1. ママと仕事、両立の秘訣は”お願い”の仕方――私、新幹線で通っている「営業ママ」です【前編】

ママと仕事、両立の秘訣は”お願い”の仕方――私、新幹線で通っている「営業ママ」です【前編】


 結婚、出産、育児――。こうしたライフイベントを迎えるにあたり、女性が直面するであろう問題の1つは「仕事を続けるかどうか」。「子どもができたら、仕事を諦めなければいけない」などと決めつけてしまってはいないだろうか? 働く女性の中には、育児と仕事を両立させ、職場復帰してからも第一線で活躍する「ワーキングマザー」と呼ばれる人達がいる。

 今回のインタビュー相手である株式会社ネオキャリアの平山希さんは、現在ご主人の実家がある長野県から通勤しているワーキングマザー。長時間の通勤や育児など様々な制限があるにもかかわらず、彼女は産休前と変わらず営業の第一線で活躍しているそうだ。職場復帰後も以前と変わらず成果を挙げている平山さんに、その秘訣を伺った。


――現在ご主人のご実家がある長野県から通勤しているそうですね。ご家族で東京に移住する、という考えはなかったんでしょうか?

 結婚を機に東京から長野へ移住しました。夫は生まれも育ちも長野県。実家が自営業なこともあって、本人も地元に貢献したいと思っているのは以前からすごく伝わっていたんです。だから、東京に移住するというのは難しいだろうな、と考えていました。


――では、現在どのようなスケジュールで1日を過ごしていますか?

 まず、朝は6時頃に起きて、7時半〜8時までに子どもを保育園に送ります。そして8時25分発の新幹線に乗って、東京駅に着くのが9時40分。その後は、本社のある新宿オフィスへ出社することもあれば、お客様のところに直接訪問することもありますね。

 商談後はオフィスへ戻らず、直接帰るという働き方なんです。だから、オフィスに出社することは多くても週に2回くらい。2~3社のお客様と商談をした後、再び新幹線に乗り、19時までに保育園へ子どもを迎えに行く。そして20時頃までにお風呂へ入れたり、食事の支度をしたり……。21時半ぐらいには子どもを寝かしつける。そんな感じですね。


――現在の仕事内容は?

 企業の新卒採用のコンサルタントです。企業が採用活動を開始する際、どの就職サイトに求人を掲載するのか決めたり、採用活動に必要なツールの提案・フォローをしたりしています。新卒採用が成功するまでをご支援する、というのが仕事ですね。

 出産前後で、仕事内容というのは変わりませんでした。同じ部署で、営業第一線で仕事しています。ただ、時間の制限はできてしまいましたね。入社したての頃は、会社も創業してまだ間もなかったので終電ギリギリの時間まで働くこともありましたが(笑)、今は17時ぐらいには退社させてもらっています。朝9時から営業開始というのも、今の生活では難しい。でも、仕事の内容や担当するお客様は全く同じです。


――家事・育児と仕事を両立させるためには仕事の効率化が求められると思いますが、仕事に関して何か工夫されていることはありますか?

 周りのメンバーにどんどん仕事をお願いするようになりましたね。私がオフィスに出社する回数が少ないため、事務業務はどうしてもこれまで通りにはこなせなかった。だから、上司にサポートメンバーへ事務業務の協力をお願いできないか提案したんです。ただ、サポートメンバーにも負担をかけてしまうので、仕事をお願いする際には、わかりやすく明確に伝えることを意識しています。

 また、オフィスで仕事をする日はメンバーをランチに誘って、積極的にコミュニケーションをとるようにしていますね。仕事をお願いする上でも、コミュニケーションはとても大切だと感じています。「早く仕事を終わらせたいからランチも簡単に済ませてしまいたい」と思うことも正直ありますが、コミュニケーションの機会を増やすために、ランチは色々なメンバーと一緒にしています。日頃の感謝の気持ちも伝えやすいですしね。


――育児についても意識せざるを得ない中で、それでも仕事中はお客様のことを第一に考えなくてはいけないと思います。平山さんは、お客様と接する際心がけていることがあるそうですね?

 自分がこういう環境の中で仕事をしていることをお客様にお伝えするようにしていますね。職場に復帰してからしばらくは、長野から通勤していること、ワーキングマザーであることをお客様に知られてはならないと思っていたんです。相手に負担に思われたら、「そんな営業マンが担当だと心配だよ」とお断りされてしまうと思いましたし、変に気を遣われるのも嫌だったので。

 でも新卒採用の支援事業は、1年半位かけてお客様である企業と長いお付き合いをする仕事です。その中で、自分の置かれている状況や思いを隠し通すことがすごく苦しく感じた時がありました。そこで、お客様に自分のことを思い切って打ち明けてみたんです。すると、今まで遠くにいると感じていたお客様との距離がものすごく縮まって、「応援しているよ」と親身に対応してもらえるようになりました。

 実際は、全ての企業が歓迎してくれているわけではないと思います。育児をしながら働く私を担当にすることを、不安に思うお客様もいるでしょう。そういったお客様に対しては、更に成長し、そのご期待に応えていきたいという意志を、言葉や行動で示していくよう心がけています。


――ビジネスマンとしての自分と家庭での自分では、気持ちの切り替えも必要だと思うのですが、これについて平山さんはどう考えていますか?

 すごく必要ですね。結婚する前だったら、切り替えは「オン」と「オフ」の2種類しかなかった。でも結婚して出産してからは、ママとして、妻として、嫁として、ビジネスマンとして……と気持ちを様々な立場で切り替える必要があって、それが本当に難しいと感じています。

 例えば、働いている時と家で家事や育児をしている時の自分では、同じ問題に対しても出てくる答えが変わってくるんです。色んな立場に身を置くからこそ、意見も変わっていくのが当然だと思うので、母として、ビジネスマンとして、といった具合に複数の価値観で物事を捉えることが必要なんだと考えるようになりましたね。

 時には、様々な価値観の中で妥当な案を探すことも大事だと思いますし、時には非常に偏った意見で決めていいという時もあると思う。色んな場面で視野を広く持ちながら正しい判断を決めていく、と意識することが良いんじゃないかと思います。(続く)



平山希(ひらやま・のぞみ)さん プロフィール

株式会社ネオキャリア 採用インテグレーション事業部 マネージャー
1979年生まれ。大学卒業とともにネオキャリアへ入社、新卒採用コンサルタントとして従事。以降12年に渡り、様々な企業の新卒採用支援を手がける。2011年の結婚を機に、長野在住の夫との週末婚生活がスタート、2013年に長女を出産。2014年の職場復帰後は、「東京-長野」の新幹線通勤を週4日、在宅を週1日というスタイルで働く。

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