1. 外食産業の総居酒屋化:各外食店舗の居酒屋化戦略と、それらがもたらす飲み会文化の未来

外食産業の総居酒屋化:各外食店舗の居酒屋化戦略と、それらがもたらす飲み会文化の未来

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by QuinnDombrowski

 ファミリーレストランでお酒を飲む「ファミ飲み」が流行したり、吉野家がお酒を提供するサービスを始めたり、様々な業界が居酒屋化する現象が起こっている。しかし、同じ「居酒屋化」でも、それによって開拓した顧客ははそれぞれだ。

ファミリーレストランの「居酒屋化」が生んだ効果

 「居酒屋化」したファミリーレストランに訪れる客層は、やはり”ファミリー”が中心。家族での食事を楽しみながらお酒を飲めるのが魅力である。家族団らんだけでなく、ママ友同士が幼稚園のお迎えの帰りにも気軽にお酒を飲みながら話すことが出来るようになった。

消費者の飲み代の減少や、家飲みの増加を反映して、外食市場でのアルコールメニューの伸び率は4年前に比べてマイナス10.1%となっています。特に居酒屋ではマイナス13.3%と大きく減少。そんな中で、ファミリーレストランでは、アルコールメニューの伸び率が1.5%増加しています。

出典:居酒屋よりファミレス飲み、14~17時に飲む人が増加。外食飲酒シーンに ...

 これらの施策によって、外食市場全体ではアルコールメニューの伸び率が減少しているのにもかかわらず、ファミリーレストランは堅調な伸び率を示している。

 それを可能にしたのは、豊富で手頃な値段の食事メニュー。ファミリーレストランなら、お酒が飲めない人や、子供が同席しても十分楽しめるメニューがある。値段も安いので、家族で気兼ねなく楽しい食事をすることが可能だ。

アルコールが飲まれる機会に注目すると、
14-17 時台が 5 年前から唯一プラス成長(+1.1%)して
おり、さらに滞在時間 60 分以下に絞るとその傾向が強く
なる(+1.4%)。
5 年前と比べて全体のアルコールが飲まれる食機会数が
減少するなかで、時間帯と滞在時間に注目すると、唯一
14-17 時台の“ちょい飲み”の食機会数が伸びているとい
えよう。

出典:外食・アルコール市場 ~伸びる“ちょい飲み”需要のドライバーは?
 そして、夕食前の、子供を迎えに行った後のひとときをファミリーレストランで過ごす利用客が増えたこともあってか、ランチとディナーの間の時間で利用客が少なくなる14~17時の来店客が増えているという。これは、新たな利用客を獲得しただけでなく、これまでフロアや従業員を活かしきれていなかった時間帯を大きな収入源となる時間に変更できたと言えるのではないだろうか。

ファストフードの「居酒屋化」が生んだ効果

 一方、牛丼屋である「吉野家」などの居酒屋化によって開拓された客層は”仕事帰りの社会人”である。

そもそも吉呑みは、夜になると客足が弱まるビジネス街の店舗で遊休スペースとなっていた2階部分を活用するのが目的。大きな投資が必要なく、気軽に入れる吉野家のコンセプトにあった業態として“ちょい飲み”をスタートさせた。

出典:吉野家に赤ちょうちん! 「吉呑み」は居酒屋と何が違う? 日経トレンディ ...

 はじまりは、客の入らない時間帯のある店舗の二階でできることを模索した上での施策であったという。しかしこの施策が、食事とともに軽く飲みたい「サク飲み」のニーズが吉野家などのファストフードの居酒屋化によって満たされた。 

 料金は魚が300~500円、揚げ物が200~350円、酒のつまみが100~250円。生ビールや焼酎、ハイボールなどの酒類が300~400円程度なので、ちょい飲みなら1000円前後で楽しめそうだ。

出典:吉野家に赤ちょうちん! 「吉呑み」は居酒屋と何が違う? 日経トレンディ ...

 吉呑みの客単価は1000円〜1500円。居酒屋に比べると、リーズナブルな価格でお酒を楽しむことが出来る。しかし、吉野家の牛丼並盛が380円(2015年1月現在)であるから、一般の吉野家を利用する上で使うお金に比べて高いことが予測できる。牛丼業界は長年価格競争が続き、客単価が下がり続ける傾向にあったが、「吉呑み」によって吉野家も余っていた客席を埋めることができ、またそれぞれの客単価を向上させることができたという。

新たな「飲むシーン」が新たな「飲む文化」を生む

 これまでなかった店舗の「居酒屋化」は、居酒屋業界の競合構造を大きく変え、既存の居酒屋にとっての脅威となるかもしれない。しかし、ライフスタイルも多様化する中で、「飲み会」もまた多様化している。「吉呑み」は時間をかけずに飲むことを可能にし、ファミリーレストランは飲めない人でもお酒の席を楽しむことを可能にした。ファミレス等の新たな業態の居酒屋は現代人の多様なニーズに対応していると言えるのではないだろうか。

 先に述べたように、外食市場でのアルコールメニューの消費は減少している。多様化するニーズに対してお酒を飲めるシーンもまた多様化することは、お酒の席を楽しめる人が増やし、「外食の席で飲む文化」を活性化させるかもしれない。


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