMよりも高額で販売されているのだ。このことから、仮にリアルタイムの視聴者が増えなかったとしても、少なくとも以前より収益は上げられると言えるだろう。

バラエティも配信で寄り道を増やす

 見逃し配信では、連続モノでないバラエティ番組なども配信している。何度目の放送かをそれほど気にせずに見ることのできるバラエティは、目的としていた番組を見終わった人が試しに見てみる寄り道のような選択肢となり得る。同じページ内で一覧できるようになっていれば、マーケティングの基本である接触機会の向上も期待できるだろう。

違法動画の対策にも

 見逃し配信は、違法動画対策としても大きな役割を果たしている。動画サイトへの違法投稿は後を絶たないが、これをもしダウンロードしてしまえば、視聴者も罪に問われることになってしまう。見逃し配信によって、視聴者は犯罪の危険から解放されるのだ。

 また、前述のように、見逃し配信の動画ならばテレビ局に利益が生まれる。これまで違法動画投稿者に流れてしまっていた利益がテレビ局に正しく向かえば、出演者にも還元され、利益が出なくなった違法動画サイトが減少していくという良いサイクルが回り始めるかもしれない。

見逃し配信に残る課題

 しかし、この見逃し配信サービスにはまだまだ課題もある。キー局では徐々に無料配信動画の数が増えている一方で、地方局には資金難でそのようなサービスに着手できない局も多い。出演者からは、配信するならばもっと出演料を上げろといった声も出ているようだ。さらに、視聴者は局を意識していない場合も多く、各局の見逃し配信ページまで辿り着くのに時間がかかるなどアクセシビリティの問題も気になるところ。

 2014年9月18日には、TBS会長の井上弘氏が民放キー局五社でテレビ番組の無料配信を行う共同サイトの検討に合意したと発表された。これからいかにユーザー目線のサービスを提供し、視聴者を獲得していけるかに、テレビ業界の再興がかかっていそうだ。


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