1. 経済学の礎を築いた偉大な学者たちの『大いなる探求』

経済学の礎を築いた偉大な学者たちの『大いなる探求』

by frankieleon

 アダム・スミス、マルクス、エンゲルス、ケインズ、フリードマンなどの経済学者たち。学生時代に経済学を専攻していなくても、彼らの名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

 彼らが残した功績は、現代における経済学の礎になっています。著名な経済学者たちは、どのような道のりを経て、現代に受け継がれる思想を築き上げたのでしょうか。

 今回、ニューヨーク・タイムズ紙の経済記者であるシルヴィア・ナサー氏の著書『大いなる探求』から、偉大な経済学者たちは何を体験し、何を考えたのかといった部分に注目してみましょう。

本のハイライト

・産業革命による富の膨張をきっかけに、人間は自身の運命を変えることができるようになった。この時代の新しさを認識していたのはマルクスとエンゲルスぐらいのもので、彼らは富を分配する仕組みに致命的な欠陥が存在することで、経済体制の崩壊がもたらされるであろうことを確信していた。

・1860年代の経済危機と政治的動乱によって政治経済学の地位は貶められたが、マーシャルはそれまでの理論を改良し、この学問を科学たらしめることによって政治経済学を復活させた。

・マーシャルに師事したケインズは不況をやわらげたり回避することは可能であると主張し、大恐慌のメカニズムを解き明かし、有効需要に基づくマクロ経済学を確立した。

出典:大いなる探求の書評・要約 | シルヴィア・ナサー 著、徳川家広 訳


時代の「新しさ」に気づいていたマルクスとエンゲルス

 18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで起こった産業革命によって、富が急激に膨張しました。これにより、食料や物資の生産性は飛躍的に向上しましたが、資本家と労働者の生活水準には大きな格差が生じることに。

 マルクスとエンゲルスは、これにいち早く気づきました。産業革命によって、かつての伝統的な階級社会では考えられなかった状況になる。つまり、富の膨張によって人々の運命を大きく変えることになるだろうと確信したそうです。

 彼らは『資本論』の執筆を通じて、その時代の労働者における生活水準の悲惨さを明らかにすることに成功はしました。しかし、労働者の賃金はそれからも低下し続けたため「革命」を通して「共産主義化」する必要があるという自説には根拠を示すことができませんでした。

 20世紀になると『資本論』は、ケインズによって「古めかしい経済学」と批判を受けることに。では、次にケインズが経済学者になるまでの道のりをご紹介します。

数学者を目指していたケインズの経済への道のり

 ケインズは、ケンブリッジ大学の入試を最高得点で合格し、主席で卒業するなど学生時代から非常に優秀だったそうです。当初は数学者を目指していたケインズですが、数学の優等卒業試験に失敗してしまいました。

 しかし、経済学者マーシャルの『経済学原理』に出会ったことで、経済学に魅力を感じるようになり、そこで転機が訪れます。彼は大学を卒業後、ケンブリッジ大学で貨幣論の研究を始めました。

 その後、イギリスで当時大蔵大臣をしていたロイド・ジョージに助言を求められたことがきっかけとなり、大蔵省に入省することに。ケインズはここで才覚を発揮し、戦時財政に関する全ての業務を担いました。

 この仕事を通して彼は、各地域が他の地域に経済的に依存することや、世界経済というのは心理的な面に大きく影響されるということ明らかにしました。それが、マクロ経済学の確立に繋がったそうです。


 『大いなる探求』から、マルクスとエンゲルス、ケインズを中心にご紹介しました。この本は、経済学者を一人の人間の物語として描いているので経済学に関する知識が無くとも非常に読みやすいものとなっています。気になった方は、ぜひ読んでみては?


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