1. 【テレビから動画コンテンツへ】米VODの巨人ネットフリックスは日本の動画ビジネスのモデルとなるか

【テレビから動画コンテンツへ】米VODの巨人ネットフリックスは日本の動画ビジネスのモデルとなるか

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by Medhi

 新たなTV配信の時代への過渡期を迎え、収益増加に頭をひねる日本のTV業界だが、アメリカではTVを利用したビジネスで大成功しているサービスがある。「Netflix」だ。

 Netflixは、家庭のインターネットにつながったテレビから好きな時に好きな動画を見ることが出来るサービス。新作映画から名作映画、ドラマと種類も豊富で、月額制で何本見ても料金が変わらないシステムになっている。当初はユーザーにDVDを宅配するサービス(日本でツタヤディスカスも行っているサービス)を提供していたが、今ではオンデマンド視聴が広がっており、米国での利用者は全世帯の1/4にも及ぶ。

「Netflix」米国で大成功のワケは?

 米国で大人気の「Netflix」。YouTubeをもしのぐその人気ぶりの背景には、どのような工夫があるのだろうか。

圧倒的な手軽さ

 「Netflix」は当初、宅配DVDサービスとして始まった。利用者は、オンライン上で見たい映画をリストアップするだけで、そのリストの上位でレンタル可能なものから順にDVDを届けてもらえる。見終わり次第返却すればいいので、返却日を気にすることもなければ、延滞金を払う必要もない。配達時の破損などのトラブルについても、DVDを送り返すだけでオッケーだ。

 レンタルDVD店舗までDVDを借りに行き、返却日までに返さなければ高額の延滞金をとられたシステムに比べれば、大幅に手軽さが増している。その手軽さが非常に好評で、「Netflix」は一気に人気のサービスとなった。

 ドラマを見るのであれば、オンデマンド配信になってからは、いちいちエピソードを選び直す必要はなく、自動的に続きから見られるようになった。このように、いかに利用者の「手軽さ」「使いやすさ」に気を配ってサービスを提供しているかがわかる。

ビックデータを重要視する方針とそれによって成り立つサービス

 「Netflix」はユーザーの視聴記録や顧客行動といったビックデータを非常に重要視している。

同社が収集しているデータが以下です。

When you pause, rewind, or fast forward(いつポーズ、巻き戻し、早送りをしたか)
What day you watch content (何曜日にコンテンツを楽しんでいるか)
The date you watch(日付)
What time you watch content(視聴し始めた時間、終わった時間)
Where you watch (どこで見ているか、郵便番号やIPアドレスから)
What device you use to watch (どのデバイスで見ているか、TVからゲーム端末、スマホまで対応端末は100種類にわたる。また子ども用コンテンツはiPadで見ているといったコンテキストも大事)
When you pause and leave content (特定のコンテンツのどこでポーズをかけたか、視聴に戻ってきたか)
The ratings given (視聴後に顧客が付ける星1つ〜5つまでのレーティング、1日40億星とのこと)
Searches (顧客がサイト上で行うコンテンツ検索の内容。1日30億件)
Browsing and scrolling behavior(サイトのページのブラウジング状況、スクローリング状況)

出典:時価総額を5倍に増やしたNetflixの驚くべきビッグデータ経営(1 ...

 「Netflix」はビックデータを利用して、精細なレコメンデーションをはじめとする様々なサービスを提供している。それによって、様々な動画配信サービスが登場してきても、ユーザーをつなぎとめることができているのである。「Netflix」は単なるコンテンツ配信企業ではなく、テクノロジーを利用したIT企業として大成功しているといっても過言ではないだろう。

独自のコンテンツを制作

 様々な動画配信サービスの登場に対しての対抗策として行っているのは、レコメンデーションだけではない。他のサービスとの差別化施策として、独自のドラマ等のコンテンツ配信をはじめた。

 同社が制作したドラマ”Orange is the New Black”は大流行。このヒットについても、ビックデータを利用し、「Netflix」ユーザーが好みそうなドラマを分析して制作した結果ではないかと考える人もいる。

 「Netflix」でしか見られないコンテンツが魅力的なのであれば、同じようなサービスが他にあったとしても、利用者は「Netflix」から離れられない。

「Netflix」は日本で成功できるのか

 このように、米国で多くの人に利用されるサービスとなった「Netflix」はすでに海外進出を進めており、日本にも近々上陸すると言われている。しかし、日本と米国ではTVの視聴文化には大きな違いがある。

日本人に「有料試聴」の文化が根付くのか

 米国では、ケーブルテレビなどが日本に比べて普及しており、有料テレビの文化が根付いている。それに対して、民放放送に親しんできた日本人にとって、まだまだ有料のテレビの文化は薄い。

 「Netflix」のサービスは日本のTVの視聴環境にとっても確かに革新的で、便利なものである。しかし、サービスの普及には、日本に根づく文化を乗り越えることは必至になってくるだろう。

「Netflix」がぶつかる壁こそビジネスチャンスかもしれない

 放送時間やTV画面に縛られない視聴スタイルなど、今後TVを見るスタイルが変わっていくことは間違いない。それにともなって、CMで得ていた広告収入を中心とした収益モデルも変わってくることも間違いないだろう。その流れに沿って、「Netflix」をモデルにしたような事業を始めている動画配信サービスを始めている会社も多く現れている。

 米国のVODの巨人「Netflix」の戦略をもっても一筋縄ではいかない日本の市場。日本で新しい視聴文化を作る上で重要になってくるのは、「Netflix」がぶつかった障害の中にあるのかもしれない。日本発の企業が、日本の市場にあるこれらの障害を乗り越えて、どのような動画配信サービスおよび動画視聴スタイルを世の中に提案していくかが楽しみだ。


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