1. 「頑張ること」に満足していない?ーー”体育会系”代表理事が語る、正しい仕事の「根性論」【前編】

「頑張ること」に満足していない?ーー”体育会系”代表理事が語る、正しい仕事の「根性論」【前編】


 「根性」が私の強みです――。長所について聞かれた時、こう答える人は多いのではないか。確かに、どんな状況でも頑張り続けることのできる根性は、ビジネスマンにも必要だろう。しかし、厳しい言い方をすれば、目標に向かって努力し続けることは当然の話。問題は、その努力が間違った方向に進んでしまっていた時、どのように対処するか。そのためには、根性に加えて何が求められるのだろうか?

 今回お話を伺った森村ゆきさんは、世界の子どもたちを支援するためのチャリティーランニング大会を企画・運営されている、一般社団法人PARACUPの代表理事。学生時代はバスケ漬けの生活を送り、そこで培われた根性を武器に仕事に励んでいた森村さんだが、ある時そのやり方に疑問を感じたと言う。これまでの自身の仕事を振り返りながら、持ち前の根性を最大限活かす働き方について語ってもらった。


――社会人になりたての頃とPARACUPを立ち上げた頃とでは、仕事に対する取り組み方が異なっていたそうですね。PARACUP立ち上げの経緯は、どのようなものだったのでしょうか?

 就職してから7年間ぐらいは、激務でも仕事を楽しんでいました。体育会系の人の多くは、目標があれば達成のために突き進もうとする思考を持っているはず。私の場合、その時は「仕事ができるようになること」が人生の成功だと思っていた。残業をしてでも、誰よりも早く成果を挙げたいと思ってやっていましたね。でも次第に、「必死に仕事をすることだけが成功なのか?」と疑問に感じるようになりました。

 ちょうどその頃、休日を利用してホノルルマラソンに出場したんです。元々身体を動かすことが好きだし、昔スポーツをしていて味わったことのある爽快感がマラソン大会にはありました。「マラソン大会がもっと日本でも広まったらいいのに」と思うようになったのはそこからですね。そして、元々所属していたチャリティー団体とコラボして、チャリティーランニング大会「PARACUP」が生まれました。


――長年の部活で鍛えられた根性をどのように活かして、これまでの仕事に取り組んできましたか?

 部活って、半強制的なものじゃないですか。入る、入らないは自分で決めるけれども、入ってしまったらなかなか辞められない。「今日は調子が悪いから行きません」と気軽に休むこともできないし、練習でも「今日はこれをやれ」と指示されたら、たとえ調子が悪かったとしても、やると決めたことは全速力でやる。この習慣が、仕事にもそのまま反映されていると思うんです。

 第一回PARACUPの時は、まだ前職での仕事と並行して大会の運営をしていたので、本当に忙しかったですね。PARACUPのために使える時間は夜の遅い時間か、あとは休日。徹夜で作業していたこともあったので、そういう時にこれまで培ってきた体力と、「やると決めたらやる」という根性が活きているな、とは思います。


――ですが、ただやみくもに頑張るだけの「根性論」では、仕事で成果を挙げることは難しい、というイメージがあります。備わっている根性を仕事で最大限発揮するためには、仕事に対してどのような考え方を持つべきなのでしょう?

 特に若手の頃は、例えば自分はA案だと思っても、先輩に「B案でやりなさい」と言われたら、自分の意志を殺してでもB案でやらなければいけない場合もある。でも、たとえ自分の意志ではなかったとしても、それをやり続けることで見えてくるものはあると思うんです。行動せずにああだこうだと言っていても、何も見えてこない。ならば、行き着くところまでは、それが根性論でもやり切った方がいいんじゃないかな。

 ただ、成果が出ない時は立ち止まるべきだと思う。やっているのに成果が出ないと、いつしか“頑張っていること”に満足してしまい、できない要因を人や環境のせいにしてしまいがち。自分を信じることはもちろん大切です。でも、「自分はやれば必ず成果が出る」と思い込んだまま仕事に取り組んでしまうと、成果が出ない時、やり方が間違っていることに気づくのが遅れてしまうと思います。

 スポーツも同じですが、頑張っても成果が出ないと感じたら、上手くいっている人の話を聞いたり、真似したりすることがすごく重要。仕事の量がその人と同じなら、質も高める必要があります。そのためには、上手くいっている人が何をしているのか、どうしてそうなれたのかを真似なきゃいけない。だから、根性をしっかり使いつつ、成果が出ない時は冷静に物事を見つめ直す視点を持つといいですね。(続く)



森村ゆき(もりむら・ゆき)さん プロフィール

一般社団法人PARACUP 代表理事
2004年、人生初のマラソンとしてホノルルマラソンに出場。その後、「走る喜びを多
くの人と味わいたい!」という思いから、RUNとチャリティーを融合させた「PARACUP~世界の子どもたちに贈るRUN~」を友人達と立ち上げる。自身も走ることを楽しみ、多くの人に走る楽しみを伝えるとともに、「走ることで人生を変えよう!」を提唱している。

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