1. 「失敗した直後には、次のステージを考えている」――楽天三木谷氏が考える、次に進むための失敗力

「失敗した直後には、次のステージを考えている」――楽天三木谷氏が考える、次に進むための失敗力


 人が成長するのは計画通りに物事が運んだときではなく、失敗をしたとき。失敗とどう向き合うかで、人の成長スピードは驚くほどに代わるものだ。

 そんな「失敗」をテーマにしたイベント「失敗力カンファレンス」が2014年12月19日(金)に開催された。ここで紹介するのは、大企業の失敗力。登壇者は、楽天株式会社代表の三木谷浩史氏、NTTドコモの執行役員としてiモードの立ち上げにもかかわった慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教の夏野剛氏、ソニー株式会社でプレイステーションの開発事業の中心になった経験もあるサイバーアイ・エンタテイメント代表取締役社長の久夛良木健氏。

 一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎氏をモデレーターに迎え、彼らの失敗とそれを糧にする力に迫った。

ドコモを早く辞めなかったのが一番の失敗

 大企業のトップとして、誰もが知るほどのビッグ・プロジェクトに関わってきた登壇者たち。彼らももちろん多くの失敗をしているが、決してそれを後悔しているわけではない。

 楽天三木谷氏は、TBSの買収計画を大きな失敗経験として挙げる。彼は、閉ざされたジャーナリズムを開放するためにあのような買収が必要だと考えていたが、メディア業界からの理解はなかなか得られなかった。自らの正義感に固執して早く手を引かなかったことが損益を大きくしまったと反省しているようだ。

 iモードを成功させた夏野氏だったが、彼はそれを全く正解だとは考えていない。あの頃に世界を獲れなかった時点で、それは大きな失敗だったと当時を振り返る。「そもそも、日本の技術力は世界一だって、Googleのエリック・シュミットにはっきり言われましたからね」と夏野氏。

 そんな夏野氏の最大の失敗は、「ドコモに長く居すぎたことと、ドコモを辞めるときに20人くらい道連れにできなかったこと(笑)」。ダメだと分かっていたドコモに早く見切りを付けなかったことが、一番の失策だと話す。

 三木谷氏は今回のテーマ「失敗力」とは、「失敗を恐れない力」だと語る。大体の失敗は、後から振り返れば大したものではないし、そこから気づきを得ることができる。失敗を怖がって何もしないのではなく、まずはとりあえず動いてみることが重要だ。

攻めの失敗と守りの失敗を区別している?


 久夛良木氏が、ソニーの失敗を恐れずとにかく攻める姿勢が、プレイステーションなどの大きな成功の要因だと話す。「昔のソニーは、みんなが夢を持っていて、恐ろしい失敗をたくさんしながらも、その中からキラリと光るものが出てきた。しかし、その後ヒットが出ると回りの意見も聞けなくなって、なかなかやんちゃできなくなってしまった」

 日本の組織には、こうした失敗を恐れない姿勢がなかなか足りない。しかし、生まれた失敗を糧にする姿勢がなければ、損失を顧みないスタンスをとることはなかなか難しいだろう。失敗を恐れないためには、失敗例を抽出して改善できる組織作りが必要だ。

 そこで大切なのは、「攻めの失敗と守りの失敗を区別すること」と夏野氏。攻めの失敗とは新規事業などのチャレンジを通しての失敗、守りの失敗とは情報漏えいなどのことだ。多くの組織では、ミスを二度と起こさないような対策をしがちだが、夏野氏は、守りの失敗からは多くのものを学べないと考えている。攻めの失敗を共有し、次の成功へと結び付けることが必要だ。

「失敗があるから次のステージへ進める」

 最後に三木谷氏が重要な失敗力として挙げたのは、失敗を失敗と思わない、失敗を忘れてしまう力。三木谷氏は、失敗したときに反省はするが、その直後には「次はあれをやるぞ」と考えているという。

 失敗するから反省点も出てくるし、次にやるべきことも分かる。言い換えれば、失敗をすることで始めて次のチャレンジができるということ。手痛い失敗をしても次のステップが見つかったと思って得した気分になるのが、大切な失敗力なのだ。


 大きな組織の中にいると、人はなかなか思い切った行動に出ることができない。「失敗なんてして当然」という姿勢を個人と組織のそれぞれが持つことが重要なのだろう。失敗があるから次のステージへ進める。登壇者の発言の1つ1つが、そうした力強い姿勢を体現していた。

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