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一緒に働くイメージを抱かせるのが面接――夢を夢のままで終わらせなかった男の就活体験記【前編】

Yudai Imamura

2015/01/27(最終更新日:2015/01/27)


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一緒に働くイメージを抱かせるのが面接――夢を夢のままで終わらせなかった男の就活体験記【前編】 1番目の画像

 あなたが今やっているその仕事は、本当に自分がやりたかったことだろうか。子ども時代に「将来こんな仕事がしたい!」という夢を描いた人は多いはず。しかし、大人になるにつれ「所詮は子どもの頃の夢」と諦めてしまいがちなのでは?

 そんな中、「どうしてもこの仕事がしたい!」という想いを抱き続けている人もいる。今回のインタビュー相手、平野慎也さんもその一人。「コピーライターになりたい!」という夢を叶え、広告制作会社である株式会社アッシュ・ブームのコピーライターとして働いている。そんな彼も就職活動時には苦労した様子。当時のエピソードについてうかがってみた。


――「コピーライターになりたい」という夢を持っていた平野さんですが、そもそもコピーライターを仕事として意識するようになったきっかけは何ですか?

 「コピーライター」という仕事の存在を知ったのは高校生の時でしたね。元々、CMや広告業界に興味があったんです。でも、コピーライターを目指すきっかけになったのは、大学1年の頃にTCC(東京コピーライターズクラブ)が主催している、その年の最も優れたコピーを決めるTCC賞という広告賞の審査会でアルバイトをしたことです。

 審査の様子を見ていると、面白いものに対しては、審査員がしっかりリアクションをとるんです。現役バリバリの、業界の最先端にいるような人達でも楽しく見ていられるのは、彼らがそれだけ広告が好きなんだという証拠ですよね。

 よく、好きなことを仕事にしてしまうと、それが嫌いになるとやっていけないから良くない、という話を聞くじゃないですか。でも、その道のトップが好きなことを仕事としてやっている姿を目の当たりにして、「好きなことを仕事にしてもいいんだ」という自信がついたんです。


――実際、就職活動中はコピーライター職1本で取り組まれたそうですね。具体的にはどのようなアクションを起こしていましたか?

 ポートフォリオを作って企業の方に見せていたことかな。これは、現在取引先に見せている僕のポートフォリオです。コピーライターとして、こういう仕事をしていますよという履歴書みたいなものですね。就活中に見せていたのはもっとゴチャゴチャしていましたけど。

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(平野さんが取引先に見せているというポートフォリオの一例。コピーだけでなく、ビジュアルイメージや企画意図も含めて見せることで、相手に伝わりやすくなっている。) 

 
 株式会社宣伝会議が主催しているコピーライター養成講座などで作成したコピーの中で褒めていただいたもの、広告賞に応募したものなど、見せる素材はあったんです。でも、コピーを並べただけだとただの言葉好きだと思われちゃう。それは嫌だったので、「このコピーはこういう風に考えたんです」と相手に伝わるような構成にしました。

 画像に自分のコピーを当てはめて「このコピーはこういったイメージが入ります」と、言葉だけじゃなく全体を考えていることをアピールしていましたね。「あ、君はちゃんとこうやって考えた上でコピーを書いたんだね。趣味じゃなくて仕事として考えているんだね」と相手にわかってもらいたくて。


――就職活動中、「コピーライターにはなりたいけど、会社を志望する動機がない」ということに気づいたそうですが、面接の中で上手く取り繕うこともできたはず。そうしなかった理由は何なのでしょうか?

 演じようとするとボロが出ちゃうんですよね。例えば、その会社のために自分が考えていることや、どういう風に貢献できるかなどは、きちんと練れば言えたと思うんです。でも、就活中は「今日はA社の一次面接がある、でもB社の課題もやらなきゃ……」と、全部上手くこなそうとしちゃうから自分の中で優先順位がつけられず逃げていました。なんとなく上手くいくかと思っていたけど、当然そんなはずなかった。

 僕の場合、自分がコピーライターになった後で活きてくる活動はしていたけど、“入社するための活動”はしていなかったんですね。だから、働くまでの過程は上手くいかなかったけど、働き始めてからのイメージは持っていました。(続く)


平野慎也(ひらの・しんや)さん プロフィール

株式会社アッシュ・ブーム コピーライター
1987年生まれ。大学に通いながらアッシュブームにて1年間のアルバイトを経て卒業、2011年から現職。宣伝会議賞 協賛企業賞、読売広告大賞 入賞などを受賞。現在はアッシュ・ブームに所属しながら、ほぼ日刊イトイ新聞の乗組員としても勤務。

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